横浜弁護士会新聞

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2005年2月号(1)

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やってみようよ裁判員 弁護士フェスタ in KANAGAWA
天候にも恵まれ1000人以上が参加
 12月11日、横浜市開港記念会館と当会会館において、「弁護士フェスタ in KANAGAWA」が開催された。弁護士フェスタの名称では4回目、前身である「県民集会」と通算すると31回目の開催となる。メインプログラムである映画「裁判員」の上映、人権賞贈呈式、裁判劇、公開評議の他、7つのミニシンポと4つの展示、プロ棋士との将棋対局、大規模無料法律相談会が催された。当日は天候にも恵まれ、訪れた1000人以上の参加者は祭典を満喫した。
劇と思えぬリアルさを帯びた裁判劇
 定刻どおり午後2時15分から、開港記念会館大講堂で裁判劇が始まった。弁護士フェスタでの裁判劇は3回目となる。
 今回の裁判劇のタイトルは、「本牧殺人事件−灰皿は知っている」。本牧のマンション内でガラス製灰皿により、殴打され、殺害された女性の他殺体。死亡推定時刻にマンション内に在室していたのは、被害者に恋人を奪われ、被害者と言い争いをしていた被告人だった。灰皿からは被告人の指紋が検出されており、殺害動機も認められる被告人の犯行であることは一見疑う余地のない事案である。しかし、被告人がマンションを立ち去った後、死亡推定時刻内に被害者の恋人がマンションを訪れていたとしたら…。犯人は被告人か恋人かそれとも第三者か。
 出演者たちの迫真に迫る演技で、裁判の審理は劇とは思えぬリアルさを帯び、1階、2階席とも満員となった会場は、裁判の世界にどんどん引き込まれていった。特に被害者の恋人役の何かを隠しているようで怪しいと思わせる演技と、被告人役小林容子氏の必死に言い逃れをしているようで素直に真実を供述していないと感じさせる演技が、見る者の心証形成を難しくさせた。
意見が分かれた公開評議
 午後4時から裁判劇に続いて公開評議が行われた。裁判長役を務めた宗哲朗会員、右陪席役を務めた旭川弁護士会所属中村元弥弁護士、左陪席役を務めた阿部雅彦東京地裁裁判官の3人に、NPO職員、新聞記者等の市民6人が裁判員として加わり討論が始まった。宗会員と中村弁護士は、元裁判官である。
 評議では中村弁護士が進行役となり、活発な意見交換がなされた。最初は結論を迷っていた裁判員もいたが、次第に自分の判断を固めていった。
 討論の後、裁判員役から順に1人ずつ最終的な結論を発表したが、この公開評議での結論は非常に興味深いものとなった。というのは裁判員役の6人は5人が無罪、1人が有罪であったのに対し、裁判官役の3人は裁判長のみが無罪、陪席裁判官2人は有罪という結論だったからである。結論としては有罪票は3人のみで無罪となったが、仮に現行の裁判制度で、裁判官役であった3人が判決を下していたら、有罪2人、無罪1人の有罪判決ということになっていた可能性がある。現職裁判官と元裁判官による合議体の多数意見が裁判員の意見により変更された形になったのである。
 公開評議体以外にも法科大学院生を裁判員とする評議体と高校生を裁判員とする評議体により評決がなされたが、いずれも無罪の評決であった。会場で配布・回収された評決用紙の集計では、無罪269人、有罪32人の圧倒的多数で、3年連続無罪の評決であった。

山ゆり
 先日、10数年振りに楽器店に立ち寄った。宴会芸用にと思い、アンプ内蔵のエレキギターを購入。驚いたことに、そのギターには、アンプのほか、マルチエフェクターまでもが搭載されていた
マルチエフェクターとは、ギターの音色を変える数10種類のエフェクターを1台に搭載し、百種類近くのギターサウンドをプリセットしている機材のことである
昔は人前で演奏するには、ギター以外に重いアンプと複数のエフェクターを持ち歩かなければならなかったが、このギターがあれば1台で事足りてしまうのである
この優れもののギターで昔良く演奏した曲を弾いてみた。弦を押さえる左手、弦を弾く右手、いずれもスムーズに動かない。昔は簡単に弾けたフレーズもうまく弾けない
イラスト
早弾きに自信があった昔は、「ミスタースローハンド」と言われたエリック・クラプトンなどには目もくれなかったが、今の自分は間違いなくミスターベリースローハンドである
楽器の性能が向上し音の体裁を整えることが容易になったとしてもそれを使う方の技能が劣っていては良い演奏とはならない
現在の仕事の環境もIT技術の進歩等により年々良好なものとなってきているが、自らの技能を磨くことも忘れてはなるまい。
(大和田 治樹)

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