横浜弁護士会新聞

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2004年9月号(1)

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「しみちゃん通信」 拡大版 「いま、日弁連で」
日本弁護士連合会副会長  清水 規廣
 日弁連執行部が今秋に向けて取り組んでいる課題のうち主なものを2つ挙げると、国会対策と臨時総会の準備となります。
 第1の課題、臨時国会で予想される法案のうち日弁連にとっての重要法案は、弁護士費用敗訴者負担法案、裁判外の紛争解決(ADR)の促進等に関する法案、司法修習生給費制廃止法案などです。
 訴訟代理人間で合意した場合のみ敗訴者負担とする政府案では、訴訟外での合意や約款で敗訴者負担が定められたときの手当てに欠けます。日弁連は、廃案とするか、または消費者・労働者・中小企業など劣位的地位にある当事者間の約款等に盛り込まれた敗訴者負担条項の効力を否定するため、必要な立法上の措置を求めています。
 また、ADR法案は、今後、発生する弁護士法72条問題、つまりADRにおける関連士業の代理権問題やサービサー法改正問題などにも影響を与えることになります。内閣司法制度改革推進本部内の検討会で給費制廃止反対を唱えたのは日弁連だけでしたが、私見では、国会対策としては、反対するだけではなく、貸与制導入不可避となったときの条件(実施時期・貸与額・返還条件など)も視野に入れるべきではないかと考えています。
 第2の課題、11月10日に予定している臨時総会の準備。
 議題は、弁護士職務基本規程案、ひまわり基金特別会費徴収に関する総会決議改正案(今年12月末まで徴収を平成19年3月まで延期し、月1000円を1500円に増額するもの)、外弁法改正に伴う会則改正案を予定しています。いずれも昨年度からの引継ぎ案件です。
 日弁連は、司法改革審議会意見書を受け、対外的にも弁護士倫理を改めると決意表明しました。職務基本規程案は、1次案が昨年5月、2次案が11月に会内の討議に付され、今回の案は、1、2次案で指摘された部分を折り込みさらに修正された後、今年7月に理事会に提出され、再び会内で討議して頂いたものです。
 私見では、弁護士のアイデンティティーや弁護士への信頼の基礎は、高い専門能力、少数者・少数価値(人権)の擁護、強い倫理・責任にあると考えます。弁護士人口の増大、業務内容の変化など弁護士や弁護士会を取り巻く環境は著しく変動しようとしています。弁護士の職務遂行における基本的な倫理や行為規範を定め、内外に明確にしておくことは重要であると考えます。
 ひまわり基金については、弁護士過疎対策の充実・深化に伴い、少なくとも司法支援センターが稼動する平成18年度まで継続・増額をお願いするものです。過疎地での相談センターや公設事務所、地方会などの実情について、横浜弁護士会会員の皆様にご理解をお願いする次第です。

第11回民裁懇開催される〜変わり続ける民事裁判〜
−審理のさらなる充実を目指して−
 7月6日、当会五階大会議室において、第11回民事裁判懇談会が開催された。今回のテーマは、(1)計画審理、(2)医療鑑定、(3)専門員制度の3点であった。弁護士会から54名、裁判所から46名の参加者を数えた。
 まず、第1テーマに関して、今後導入されることとなった計画審理について、実験部であった地裁第九民事部の土屋文昭裁判官、市村弘裁判官及び高良健次書記官から報告があった。計画審理は終局を見越して初期の段階で審理計画を立て、その計画に沿って審理を進める審理方法である。裁判官からは実例に基づく経験を踏まえて、計画の建て方や当事者の協議のポイントなどが分かりやすく解説された。また、計画審理を導入しても、和解に関して柔軟な対応が可能であることも報告された。当会の星野秀紀会員、会員から計画審理の体験例が報告された。充実した弁論準備期日の必要性が指摘され、新しい論点が含まれる訴訟で主張が制限されることはないか、といった不安も聞かれたが、一方で各当事者の理解と協力で審理の質が上がるのではという期待も述べられた。
 第2テーマについては、西村則夫裁判官、竹内純一裁判官から、横浜地裁における医療事件に関して、医療訴訟関係協議会が立ち上げられ、鑑定運営要領が作成された経過が報告された。また今後、複数鑑定やアンケート方式など多様な鑑定が取り入れられるとのことである。当会の森田明会員から、鑑定運営要領の作成に関与した経過を踏まえ、公平な鑑定を実現するための課題などの指摘がされた。
 第3テーマについては、河邉義典裁判官、加藤恵美子裁判官から医療事件や建築紛争など、専門委員制度を取り入れる分野などの解説や手続きの透明性、公正性を確保するための留意点などが、当会の森田明会員から裁判所に対する影響力や役割に関する意義と予想される問題点が指摘された。
 テーマも内容も盛りだくさんであり、報告後も活発な意見交換が続き、2時間半の予定をオーバーして大盛会のうちに終了となった。

横弁新聞200号達成!
 横浜弁護士会新聞は、本号をもって発刊200号となりました。長年にわたり毎号御愛読いただきました皆様には心より御礼を申し上げます。つきましては、平成17年1月号において200号記念特集をお送りする予定です。内容は、現在、広報委員会で検討中ですが、記念号にふさわしい楽しい内容を企画していますので是非御期待下さい。

山ゆり
 最近、鍼灸院へ通い始めた。以前に比べて少し疲れやすくなり、思い切って近所の女性鍼灸師さんの元を訪ねてみた。以来、病み付きになっている
最近は「癒し」という言葉は少し時代遅れになりつつあるような気がするが、私にとっては初体験の鍼治療がことのほか「癒し」になることに驚いている
日頃、色々なことに悩み苦しんでる依頼者に接し、知らず知らずのうちにストレスが澱のように体の中に貯まっていたようである。週一回の通院であるが、最初の2〜3回は肩に打つ4センチ程の細い鍼はぐにゃりと曲がり、最後まで入らなかった。ところが、2か月程通った今は同じ鍼が何の抵抗もなくすっと体に入っていくのが分かる
仕事から受けるストレスの解消方法はそれぞれ多種多様である。本紙でも「私のホビー」という大人気連載コーナーがあるが、会員諸氏の趣味にかける情熱がストレスを上手に解消してくれるのだろう
私の場合、運動も新しい事も大の苦手。もちろん根気もない。ゴルフもすぐに挫折してしまった。そんな怠け者の私には、ただ寝ているだけで、終わると体中がすっきりの鍼治療はうってつけだ。この「癒し」の時間は当分手放せそうにない イラスト
さて、皆さんの「癒し」の元は、なんですか?
(佐賀 悦子)

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