横浜弁護士会新聞

2011年8月号  −4− 目次

新人弁護士奮闘記 自分の目で確かめながら
新62期 会員 野口 明
 はじめまして、新62期の野口明と申します。
 今回は僭越ながら、東日本大震災に関連して、思うところを少し述べさせて頂きます。
 3月11日に発生した東日本大震災は3か月以上が経過した今なお記憶に新しい、痛ましい出来事です。震災当日から連日各種メディアでは被災地の様子が報道されており、いつしか、私は、この未曽有の災害の実態を自分の目で確かめてみたいと思いました。
 そこで、東北新幹線が運転を再開した直後、ゴールデンウィークを利用して、日本三景の一つで有名な宮城県の松島海岸に行ってきました。
 松島海岸は、昨年盛岡で開催された日弁連主催の人権大会の帰りに寄り道をして、趣味と健康を兼ねてハーフマラソンの大会に出場した思い出の場所でした。あの時は、期待を遥かに上回る景色の美しさに、思わずレースの苦しさを忘れて、予想より遥かに良いタイムでゴールすることができました。
 そんな良き思い出と報道から推測する深刻なイメージを念頭に、東北本線の松島駅からデジカメをポケットに入れて、昨年走ったコースを走ってみました。最初の数キロは昨年とほぼ同じ光景でした。
 しかし、次第に奥松島から野蒜方面に差し掛かっていくと、昨年見たあの美しい景色は姿を消し、代わりに視界に入ってきたのは文字通り瓦礫の山でした。肉眼で収めた、被災地の実態はあまりに残酷なものでした。そして、それまで約10キロ走ってきたコースも、災害復旧工事のため、途中で通行止めになっていました…。
 どこかで聞いたことのある言葉ですが、やはり、事件は現場で起きているわけです。これからも弁護士として事件を処理していく上で多種多様な困難に直面することと思います。その際には基本に立ち返って、六法で条文を引き、過去の判例や文献に当たって法的調査を行うとともに、積極的に自分の足で行動し、直接自分の目で確かめながら事実調査を行い、一生懸命事件に向き合っていきたいと思います。

備えてあんしんローゴヨーイ・ドン!

編集後記
 トキを見た。佐渡の空を舞うその姿を。
 日本のトキが野生絶滅してから30年。生態系回復の努力と、3年前からの試験放鳥により、今、佐渡の里山には30羽ほどが暮らす。我々環境委員会のメンバーは、奇跡的にもその飛翔を目撃した。蒼天に映えるその朱鷺色の美しさは、深く心に沁みた。
 ニッポニア・ニッポンという名の鳥を失うことは、我々にはもう許されないだろう。
デスク 畑中 隆爾  1面担当 田丸 明子
吉田 正穂
 2面担当 三谷  淳
谷山 哲也
     3面担当 古西 達夫
風間 靖教
 4面担当 三浦 靖彦

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