横浜弁護士会新聞

back

2004年9月号(2)

next
調停委員も安心 事前打ち合わせを工夫
非常勤裁判官を経験して
惠崎 和則
 今年1月、第1期の民事調停官となり、横浜簡易裁判所で毎週木曜日執務しています。
 弁護士が代理人についていると、とても安心です。私は川崎簡易裁判所で10年間調停委員を経験していますので、調停委員ともすぐに馴染んでいます。
 調停委員と事前打ち合わせの時間をもうけるという工夫をしてみました。これは、自分が調停委員のとき、前もって裁判官の意見を聞けたらいいなと思ったことがあるので実行しています。私の意見が調停委員と大して変わらないとわかると、安心しかつ自信を持って調停を進行していただけるようです。
 全件直接立会が原則ですが、次第に担当事件数がふえてきて、調停室から調停室へ飛び歩くようにもなってきました。難しい問題があると、文献や判例を調べ、必要資料の一覧表を作成して担当書記官にお願いすると、たちどころに庁舎内のどこからか資料を収集して来てもらえます。
 勉強になります。臨機応変にやっています。元気です。

ごぶさたしております 東京地方裁判所より
判事補  阿部 雅彦
 昨年、横浜弁護士会を離れて弁護士任官し、はや1年。現在私は、東京地裁民事第25部(通常部)にて、左陪席裁判官を勤めております。
 裁判官暮らしにも大分慣れ、訟廷日誌がなくても不安を感じなくなり、弁護士バッジが付いてなくても何か襟がスースーするような気がすることもなくなりました。
 裁判所は思った以上に自由な職場で、思うに任せて仕事をしております。合議の席でも思った通りの発言をしていますし、判決も自分が考えるがままに起案しています。もっとも、早く人並みに使える裁判官にならねばならない立場ですから、当然、部長を始め先輩裁判官より親切かつ厳しい指導を受けながら、叱咤激励されております。合議の中で、訴訟進行についての意見もとことん叩かれ、起案も徹底的に添削されます。裁判官としての生き方そのものを学びつつある毎日です。
 諸々のしがらみに悩まされることなく、自らの判断に忠実に仕事ができる点では、やりがいも大きい仕事ですが、反面、自分の判断が事件の全てを決めてしまうことを思うと、精神的プレッシャーは相当大きいものがあります。また、弁護士時代とは違って、判決や決定により、自分の手で直接人を不幸に追いやることもあります。そんな時は、まさに身が切られるような思いがするので、せめて当事者の主張にはできるだけ判断を示したいと考えてしまい、判決文は普通より長くなってしまいます。
 さて、裁判官の生活は、とにかく自分で自由に時間が使えます。もちろん仕事は山ほどありますが、期日を除けば大半がデスクワークで、記録を持ち帰ることはあっても、夕食はほぼ家で食べられますし、土日に出勤することもありません。月末になっても破産申立の催促電話に襲われたりしないので、妻に言わせると、夜、うなされたり寝言を言うことがかなり減ったとのことです。
 弁護士経験を持つ裁判官として、何をなすべきか、色々と考えながら日々を過ごしています。とりあえず、当事者の気持ちを直接知る身として、裁判所利用者に分かりやすく、納得の得られる仕事を懇切丁寧にすることを旨として、期日に臨み、せっせと判決起案をしています。

「プロに学べ!」広報委員会夏季全体会
 7月23日広報委員会の全体会が開催された。松井委員長の開会の挨拶に引き続き、朝日新聞社横浜総局長の両角晃一氏の講演が行われた。
 同氏は1981年に朝日新聞社に入社し、その後、社会部で記者として長年活動され、最近では同社広報部に属して読者からの苦情受付や他のマスコミ対策等をご担当されたこともあり、様々な経験談を交えながら、興味深いお話を聞くことができた。
 新聞記事を作成するにあたって最も大切なこととして、両角氏が講演の中で強調されていたのは、(1)読者の視点に立つことと(2)「書かれる側への配慮(プライバシーなど)」であった。(1)については、いわゆる「9・11テロ」の時の話に触れながら、新聞は他の電子・電波メディアに速報性では劣るが、情報の正確性とオピニオン度(解説)で、読者の信頼に応えて生き残っていく必要がある、とのことであった。(2)については、「曽我ひとみさんの住所報道」を例に、当時の朝日新聞社編集部のチェック体制にまで触れながら、記事を書く際には、人権・プライバシー感覚を持つことが大事で、さらに、記事に対してどういう反応があるかの想像力を身につける必要がある、とのことであった。
 講演の最後には、横弁新聞のバックナンバーについての感想や、質疑応答がなされ、刑事事件での実名報道の問題やマスコミと弁護士との関係など、具体的な話があった。
 今回の両角氏の講演で、我が広報委員は「プロの厳しさ」を教わり、今回学んだことを今後の新聞作成に役立てようと各委員が誓ったはずですので、今後の当会新聞に乞うご期待下さい。
 両角氏の講演後は、横浜弁護士会新聞200号記念特集号(正月号)、メールマガジンの編集体制、横浜弁護士会ホームページ更新等の議題について話合い、その後、盛大な暑気払いで、全体会を締めくくった。

市民相談の拠点としてー横須賀法律相談センター移転ー
 このほど横須賀法律相談センターが,横須賀商工会議所会館からふたつ隣の建物のジュネス横須賀2階に移転し,平成16年8月13日から移転先での相談業務を開始した。電話・FAX番号はこれまでと変わらない。
 今回の移転は,相談センターが入居していた横須賀商工会議所会館が横須賀市平成町に移転することに伴うもの。商工会議所側からは一緒に移転することも打診されたが,移転先が駅から遠い等の問題があった。相談センター運営委員会や横須賀支部で検討した結果,相談センターは市民のアクセスが便利なことが一番大切との結論になり,新たに移転先を探すこととなった。そして,いくつかの移転先候補の中から横須賀中央駅徒歩約8分の新事務所が選定され,移転に至ったものである。
 新しい相談センターは相談室までのバリアフリーが確保され,完全個室の相談室でプライバシーにも充分の配慮がなされている。市民相談の拠点としての利用が期待される。

「法科大学院教員を囲む会」開催−法科大学院生の熱心さに心打たれる−
 今年4月から全国各地で法科大学院が始まり、神奈川県でも4つの法科大学院が開校した。当会からも多数の会員が教員として教鞭を振るっているが、これら会員から、教員就任後の感想や苦労話を聞き、また相互の意見交換を目的として、7月24日ロイヤルホール横浜で「法科大学院教員を囲む会」が開催された。
 高橋理一郎会長の挨拶、佐久間哲雄会員による乾杯の発声に引き続き、川島清嘉会員(横浜国立大学)を始めとして、岡本秀雄会員(関東学院大学)、鈴木繁次会員(神奈川大学)、村瀬統一会員(桐蔭横浜大学)が、順次開校後の感想や学生の反応などについて述べた。
 当日は、土曜日にもかかわらず多数の会員が参加し、「学生の熱心さには驚かされている。」「全く法的素養のない学生を、3年間という短かい期間で実務家法曹のレベルまで引き上げられるかが課題である。」といった各教員の意見に耳を傾けた。

▲ページTOPへ
戻る
内容一覧へ