横浜弁護士会新聞

2010年10月号  −1− 目次 

弁護士会館のリニューアル 検討始まる
会館調査検討委員会副委員長 仁平 信哉
現状及び問題点
 当会の弁護士会館は、昭和46年2月4日に竣工した。
 その後、当会会館の老朽化が進み、平成4年には、この修繕のために3億1000万円の費用がかかることが判明した。
 そこで、平成6年2月25日に臨時総会が開かれ、会館維持運営資金を設け、会員1人あたり55万2000円の負担をすることとした。
 現在の会館は、1階に法律相談センターと刑事少年係を配置し、法律相談室7室を設け、2階は事務局と理事者会議室・面談室、3階以上は会議室や会員控え室となっている。
 当会の会員数は、現在既に1100名を超え、その事務所所在地は県内各所へ拡散化の一途を辿っており、早期に独立する会員にとっては、当会会館は執務スペースや打合室が不十分であるとの指摘がなされている。
 また、当会の会務は市民サービスのため拡大の一途を遂げ、約50の委員会が活動している。刑事弁護センター運営委員会や民事裁判手続運用委員会など、複数の部会を抱えて活動しなければならない委員会も増えている。懲戒申立等の弁護士自治のために必要な活動や、人権救済申立等重要な活動も多くある。さらに、増加する司法修習生のための研修や新規登録弁護士研修、14の専門実務研究会が熱心な研究活動を行っている。そのため、平均すると、一日約12の委員会活動が当会会館の中で行われている。
 当会会館の建て替えについては巨額の費用を要することから、平成21年に耐震診断を行った上で耐震補強工事を行い、大地震が発生しても直ちに倒壊する可能性が少なくなった。今後も拡大していくであろう当会の人数や機能に対し、どのように当会会館を変更していくことが必要かということなどが議論されてきた。
変更プラン
 現在議論されている案では、現在の1階の相談室を6名や8名の単位でも相談できるような部屋割りに変更した上で、早期に独立する会員や支部の会員が会館でも執務して打ち合わせができるスペースを確保しなければならないと考えている。1階のスペースでは、会員の交流できるスペースや簡単な打ち合わせができるようにした方が使い勝手が良いのではないかとも言われている。
 当会の事務量は増大する一途であり、多くの新入会員のための諸手続・研修、被疑者国選の処理、また外部人事や弁護士会の活動のための連絡等、事務局の増大に歯止めをかけることはできない。現在、1階と2階の決して広くはないスペースに約50名の事務局員が稼働しているが、事務局員一人一人の十分な就労スペースが確保されているとは言い難い。
 このため、現在の理事者応接室を4階に特別会議室として別に設け、2階と3階を事務局及び理事者のスペースとして割り振ることを考えている。
 4階と5階については主として会議室を予定しているが、少人数の委員会も多くあることから、4階の会議室についてはできる限り区切りが自由になるような構成での改装はできないか検討中である。
将来の検討課題
 当会会館の内装変更は、今後10年20年の弁護士活動を見据えたものでなければならない。すなわち、将来において変化していく弁護士の役割に対し、機能上、弁護士会館がこれに応え得るものでなければならない。
 会議室や事務局の機能が弁護士会の役割の変化に即応できるようにするとともに、会館には、早期に独立する会員や支部の会員が他会の弁護士の方々や依頼者と打ち合わせを行うことのできる場、あるいは、増大を続ける当会会員が相互にコミュニケーションを図ることのできる場としての位置づけも求められる。そのためには、関連する各委員会や支部などの間で、会内コンセンサスの確立を図る必要がある。また、長期に及ぶことが予測される事務局の移転についても綿密な計画の下に実行されなければならない。このように、問題は山積している状況にある。
リニューアル実現に向けて
 現在、これらの問題を検討するために、理事者、会館調査検討委員会、法律相談センター運営委員会、事務局運営室、財務室で、合同の関係委員会会議が開催されている。事務局に関する問題については、事務局運営室の調査を待つべきとの見解や、法律相談センターのあり方は全会員に影響することであるとともに、会館外で法律相談を行うようにする場合には資金的な目途が立たないなどの意見も出されている。
 未だ多くの議論と調整が必要であるが、今後想定される当会の変化に長く対応できる会館のリニューアル化を実現したいと考えている。
 
一階平面図案
フロア案内

山ゆり
 日本のGDPが中国に追い抜かれた。彼我の成長率の差を考えれば、「世界第2位の経済大国日本」は、このまま死語となるのであろう
思えば、「1億総中流」に「終身雇用」など、日本社会の安定と経済的繁栄を示していた言葉は、尽く死語となった。代わって耳にするのは「格差社会」や「ワーキングプア」。いずれも否定的な言葉だ
翻って弁護士業界を見た時、いつの間にか「ノキベン」や「ソクドク」という言葉が使われるようになっている。しかも、どちらの言葉も、弁護士の増員に伴う、若手弁護士の窮状に触れる文脈で使われることの多い言葉だ。日本社会と同様、弁護士業界も、いつまでも安泰ではないのかもしれない
しかし、弁護士の前身である代言人は「三百代言」などという有り難くない蔑称を頂戴していた。その後、「弁護士」という言葉が一定の社会的評価を得るようになったのは、多くの先人の努力と苦労の賜物であろうコスモス
社会は常に遷ろう。弁護士業界も同じであろう。今後、弁護士業界の有り様がどのように変化していくか、楽しみと共に不安も感じるが、日々の積み重ねが将来の評価を決めると信じて、己の職責に全力を尽くしていきたい。
 
(田渕 大輔)

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