横浜弁護士会新聞

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2005年12月号(2)

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第14回 過去最多の参加者! 業務改革シンポジウム in 金沢
 日弁連の主催で、「司法改革と弁護士業務」と題して業務改革シンポジウムが10月7日、金沢市の石川県立能楽堂などで開催された。このシンポジウムも今回で14回目を迎え、弁護士の参加者も700名とこれまでで最多となった。
 法科大学院制度により、現在年1500人程度の司法試験合格者が2010年ころには3000人に倍増。弁護士人口も飛躍的に拡大するということで、新たな業務の開拓や業務の合理化、高度化をいかに図るかということを題材に行われた。
 具体的には3つの分科会に分け、第1分科会は「地域の特性に応じた法律事務所の多様な展開」とのタイトルのもと、都市の規模に応じたマーケティングの必要性を説き、開業お勧めマップなるものまで披露した。単位会レベルではなく支部単位で分析されており、なかなか興味深い資料である。ぜひ一度ご覧になるといいのではないか。
 第2分科会は「新たな挑戦に向けて−弁護士業務の新規領域を探る−」というタイトルで、新分野に進出した弁護士の体験発表やサンフランシスコの法曹事情の報告、新規業務開発5ヶ年計画を発表した。
 第3分科会は、「ここまできた司法IT化の波」とのタイトルのもと、「e裁判所構想」の発表や「ハイパー法律事務所」の実演などが行われた。米国の一部などではWeb上の裁判所が観念されているらしい。「ハイパー法律事務所」とは、テレビ電話を介して弁護士と遠隔地にいる依頼者とが直接に会話したり、登記簿などの書類をインターネット上でやりとりしてみたりと、実演形式でわかりやすく、注目が集まっていた。
 筆者もシンポの実行委員として第2分科会でサンフランシスコの法曹事情についての報告を行った。サンフランシスコでの調査における感想は、一言で言えば、利用者の裁判に対する厚い信頼感が法曹のあらゆる分野を支えているということである。
 各分科会でなされた提言は、今後関係各所に働きかけていくとのこと、楽しみにしたいと思う。
(澤田 久代 会員)

専門士業の連携はどうあるべきか ADRの今後の展開につき活発な議論
 9月22日に福岡県弁護士会が主催した第9回全国仲裁センター連絡協議会が開催された。平成16年12月に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」が成立し、ADR(裁判外紛争解決機関)の拡充・活性化がいよいよ本格化する時期に開催されたこともあって、盛況で且つ充実した協議会となった。
 参加者は160名を超え、弁護士の他弁理士、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、社会保険労務士及び建築士や九州大学の教授、法務省の司法法制部担当官も出席した。主な議題は「ADR機関の連携」だった。
 第1部は、川嶋四郎九州大学大学院教授の基調講演で、民事裁判の迅速化傾向と民事訴訟の目的と限界、今後ADRが果たすべき役割からその展開とADR機関の連携の重要性についての解説がなされた。
 第2部は、ADR機関の協働を内容とするパネルディスカッションが行われた。
 各士業から活発な意見が出され、今後のADRの展開等に対する参加者の熱意が感じられた。
 当会からは、橋担当副会長、木村良二紛争解決センター運営委員会委員長を含め6名が参加した。
 来年度は、当会が主催し第10回全国仲裁センター連絡協議会を開催する予定となっている。
 当会会員には、是非来年度の同協議会開催について協力をお願いするとともに、紛争解決センターの使い勝手の良さ、短期解決のメリットを理解して頂き、今後もさらなる同センターの利用をお願いしたい。
(田中 隆三 会員)

初のこころみ 県西全域無料法律相談会
小沢 靖志 県西支部長
 県西支部は9月30日に県西全域無料法律相談会を実施した。この相談会は、県西支部会館を何か市民サービスのために有効活用できないかという観点と、前理事者の県西地域各市町村回りに同行した際に各市町村との友好協力関係構築の必要性を実感したことから企画されたものである。
 支部会員62名のうち、27名の協力を得て、県西地域全18市町村に1、2名の弁護士を派遣した他、支部会館でも4人の会員が相談を担当し、相談受付件数は126件であった(弁護士フェスタでの相談件数を上回る)。
 各市町村の評判は良好で、派遣弁護士の増員を求められたり、受付事務の代行を申し出てくれた市町村もあった。
 本庁周辺の都市部と違い、県西地域は住民・市町村に弁護士会の存在が浸透していないきらいがある。弁護士会をPRするとともに、ささやかながら法的市民サービスを行うことができた。
(小沢 靖志 県西支部長)

専門実務研究会紹介(5) 会社法研究会 これからが本番
國村 武司 会員
 会社法研究会は、他の実務研究会とともに本年3月に発足した。原則毎月1回第4火曜日が研究会の開催日である。
 言うまでもなく、会社法及びそれをとりまく周辺商事制度の研鑽を深め、研究会員の日頃の業務に役立つ研究会を目指している。
 当初研究会の運営方針についてはさまざまな意見があり、所属する会員の年齢構成にも幅があったため、これまでの改正商法の動きを押さえたい、事例研究で実務に則した知識を獲得したい等の意見があった。
 そうした中、新会社法の制定を間近にひかえ、現在の制度につき充分な知識を踏まえたうえで、新会社法研究への移行を図った方が良いという考えから、本年4月から10月まで合計5回にわたり、平成2年以降同15年までの商法改正につき、(1)機関(株主側)(2)機関(経営者側)(3)資金調達、会社の計算(4)株式、資本(5)親子会社、組織変更等の5つのテーマに分けて、若手で意欲のある会員の先生にお願いし、講義形式でレクチャーをしてもらった。
 毎回レジュメを作成していただき、担当の各先生には大変なご負担をかけたが、新会社法前の商法改正についてはほぼ網羅ができ、知識の整理に役立ったのではないかと考えている。
 そこで、今後の研究会の活動方針であるが、これが結構難しい。新会社法が本年6月29日に成立し、一部を除き来年4月からの施行が予定されているので、当然これが研究対象になることは間違いない。
 しかし、会員各自の仕事の領域では、中小企業を対象にしている方もいれば、大企業関連の仕事をしている方もいるという具合で様々である。さらに研究方法についても、新会社法の全体像をつかむことに中心を置くか、事例研究のように各問題点ごとに議論していく方がよいか。特に新会社法の膨大な条文数からすれば、これを詳細に研究していくことが果たして実際的か。
 さらに後者としても、商工会議所等の機関と連携して実際の問題点を探して検討した方がよいのか、それともQ&Aのような簡単な論点ごとの研究がよいのか、はなはだ難しい。
 今後は、幹事間で研究方法を検討する予定だが、個人的には新会社法の概略を一応押さえたうえで、商工会議所等の情報も得ながら現実のテーマを選定し、研究を深めていくのも面白いと考えている。
 これからが会社法研究会の本番です。意欲のある方は是非参加してみて下さい。待っています。

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