横浜弁護士会新聞

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2005年11月号(3)

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理事者からの「かけ橋」「多すぎて!足りない!」
「多すぎて!足りない!」
副会長 三浦 修
 とにかく多すぎる。弁護士会の事務職員の仕事量のことである。
 事務職員のみなさんは懸命に弁護士会及び弁護士からの要請に応えようと頑張ってくれているが、残業時間の増大傾向からみて、現在の事務量に対し、対応する職員の人数が決定的に足りないことは明らかである。
 事務職員は一般事務に加え、委員会における弁護士活動の補助業務を行っているが、補助とはいっても、資料整理・コピーの他に、本来委員がなすべき議事録の作成や、実質的な起案を指示されたりする場合もある。またイベントがあれば駆り出されている。指示を出す弁護士は、「弁護士会の職員が弁護士(会)のために仕事をするのはあたりまえだ」ぐらいの意識であろうが、仕事の質・量とも能力を超える範囲まで要求するのは酷というものである。
 現状打破のための方策は、事務の効率化と人員の増加であろう。事務の効率化は、事務局運営室の協力のもとに改善策を模索中である。人員の増加についてもパート職員増員の方向で対応しているが、財政的な限界があり、十分な職員の数を確保するにはお金が足りないのが現状である。
 問題は、いくら事務の効率化をはかっても、またいくら十分の職員数を確保しても、事務職員に対し、弁護士が本来自らすべき仕事を押しつけていたら、結局のところ事務量は増加し、事務職員の負担は減らないということである。
 この点で、会員諸氏の弁護士会事務職員への配慮は、足りているのだろうか?

こちら記者クラブ
 横浜地裁の司法記者クラブ詰めになって半年足らず、聞き慣れない難解な法律用語や、法曹特有の言い回しに悪戦苦闘している。弁護士会の先生をはじめ関係者の方々に、根掘り葉掘り聞いて説明を求める毎日だ(お世話になっています)。
 最近、別の業界で働く友人と酒を酌み交わしながら、お互いの仕事のことを話していた時のこと。酔いの回った友人から「結局、お前の仕事は、弁護士とか検察官とか裁判官が話したり書いたりしたことを、そのまま書き写すだけのことではないか?」と言われた。
 恥ずかしながら一瞬、言葉に詰まってしまった。
 彼の言ったことは確かに、記者の仕事の一側面はとらえている。取材対象者の発言や文章を、なるべくかみ砕いて分かりやすく、かつ趣旨を正確に読者や視聴者に伝えることは記者が担っている重要な役割であることは間違いないだろう。
 だが、こうした役割にとらわれすぎていつの間にか単なるメッセンジャー(ジャーナリストではなくて)になっていないか。友人の素朴な問い掛けは私にこんなことを考えさせた。
 とかく形式的で堅苦しくなりがちな司法関係の記事だが、裁判だって血の通った人間の営みである。その視点を忘れず、人の息吹を感じるような「血の通った記事」を書いていきたいと思う。
 と、偉そうなことを書いていたら、そばにいた同僚記者に「そんな主張する前に、(さっき書いていた原稿中の)日付の間違いとか凡ミスをなんとかしろよ」
 と突き放されてしまった。う〜ん。(了)
 共同通信社横浜支局 小玉原一郎

準備書面は争点ごとに簡潔に!
民事裁判手続運用委員会委員長 飯田 直久
 9月22日に横浜弁護士会で民事裁判懇談会が開催された。この民事裁判懇談会(略して「民裁懇」)は、横浜地裁の民事部所属の裁判官と当会会員とで、民事訴訟手続に関する実務的な諸問題を協議する場として始まり、今回で13回を数える。
 今回は、「民事裁判における主張と立証活動の実務における運用について」と題して、準備書面と陳述書を中心とした意見交換がなされた。
まず、「いい準備書面と悪い準備書面」というテーマでは、(1)準備書面は要件事実に沿って争点ごとに、陳述書は時系列に沿って記載するのがいい、(2)強調やアンダーラインといった装飾は適度であれば好感が持てるが、強調したところの的が外れていたりすると却って印象が悪いのでは、(3)分量としてはなるべく簡潔にまとめれば通常の意見なら10ページ程度で収まるのではないか、といった意見が出された。
 次に、「陳述書と証拠調べの運用について」というテーマでは、(1)尋問のときにどう使うかを考えて陳述書を作成するのがいい、(2)具体的な発言を「 」で囲うとリアルで読み易い、(3)陳述書があっても本人が裁判官に聴いて貰ったということが大切だし、感情のこもる部分は実際に生の声でないと伝わらないこともあるので主尋問は必要である、(4)尋問の際は陳述書の内容と証言とが食い違っていないかどうかに着目している、といった意見が出た。また、裁判官からは、裁判所に提出する書類はFAXとは別にクリーンコピーを提出して欲しい、書記官からも、証言台の近くに立って重複して発言したり咳払いなどは注意して欲しいとの要望が出された。
 当日は、テーマが身近だったこともあり、横浜地裁の淺生重機所長からも自らの体験に基づく意見をフランクに述べて頂くなど、積極的な意見交換がなされた。裁判官の目から色々な意見が出され、今後の訴訟活動にとって非常に参考となる懇談会となった。

常議員会レポート第7回(平成17年10月13日)
 今回の常議員会は、当会事務職員の懲戒処分という重大議題が提案されたことから、活発な議論がなされ、他の案件も含め、約4時間に亘る今期最長の常議員会となった。
〈議案〉
 前回、理事者から、懲戒請求事件につき綱紀委員会の担当職員の下で事務作業の停滞があったことの報告があったが、今回、当該職員懲戒処分の件につき討議された。
   議案の審議に先立ち、理事者による調査の中間報告がなされたが、事件の原因につき当該職員に業務が集中し業務過多となっていたこと、綱紀懲戒事案のチェック体制が不備であったことなどの指摘があり、また、発覚後に講じた再発防止のための対応策・措置についての説明がなされた。その後、第1号議案として、当該職員に対する懲戒処分に関する提案がなされ活発な質疑応答がなされたが、中間報告だけでは、適正な判断が困難であるとの意見が複数あり、継続審議となった。また、事件の原因究明のための調査委員会を設置すること、また、委員会のメンバーについては、常議員および平成15年度より以前の副会長の中から3ないし5名を、議長・副議長が選任することを議決した。
 4名の当会への入会申込者があったが、全員の入会を承認した。4名のうち3名は第一東京弁護士会から登録換えであり、他の1名は東京弁護士会からの登録換えである。
 日弁連から照会があった同会策定にかかる「裁判所の処置請求に対する取り扱い規程(案)」についての当会回答につき、執行部案を否決した。
 日弁連から照会があった同会策定にかかる「開示証拠の複製等の交付等に関する規程(案)」についての当会回答につき、執行部案を否決した。
 日弁連からアンケート照会があった「日本司法支援センターの設置に伴う(財)法律扶助協会実施の自主事業のあり方」についての当会回答につき、執行部案を事後承認した。当会の回答内容は、刑事被疑者弁護援助事業等の4事業について弁護士会の直営事業とするとの内容である。但し、同回答は、暫定的な意見であるとの理事者の説明があった。
  「死刑確定者の死刑執行に対する会長声明」発表につき、事後承認した。
 本声明は、9月16日、大阪拘置所において死刑確定者1名に対し死刑が執行されたことを踏まえ、法務大臣に対し、今後、国民的議論が尽くされるまでの間、死刑の執行を差し控えること、死刑制度に関する情報の開示を求めたものである。
 勤続10年以上の職員3名、パート職員2名を表彰するにあたり支給される賞給の額につき承認した。
 法務大臣及び神奈川県内の刑務所長宛の刑事施設視察委員会に関する申入れの件につき承認した。
   本件申入れは、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律に基づく刑事施設視察委員会に関し、その設置準備を直ちに開始すべきこと、委員数はできるだけ多く任命すべきこと、当会弁護士から複数の委員を任命すべきことを申し入れたものである。
〈報告事項〉
理事者から以下の報告があった。
 横浜市・人権擁護委員等8件の人事推薦及び委員推薦をしたこと。
 弁護士任官に関する関弁連からの問い合わせに対し当会からの推薦は無かったこと。
 日弁連から依頼を受けた「シンポジウム:高金利問題を考える」(仮称)(H17・11・19、於クレオ)につき共催すること。
 特定非営利活動法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワークからの申請を受けた「第8回子ども虐待防止シンポジウム」(H17・11・19〜11・20)に対して当会の後援名義の使用を許可したこと。
 当会相模原法律相談センターに「多重債務相談センター」を開設したこと。
 当会の会計顧問(公認会計士・税理士:吾妻賢治氏)と顧問契約を締結したこと。
 第10回人権賞受賞者を決定したこと。受賞者は、「特定非営利活動法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」及び「特定非営利法人多言語社会リソースかながわ」の2団体である。
 10月2日開催した弁護士フェスタのメインプログラムとして、憲法改正プレシンポジウム開催したこと、これを日弁連に報告したこと。
 11月25日及び26日、横浜市で韓国水原地方弁護士会と交流会を実施すること。
10  日本司法支援センター設置に向けて職員に対しアンケートを実施したこと。

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