横浜弁護士会新聞

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2006年1月号(3)

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模擬労働審判 全国に先駆け開催
 昨年12月5日午後1時30分から、横浜市情報文化センターにおいて、全国に先駆けて、当会主催の「模擬労働審判」が開催された。参加者は、弁護士、裁判官、労使双方の関係者、行政関係者など多方面にわたり、その数も200人近い盛大なものになった。このように多方面から多くの人々の参加があったことからも、労働審判制度に対する関心の高さが伺われるものであった。
 今回の模擬審判は、頭で色々考えるよりも実践してみて具体的なイメージをつかもうということが目的であったところ、演者の熱演もさることながら、模擬審判開始前や模擬審判の合間のポイントごとの解説により当初の目的は達成できたと感じている。
 お互い紳士的にという労使の合意のおかげか、模擬審判は円滑に進行し、その後1時間以上に渡って質疑応答が続いた。主な質問者は労使双方の関係者であり、紛争解決の実効性の有無、審判員の具体的な役割、制度の宣伝不足、審判員が出身母体を名乗るべきかどうか、本件ではこうすべきだったのではないかなど、鋭い意見が次々と出され、参加者の具体的なイメージ作りに役立ったのではないかと思われる。
 労働審判制度は、本年4月から実施されることとなるが、今回の模擬審判の参加者の熱意からすれば、必ずや意義ある制度となると感じた。
(佐々木 光春会員)

こちら記者クラブ 分からない被告人
 初公判も迫っているのに、被告人が「自分が誰だか分からない」と言い始めたら…。そんなとき弁護士の方々はどうするだろうか?
 私が和歌山支局勤務だった平成15年、和歌山県内の民家に侵入した男が住居侵入罪で起訴された。ここまではよくある話。だが、この男性被告、記憶喪失で自分の名前すら思いだせない。担当の弁護士も「誰なのか分からない」と相当困った様子。
 男性被告の身元を探る手がかりは、逮捕時に持っていたスケッチブックに描かれたプロ級の腕前の絵と、取り調べた捜査員の前で口ずさんだ「遠賀の流れ清らかに…」という福岡県にある小学校の校歌の一節。
 周囲の努力もむなしく男性被告は「氏名不詳」として初公判を迎え、男性の記憶が戻らないまま、和歌山簡裁は罰金10万円の判決を言い渡した。判決では、未決拘置期間のうち20日間が罰金の支払いに相当すると認められ、男性は施設に入所した。
 地方で起きたこの微罪ともいえる事件に、新聞やテレビなどマスコミの関心は高く、「記憶喪失の男」と大きな扱いで報じたせいか、まもなく身元が判明し、京都の実家に帰ったという話を聞いた。
 私はといえば、判決の数日後に前和歌山市長が背任容疑で逮捕され、接見する弁護士に連日取材することになったが、こちらも「分からない」を繰り返した。「(否認の意味で)なぜ逮捕されるのか分からない」と…。
産経新聞社横浜総局 峯 匡孝

常議員会レポート第9回(平成17年12月8日)
〈議案〉
 日弁連から照会があった同会策定にかかる「開示証拠の複製等の交付等に関する規程(案)」についての当会意見案を原案どおり承認した。
   日弁連の規程案は、改正刑訴法第81条の3ないし5で、「開示された証拠の管理」「開示された証拠の目的外使用の禁止」及び「目的外使用の罪」についての規定がおかれることになったことを受けて、その本来意図しない弁護活動の萎縮や、訴追機関等からの弁護活動への介入を招く余地を残すことは避けるべきものとして、意見が提出されたものである。
 人権申立事件に関する勧告案を承認した。本件事案の申立人は横浜拘置支所に勾留中の被告人であるところ、最終弁論直前に軽屏禁に文書図画閲読禁止が併科され、これに随伴し筆記用具の引き上げがなされたものであるが、刑事裁判における被告人の防御権の観点から筆記用具を引き上げたことが人権侵害にあたるとしたものである。
 第7回から継続している事務局職員の懲戒問題につき、本件調査委員会委員長から事実関係の調査結果の報告があった。同報告後、執行部から、諭旨解雇の処分案が提出され、これを承認した。
 前項の決議に伴い、緊急案件として、管理職2名につき、懲戒処分案が提案されたが、減給処分とすることを承認した。
 1名の当会入会申込者があり、入会を承認した。東京弁護士会からの登録換えである。
 「横浜弁護士会弁護士の人事等に関する規則」(「その他常議員会が特に指定した地位」を常議員会の付議事項とする規則)に基づき包括外部監査人及び日本司法支援センター地方事務所事務局長を常議員会付議事項とすることを承認した。
 上記承認を受けて、横浜市包括外部監査人として仁平信哉会員(38期)及び佐藤修身会員(36期)を推薦することを事後承認し並びに日本司法支援センター地方事務所事務局長として中村れい子会員(26期)、民事副所長として佐藤昌樹会員(41期)を推薦することを承認した。
 横浜弁護士会司法修習生実務指導実施要綱の一部を改正することを承認した。
   改正内容は、修習生の増加に対応するため、個別指導弁護士の実務経験の年数を従来の原則8年以上から原則7年以上と改正するものである。
10  今般の綱紀調査事務滞留問題を契機に再発防止のための、「諮問機関」を設置すること及びその設置要綱案を承認した。
11  日弁連照会にかかる「法律事務所等の名称等に関する規程(案)等について」と題する照会につき、継続案件とする事を承認した。
12  千葉県弁護士会松戸支部で開催される第3回首都圏弁護士会支部サミットにおいて採択予定の「宣言」につき本会4支部の名を連ねることを承認した。
13  第10回全国仲裁センター連絡協議会を平成18年度横浜弁護士会において開催することならびに実行委員会を設置することを承認した。
14  綱紀委員会が下した当会会員1名に対する懲戒相当の決定を受けて、被害拡大防止の見地から、これを事前発表することを承認した。
〈報告事項〉
 理事者から10項目の報告があったが、主なものは以下のとおりである。
 民事調停委員他5件の人事推薦がなされたこと。
 横浜弁護士会125周年行事が成功裏に終了したこと。
 1年8か月分の当会会費を滞納した当会会員に対し綱紀委員会の調査を求めたこと。

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