横浜弁護士会新聞

2006年5月号  −4− 目次

旅行同好会 ただ日本を離れよう
大原 修二会員
 当会社交委員会の行事として毎年国内旅行が行われていました。
 昭和62年頃から、香港、シンガポール等の海外旅行を始めました。その頃は総勢50名が参加する大旅行でした。毎年七夕の頃、弁護士及び事務所職員、家族、知人の多数の方々が参加される楽しい旅行です。今は亡き箕山保男、桃井?次、山内忠吉、陶山圭之助、植村秀三の先生方々との楽しい旅行が思い出されます。平成元年頃よりは弁護士会行事としての旅行は中止されたので同好会として発足し今日まで海外旅行を毎年継続してきました。
 韓国、台湾、マレーシア、ハワイ、オーストラリアのケインズ、ベトナム、ラスベガス、グランドキャニオン、北京、承徳等々に行きました。一昨年はニュージーランド、昨年はトロント、ナイアガラと旅行先もいろいろ変えています。個人、家族旅行も良いものですが、各事務所、またはその知合いの方々との本同好会のツアーもまた趣があるものです。
 仕事に追われているのが弁護士の宿命ですが、利害関係もなく、目的もなくただ参加するのも良いものです。
 今年は7月11日〜16日のローマ、ナポリ5日間の旅行を予定しています。既に行かれたとしても、日本を離れ、仕事を忘れ、何かにときめきつかの間の人生を楽しみましょう。今年も、ご家族、友人、知人をお誘いのうえ是非多数参加されることをお願いしたいと思います。ご案内を差し上げますのでご連絡下さい。
大原法律事務所(電話045−681−5175)まで

新人弁護士奮闘記
差し入れできなかった原稿用紙
第55期 伊藤 諭 会員
 東京から登録換えで川崎に来た私は「新人」のご多分に漏れず刑事事件を多く手がけていた。その中のひとつ、単純な暴力行為等処罰法違反、住所不定無職の被告人の話である。
 私はいつもまず被告人に手紙で事案等に関して回答してもらっている。通常はそっけない回答がほとんどだが、彼は違った。表裏にびっしりと自作の小説が書いてあり、最後に老眼鏡と原稿用紙を差し入れるよう指示してある。あらすじは、多摩川の河川敷で自分をモデルにした主人公が大手飲料メーカーの缶コーヒーを飲んで空を見つめるといったものだ。この数行が何千字にも及んでいるのである。これは決して褒めているのではない。
 接見に行くと、彼は私が若いということでへそを曲げてしまった。腹が立ったが、話が小説に及ぶと少し顔が緩むのを私は見逃さなかった。聞けば本気で出所後は大手飲料メーカーのエッセーコンテストの賞金30万円を当てにしているらしい。執行猶予の見込みについては何度となく聞かれたが、彼は大賞の見込みを聞いてきた。こんな質問は後にも先にもこれっきりだ。「面白いんじゃないですか」。口が滑った。心裡留保。それを境に私と彼は和解した。
 後日、老眼鏡と原稿用紙を百円ショップで購入していった。老眼鏡は大丈夫だったが、原稿用紙は交渉したものの差し入れられなかった。接見後、宅下げで裁判官宛の手紙を受け取った。身上や反省そして全く同じ文面の小説が書かれていた。
 公判では手紙を証拠提出した。今後について話が及ぶと、「俺は才能を見つけたから、もう悪いことはしねえ」と不機嫌そうに、しかし力強く言った。多分に主観的ではあるが、更生の「意欲」というものを実感した(なお、裁判官に「才能って何?」と聞かれたがその詳細は割愛する)。実刑事案だが、求刑からは相当減刑された。
 あれから数か月、事務所で缶コーヒーを飲みながらふと見上げると書棚にあのとき差し入れできなかった原稿用紙があった。

いろいろな相談にお応えします。
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編集後記
 春眠暁を覚えずの季節です。暁は「ギョウ」と読み、明知の意味です。魏の時代の字書である広雅に「暁は慧(サトル)なり」「暁は智なり」「暁は説くなり」とあります。暁(ギョウ)のない身とはいえ、せめて目が覚めているときは「暁を覚え」たいものです。
デスク 栗田誠之   1面担当 岩田武司   2面担当 池本康次
      3面担当 山田一誠   4面担当 久保義人

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