横浜弁護士会新聞

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2005年12月号(3)

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理事者からの『かけ橋』「バトン・リレー!」
「バトン・リレー!」
副会長 前田 一
 今年の8月開かれた世界陸上競技の男子4×100Mリレーで、大本命のアメリカは、決勝のスタートラインにさえ立てなかった。リレー選手4名がそれぞれ100Mを走ったときの合計タイムは、他の国の追随を許さなかったのに、バトンの受け渡しを失敗したからだ。
 当会の理事者も、前期から引き継いだ後1年間、全力で執務をし、次期へ引き継ぐので、100Mリレーの選手に近いと思う。だから、理事者間でのバトンの受け渡しというべき事務の引き継ぎは、とても重要なはずだ。
 しかし、奇しくも今年の8月、事務の引き継ぎの失敗も一因となって、綱紀・懲戒事務の遅延が発覚した。当会の元会長は今年の6月、ある会合で、当会では理事者間の事務の引き継ぎが不十分であると警鐘を鳴らされていたが、それが現実のものとなってしまった。
 100Mリレーでバトンを受け渡すゾーンの長さは20Mだが、次走者はこのゾーンの10M手前からスタートをしてよいことになっているので、正式な競技では普通、バトンを持った走者とそれを受け取る次走者は約25M、つまり100Mの4分の1を併走することになる。
 今年も次期理事者の候補者を話し合う会合、いわゆる梅香亭が始まっている。是非とも1年の4分の1に当たる3ヶ月間、現理事者と次期理事者(候補者)が併走できるように、年内には志のある者が出揃って欲しい。

私の独立した頃 私の2つの「宝物」
私の2つの「宝物」
 昭和52年4月に登録し、2年間関内でイソ弁を勤め、54年4月に出身地の小田原で独立。独立する時には、小田原の大先輩でもあり、弁護修習の指導担当をして下さった日下部長作先生に相談した。「毎月決って出るものを少なくしろ」との助言を得た。駅前ではあったが、全部で8坪。それまでは倉庫だった。しかもエレベーターのない5階で、ラセン状の階段は実に75段。
 独立して3ヶ月経った時に、先生から「仕事はあるか?」と聞かれた。「国選ばかりやっていますが、まだ報酬をもらう段階にはなっていません」「そうか」と言われた。
 それから10日位後に、9時半頃突然先生が来られた。「10時の予定は空いているか。この事件に行って来い」と言われ、和解条項と復代理の委任状を手渡された。
 更に1週間位後の夕方に、先生が復代理の件の依頼者を連れて来られ、その依頼者に報酬の80万円をそのまま私の方へ支払うようにと言われた。私が自分の名前の領収書を作成したのは、この時が初めてだった。このことが呼び水となり、少しずつ事件の依頼が出始めた。日下部先生が亡くなられ、出棺の時、私は地面に着く程深々と頭を下げた。でも未だに、先生への御恩返しはできていない。
 昭和54年から55年にかけて担当した窃盗未遂の国選事件で、無罪判決を得た。本来右利きの被告人が、なぜ左手で盗ろうとして逮捕されたのか疑問に思った。私が法廷で書類を被告人に突き出した時、被告人は咄嗟に右手で避けた。裁判官もこの動作を見ていてくれた。起訴状、論告、弁論要旨、判決文を私の研修所の刑弁教官であった宮原守男先生に送った。宮原先生は、私に身に余る有難いお言葉を贈って下さった。この事件は、検察官の控訴なく確定し、この事件記録が研修所の白表紙に採用された。鳥肌が立つ程、嬉しかった。
 この2つが、私が独立した頃の忘れることのできない「宝物」である。

こちら記者クラブ 自社の仕事は後回し
 「記者発表したいけど、窓口が分からない」「幹事社はどうしてすぐに交代するの?」このような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。司法クラブの仕組みを、幹事社の仕事を通じて説明したいと思います。
 横浜司法記者クラブには新聞社、通信社、テレビ局の計16社が加盟。4社ずつが「月幹事」となり、1カ月ごとに交代します。月幹事4社は話し合いでほぼ1週間ごとの「週幹事」を決定。週幹事1社が該当の期間、司法クラブに詰め「窓口」となります。
 私が週幹事だった10月2週目には、「横浜事件」の再審初公判がありました。午前11時開廷とあって、夕刊や昼のテレビニュースで報道する社にとっては微妙な時間帯。弁護団との事前協議が重要になりました。
 膨大な「冒頭意見」を法廷内で初めて聞いていては、正確な速報は見込めません。法廷で読み上げられた部分から報道を解禁するという条件で、弁護団に事前の資料配布を要望し、了承を得ました。東京の弁護士事務所に資料を取りに行き、クラブで各社分をコピー。このほか、公判後の会見場所の設定、法廷内撮影をめぐる構浜地裁での手続きなどに追われた1週間でした。幹事社の業務のため、自社の仕事は後回しになることもあります。
 県警クラブと兼務するクラブ員も多く、各社それぞれの事情もありますが、「開かれた司法」が求められる中、広く司法クラブを利用してほしいという気持ちは共通のもの。ぜひお気軽に司法クラブ=045(201)3360=に連絡をください。
東京新聞記者 佐藤 大

常議員会レポート第8回(平成17年11月9日
〈議案〉
 前回に引き続き、綱紀委員会担当事務職員の懲戒問題が、議案として提出された。前回の常議員会の決議に基づき、調査委員会が設置され、選任された4名の委員により調査が開始された。審議に先立ち、調査委員会から中間報告がなされたが、報告によれば、委員会は、既に3回委員会を開き、その間、資料の検討、関係者の聴き取り等、事務局運営室と協力し、精力的に調査を遂行しており、次回の常議員会までに最終報告を提出する予定であることが確認された。
   上記報告を受け、本件は継続審議案件とすることを了承した。
 3名の当会への入会申込者があったが、全員の入会を承認した。3名のうち2名は第二東京弁護士会から登録換えであり、他の1名は東京弁護士会からの登録換えである。
 日本司法支援センター地方事務所副所長を常議員会付議事項とすることを承認した。「横浜弁護士会弁護士の人事等に関する規則」第2条、第5号によれば「その他常議員会が特に指定した地位」につき、常議員会の付議事項となされているが、本件地位が新たに加わったことになる。
   上記決議に基づき、山本一行会員(33期)を同副所長候補者として推薦することを承認した。山本会員は、刑事弁護センター運営委員会の前委員長である。
   日弁連照会にかかる「法律事務所等の名称等に関する規程(案)等について」執行部案が提出されたが、同案は、日弁連の規程案の字句等形式的な側面についての意見であるところ、名称に関する内容的な側面の検討をした上で当会の考え、方針を打ち出すべきであるとの議論がなされ、次回までにこれに沿った意見案を検討し、次回、再度提出するとのことで、本件議案は撤回された。
 「死刑執行停止に関する全国公聴会」を開催することを承認した。
   同公聴会は、本年5月の東京公聴会、9月の岡山公聴会に引き続き第3弾の公聴会であり、来年2月4日、横浜弁護士会館において、日弁連、関弁連と共催で開催されることが予定されているものである。
〈緊急議案〉
 相模原市から回答要請があった「相模原市要保護児童対策地域協議会構成員」に、横浜弁護士会相模原支部が団体として参加することを承認した。
〈報告事項〉
理事者から以下の報告があった。
 横浜弁護士会125周年記念行事が本年12月3日(1時開場、1時半開会)、横浜弁護士会 5階で開催されること。
 平成18年10月1日からの被疑者国選弁護制度、私選弁護士紹介制度の実施並びに日本司法支援センターの業務開始に伴い、横浜地方裁判所に対して、その運用等につき、協議の申入れをしたこと。
 公設事務所の開設準備状況につき、現在、人材の確保ができず、開設の目処が立っていないこと。

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