横浜弁護士会新聞

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2005年2月号(2)

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弁護士フェスタ その他の企画も大盛況

開港記念会館におけるミニシンポ
 開港記念会館では、4つのミニシンポが行われた。人権擁護委員会は、「戦争の現実から平和を考える」というタイトルの下、戦争経験者やイラクで活動する市民団体代表者を招いて講演を行った。湾岸戦争後劣化ウラン弾の影響によってイラクで生まれている奇形児や障害を持った子供達の話になると会場は重い空気に包まれた。子どもの権利委員会は、動き出した教育基本法の改正を取り上げ、「子どもと学校教育−教育基本法『改正』問題を考える」というテーマで、改正の概要を説明した上、現役の教育者も交えたパネルディスカッションを行った。公害・環境問題委員会は、「かながわの外来種問題−特定外来生物法とアライグマ対策」について、野生動物の専門家による講演を行い、外来種の定義から駆除方法まで分かり易く解説した。消費者問題対策委員会は、「よりよい消費生活を求めて−統一消費者信用法制定に向けて」というテーマを掲げ、消費生活相談センターの相談風景を寸劇に仕立てて、消費者信用取引に関する統一的、実効的なルール作りの必要性を訴えた。
弁護士会館における ミニシンポ
「若手弁護士による出前授業『裁判員シュミレーション』」 (司法教育委員会)
 同委員会が高校等で行っている「出前授業」を模擬的に実演したもので、裁判員制度がわかりやすく楽しく解説されていた。導入部分では、裁判員と裁判官による評議が同委員会委員らの寸劇によりシュミレーションされたが、メイン企画の裁判員劇に劣らぬ熱演であった。
「体験!法科大学院」(法科大学院支援委員会)
 森田明会員が担当する神奈川大学法科大学院の医事法の授業が弁護士会館に場所をかえ、ライブにて行われた。本授業は同大学院の正規の授業であり、同大学院生による判例研究の発表と議論を生で聴講することができ、会場との意見交換も行われた。
 同会館では、このほかにも、情報問題対策委員会による「住民基本台帳の公開とあなたのプライバシー」をテーマにするミニシンポが行われ、裁判所の受付・相談体制をテーマとする地裁委員・家裁委員との懇談会も開催された。

人権賞 「夜回り先生」と「トラヂの会」選ばれる
 第9回横浜弁護士会人権賞は、元横浜市立横浜総合高校教諭の水谷修氏と在日高齢者交流クラブ トラヂの会が受賞した。
 水谷修氏は、平成4年、定時制高校に赴任したのをきっかけに、授業後の「夜回り」を始めた。夜の繁華街を回り、薬物におぼれる子ども、援助交際に走る子ども達の相談に乗り、救助活動を行う。そのような活動を続けるうちに、水谷氏は「夜回り先生」と呼ばれるようになる。また、水谷氏は、麻薬の専門家として、子ども達に麻薬について正しい知識を伝えるために書籍を出版したり、各地で講演を行い、約5000人の子ども達と関わった経験を話したりする活動もしている。
 水谷氏はこの日も講演会があり、贈呈式にはお嬢さんの千穂氏が出席し、水谷氏の手紙を読み上げた。その中で、同氏は、夜の子ども達は昼の世界に戻りたがっており、大人達には子ども達を守る義務があると呼びかけた。
 トラヂの会は、平成10年、川崎で設立された。在日韓国・朝鮮人一世は日本で年を重ねたが、非識字や文化の相違のため、日本の高齢者福祉から取り残された。他方、川崎で在日二世を中心に反差別・人権活動が活発になり、日本人との連携が生まれた。そして、ふれあい館が作られ、高齢者のための識字学級が開かれた。これを機に、世代と民族を繋ぐ交流が始まった。そのような流れに乗り、同胞の心の故郷を作るという目的で、トラヂの会が設立された。現在、トラヂの会では、高齢者に、識字教育やコミュニケーションの場を提供したり、ディサービスを実施するなどの活動をしている。
 この日、チマチョゴリ姿の女性達が客席から見守る中、トラヂの会会員の朴在銀(パク チェウン)氏が杖をつきながら壇上に立った。同氏は、在日一世の歴史に簡単に触れつつ、健康を保って若い人たちに迷惑をかけないように頑張りたいと抱負を述べた。

無料 法律相談
 恒例となった大規模無料法律相談は、157名が利用し、過去最高の相談者数となった。10時の受付開始とともに相談希望者が弁護士会館1階ロビーに溢れ、11時の相談開始時点で113名が申込済みとなり、最大で待ち時間2時間半となった。
 相談案件は、例年どおり、DV事案を含む離婚、債務整理が多かったが、今年は消費者被害、犯罪被害の相談がやや目立った。

将棋指導対局 飯塚祐紀6段を迎えて
 全国で150人しかいない将棋のプロ棋士、その中でも今期7割以上の勝率をあげているのは、絶好調の羽生2冠王を含め、12月8日現在で11人しかいない。そのお一人である飯塚祐紀6段に指導をしていただいた。2時間で一般の方12人が多面差しで挑んだが、結局、飛車落以上で勝った人はゼロ。用意していた記念品(将棋の本)は不要であった。終了後、飯塚6段を囲み会員10名で中華街で懇親会を行い、大いに盛り上がった。
(高柳 馨会員)

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