横浜弁護士会新聞

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2004年4月号(1)

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平成15年度 理事者退任 ご挨拶

激動の1年 会長 箕山 洋二
 遅咲きの桜で始まった平成15年度も、早咲きの桜に送られ、無事大過なく終わろうとしている。
 桜で始まった1年というものの、司法改革がこれ程すさまじく、また激しいものであるとは、予測を遥かに超えるものであった。その改革は、組織・手続法・実体法に及び、その対象範囲は誠に広範であった。また、そのスピードも凄まじく、改正法案は次々に施行され、周知期間は無いにも等しいものであった。現在も10の重大改革法案が閣議決定され、6月16日までの成立を目指し、審議中である。また、4月1日施行の多数の法案が目白押しである。
 そんな中、日弁連から山のように諮問が単位会に送られてくる。担当副会長は良く連係し、委員会と協議し、当会の答申案を確実に作成する。ときに複数委員会の意見を聞いた場合は、その意見を纏め、起案するのは副会長の役割となる。答申の期限は限りなく短い。その中で完成させるのは大変な作業であった。日弁連の諮問に対し、横浜だけが答申を出したものもあった。横浜弁護士会の会内委員会の力強さを感じ、委員の日頃の努力に深く感謝したところである。パワーアップ弁護士・弁護士会の標語の、弁護士会の部分は確実に実現されていると言えよう。
 本年度は、支部において大きな変革があった。相模原支部と県西(旧、小田原)支部である。両支部は、裁判所内支部事務所を廃し、街の中に支部会館を持ち、支部を開設した。支部会館に法律相談センターを移設し、併設されることになった。職員が共用されることにより支部事務所に職員が常駐可能となり、これに伴って支部事務の拡大・充実が検討されている。支部会員によれば、支部会館開設の効果は大きく、地元では注目を浴び、事業・イベントの共催等の申し込みが激増し、支部が大いに活性化しているとのことである。支部会員は180名を超え、765名4法人の横浜弁護士会の中でも一大勢力であり、支部が活性化し力を蓄えることは、弁護士会そのものの力がアップするものであると信じている。
 次に、本年度は研修委員会・法相センター等の努力により、日弁連によるものを除き、実に31回の研修が行なわれ、いずれも多数の参加者を得、ときには大きな会場に変更する等して実施された。
 これ程の激動期に、研修の重要性は言わずもがなであるが、多くの会員が興味を持って取り組んでくれたことは、真にありがたいことであった。個人個人がこのようにして、パワーアップすることは、今後の司法にとって大切なことであることを、再認識しているところである。
 1年を振り返って、5人の副会長の努力に心から感謝すると共に、本年度執行部を支えてくれた全ての委員会、そして会員お一人お一人に、心から感謝し、退任の挨拶といたします。
 ありがとうございました。
副会長 影山 秀人
 どうにかこうにか退任挨拶の原稿書きの時期まで大過なく務めることができた。これも会長や同僚の副会長、そして会員や職員の皆さんの暖かく寛容な心のおかげと深く感謝している。これまでも委員会活動などはそこそこやってきたつもりだったが、副会長として会務全般にかかわる中で、今まで知らなかったことなど本当にたくさんのことを学ぶことができた。当会は日弁連の中でも有数の実力を持つ弁護士会であると誇りに思っているが、その実力は、実に多くの会員や職員の真摯で献身的な活動に支えられていることを強く実感できたことも大変嬉しかった。日弁連・関弁連の大会などで各地に出張したことや、韓国の水原(スウォン)地方弁護士会との姉妹提携などは楽しい思い出となった。今後も身の丈に合った形で会への恩返しができればと考えている。
副会長 小島 衛
楽しかったこと
  毎週1回の理事者会、どういう訳か楽しみでした。その他、たくさん楽しいことがありました。
嬉しかったこと
  人権賞授賞式も含めて弁護士フェスタが盛り上がったこと、人権大会等で松山、鹿児島、新潟、釧路・山形等の地方に出かけおいしい魚やお酒を味わえたこと等その他たくさんありました。
苦しかったこと
  ちょっと忙しかっただけで苦しいことは特にありませんでした。
最後に
顔をひきつらせながらも楽しかった1年があっという間に過ぎました。会員の皆様、事務局職員の皆様、他の5人の理事者の皆様、大変お世話になりました。1年間、いい役をさせていただきまして本当に有難うございました。
副会長 小長井雅晴
 熱海駅を降りると強い風が吹いていた。送迎バスに乗ると、関東各地から来た見知った顔、新しい顔があった。ホテル大観荘に着いて会場に向かう途中、「そう言えば去年もここから始まったのだ」と感慨が湧いてきた。関東十県会、3月の熱海での会合が、事実上の新理事者お披露目である。もう1年経ったとのかという思いと、やっと1年経ったのかという思いが交錯する。司法改革の荒波に翻弄されながら、何とか頑張れたものもあったし、悔いが残るものもある。しかし会内的には相模原支部と県西支部の支部会館がオープンしたのは大きい。裁判所を出て町に出ようとの気持ちが結実したものである。ともかくも1年は過ぎたし、肩の荷も下りた。将来の弁護士・弁護士会の発展に向けて、次期執行部にバトンを渡すことになる。熱海の春は早く、桜がすでに咲いていた。
副会長 篠崎百合子
 時はまさに司法改革実現へ向けて、新制度の導入や多くの法改正等の影響なのか、毎週行われる理事者会の審議事項の多さに驚いた。
 また、事務局運営室、調査室、財務室の果たす役割の大きさを知り、その辣腕ぶりに頭が下がる思いだった。
 初めてクレオに赴き、討論の応酬に耳を傾けたり、県知事や横浜市長等ご挨拶する機会もあった。姉妹提携調印をした韓国の水原(スウォン)の陽気な弁護士との交流は楽しく、身近に感じられたことから、改めて国際交流の重要性を認識した。
 恥ずかしがりで人前で話すことは苦手であるのに、挨拶の機会は多くて、その度にドキドキした。4月からの手帳はほとんど空欄で経済的不安は否めないが、この1年は、知らないところを冒険してきたようで、良い経験であったと思う。
 特に事務局職員には大変お世話になったことを心から御礼申し上げます。
副会長 石橋 忠文
 副会長を終わります。大司法改革の渦中で大変疲れましたが、懸命に走ってきた感じです。会の内外、職種を問わず、素晴らしい方々に接することができ大変勉強になりました。
 先輩方のおっしゃるとおり、いろいろ経験でき、やってよかったと感じています。山梨県弁護士会では副会長を3度も務めなければならないそうです。横浜は一度ですからまだましかも知れません。
 個人的には、疲れを癒すため、他の理事者と食事に行き、ピアノを弾き、英語の勉強・読書をするなど、自分なりに大変楽しい充実した日々を過ごさせていただきました。
 会員の皆様、事務局の皆様を始め、お近づきをいただいた方々には大変お世話になりました。有難うございました。

山ゆり
 何気なしに外を歩いていると道を聞かれることがある。自分は道を聞かれることが人より多いらしい。気づいたのは受験生の時である。これはいいことなのだろうか
多分良いことなのだろう。それだけ話しかけやすい柔和な雰囲気に包まれていることの証なのだし、事件も依頼しやすいに違いない
などとひとり悦に入っていると、でも、自分だって怖い顔をして歩いているときだってあるはずだ。あるにちがいないと考え直した。特に最近は厳しい顔をして歩いているつもりだ
それに事件を依頼しやすいのと道を聞きやすいのは似て非なるものではないか。いや、似てすらいないかもしれない。生き馬の目を抜く法曹界で、これからも揉まれていくのだから、柔和な雰囲気で歩いているのでは困るのだ
今後は弁護士の数も増えるし、他業種との競合も増える。司法改革という名の激流の中で、道を聞いても大丈夫ですよというような看板を首から提げているようでは先が思いやられる
などと渋面を作っていたら、「すみませんが、山下公園へはどのように」と声をかけられてしまった。しかも自転車に乗っているにもかかわらずである
これはもう諦めるしかない。自分のやり方で法曹として生きていくしかないのだ。そう自分に言い聞かせて寒い朝を行くのであった。
(両角 幸治)

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