横浜弁護士会新聞

2011年4月号  −3− 目次

法曹人口問題 会館リニューアル について激論 平成22年度会員集会
 2月9日、法曹人口問題と当会会館のリニューアル計画を議題として、当会会館5階会議室において平成22年度会員集会が開催された。会員の関心の高さを表すように、会場には100名を超える会員が集まった。
 冒頭、水地会長から、法曹人口問題を議題とした理由の説明があった。近年の法曹人口の増大を受けて、全国各地の単位会で激しい議論がなされ、昨年の12月に日弁連の法曹人口政策会議が「中間取りまとめ案」を発表したことから、当会としてもこの問題に対して意見を表明したいというものである。
 執行部による基調報告の後、会場からは活発な意見や質問が相次いだ。法曹の「質」を確保するためには、ロースクールにおける教育内容の充実を図ることが先決ではないかとの意見、すみやかに司法試験合格者数を年間1000人に減員すべきとの提言を求める意見、法曹の「質」の低下を具体的に検証すべきとの意見等が出された。
 最後に水地会長から、会員集会における議論を踏まえて日弁連の「中間取りまとめ案」に対する当会の意見を発信したいとの方針が示された。なお、この方針を受け、水地会長名で2月10日付「司法試験合格者数の減少を求める意見書」及び3月3日付「『法曹養成制度の改善に関する緊急提言(案)』に対する意見」が発表された。
 休憩を挟んで、引き続き当会会館のリニューアル計画についての議論に移った。
 水地会長から、議題の提案理由が示された。当会会館は当会職員の職場でもある、そこで、全面的なリニューアルを図って会館の長期利用を目指したいというものである。
 続いて、会館調査検討委員会の清水規廣委員長から、平成23年度中にはコンサルタント契約を締結し、平成24年度にはリニューアルの具体的な内容を決定したいとの基本方針が示された。さらに、事務局運営室の内嶋順一室長から、当会職員の執務スペース及び記録の保管スペースが不足している現状が紹介され、労働環境の改善の必要性が指摘された。
 その後、法律相談センターの館外移転の是非について議論がなされ、法律相談センター運営委員会の中村俊規委員長からは、館外移転よりも現状の既存スペースの利用状況を再検討することが先決であるとの意見が出された。財務室の川島俊郎副室長からは、法律相談センターの収益率や会館積立預金の残高予想について厳しい指摘がなされた。
 その後、出席者による意見交換に移った。予定されているコンサルタント契約には法律相談センターの館外移転について両論を併記すべきとの意見、法律相談センターの館外移転について総会決議等で会員の意思決定を経るべきではないかとの意見等が出された。
 執行部から1200人超の会員を擁する当会にふさわしい会館の実現を目指すという方針が示された後、早期のリニューアル実現に向けて努力したいとの水地会長の挨拶で会員集会は閉幕した。

新こちら記者クラブ 新聞「紙」の愉しみ
 私が新聞記者になったのは2002年のこと。記者生活は間もなく10年目に入る。
 入社当時はちょうどインターネットが急速に普及し、紙の新聞は衰退すると言われ始めた頃だった。そうなるだろうとは私も思ったが、新聞記者を職業に選ぶことに迷いはなかった。
 映像より文章が好きだとか、テレビ的な集団作業よりも1人仕事のほうが好きだとか、色々理由は挙げられる。ただ、突き詰めたところは理屈ではなく、私は紙の新聞をめくるのが好きなのだと思う。
 しんどいことも多い仕事だが、自分の書いた記事を切り抜いてノートにはり付ける時間は、恥ずかしながら私のちょっと幸せなひとときだ。どんな小さな記事でも自分が関わったものは必ずスクラップし、今年1月に新たにおろした切抜き帳は17冊目になる。
 高校に行かなかった私は10代後半の約3年間、中南米を旅して歩いた。次第にスペイン語がわかるようになり、行く先々で新聞を買うのが楽しみになった。地下鉄サリン事件が起きた頃は中米ニカラグアに居て、市場の屋台の新聞一面トップに「東京でパニック」とあって驚いた。
 長く過ごしたメキシコでは、社会の不正を告発し人権を守るため、新聞が大きな役割を果たしていた。私が新聞と、記者という仕事に関心を持ち始めたのはその頃だ。
 外国の有力紙ではネット化が進む。日本では、紙の新聞はいつまで生き延びるだろうか。媒体が変われど使命と役割は変わらないというお題目には何の異論も無い。それでも、紙の新聞を切り抜く愉しみは失いたくないと思うのだ。
(朝日新聞横浜総局 太田 泉生)

常議員会のいま 不思議な一体感
会員 嶋 量
 常議員会に出席してみてまず驚いたのは、弁護士会の果たす役割の多様さ、大きさである。議題は、会館建替問題・会員に対する業務妨害・司法修習生の給費制存続問題・若手支援の問題・法改正に関する意見紹介など多種多様。私が耳にしたこともない分野について、熱心に活動している会員や委員会の存在を知り、感銘を受けることもしばしばであった。
 議事進行では、多くの議題を抱え時間に追われつつも、重要議題については、きちんと議論に時間が割かれている。常議委員会で、まさかこれだけ熱い議論が交わされているとは思わなかった(失礼しました)。新旧会員問わず、活発な議論が交わされることも少なくない。かといって、どれだけ議論が白熱しても、小野議長のユーモアを忘れない議事進行と、参加者全員の「横浜弁護士への熱い思い」からか、不思議と険悪な雰囲気にはならない。堅苦しい会議であるのに、若手委員からも臆せず意見がでるのは、こんな常議員会の不思議な一体感が故なのか。
 気がつけば年度末で、残された本年度の常議員会も僅か1回。諸先輩方が築いてきた当会の良い伝統をしっかりと引き継ぎ、次代の横浜弁護士会を支えねばならない私たち若手委員も、会の代表として、常議員会を盛り上げて行かなければと思う。

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