横浜弁護士会新聞

2011年9月号  −2− 目次

公害・環境問題委員会調査旅行 朱鷺のいる島佐渡を旅する
 当委員会は、豊かな自然を肌で感じながら、その保護に関わる諸問題を考えようと、毎年視察調査を重ねている。第11弾になる今回は、7月7〜10日、12名の委員で佐渡島を訪ねた。
 新潟港から船で1時間、約850km2ある日本最大の島に上陸した我々は、早速、佐渡市役所を訪ね、「人とトキが共生できる島づくり」について詳しく聞いた。過疎化に悩む中、トキの野生復帰とリンクして多様な生物を育む農業を進め、認証米制度などによって付加価値を生み、島の活性化を目指していこうという取組であり、地域振興と自然保護の両立への意欲が、頼もしく感じられた。
 見渡す限りの水田とそれを遠く囲む山々。そんな日本の原風景が広がる中を移動し、次いでトキ保護センターを訪れ、トキの飼育繁殖や野生復帰について説明を受けた。
 かつて日本の空を飛び回っていたというトキだが、乱獲と生息環境悪化により激減し、昭和56年には野生絶滅に至り、平成15年には「キン」の死亡により日本産が絶滅。
 その後、遺伝子の同じ中国産の飼育下繁殖を進め、生息環境の再整備とともに平成20年9月から試験放鳥。これまで60羽が放鳥され、30〜40羽が生き残っている。一度絶滅した生き物を野生復帰させるというのは、新たな共生社会を作るという困難で壮大な取組だ。
 翌日は実際に「生きものを育む農業」を実践している農家の人の話を聞き、子ども達を集めた「田んぼの生き物調査」にも少し参加。それから世界遺産登録を目指している佐渡金山も見学。夏でも気温11度の坑内は見応えあった。
 豊富な海の幸や、絶景を眺める温泉も堪能しつつ、最終日は大佐渡山脈北方の新潟大学演習林をトレッキング。汗をかきかき、スギ巨木の原生林を始めとする豊富な植生を楽しんだ。
 離島を旅して思うのは、日本は実に奥深く、もっと知るべきだということ。現地を見て、そこの人の話を聞いて、感じて、考える。そんなことは、ずっと続けたい。
 実は今回、我々は、ねぐらへ帰るトキたちの飛翔を目撃することができた。ちょうど真上をはばたいていったその姿は、朱鷺色の翼が陽の光に透けて美しく輝き、実に神々しかった。
 ニッポニア・ニッポンに出会えてよかった。
(会員 畑中 隆爾)

7・7 東日本大震災ボランティア弁護士経験報告集会 被災者支援に一層の協力を!
 3月11日に東日本大震災が発生して以降、当会においても震災対策チームが結成され、被災地への弁護士派遣、被災者ホットダイヤル等、被災者への支援を積極的に行ってきた。また、そのほかにも、自主的に被災地へ訪問し、避難所相談等を行ってきた会員も多くいる。この報告会は、そのような当会及び各会員の活動の総括をするとともに、今後の被災者支援の在り方を考えるために開催されたものである。
 報告会では、まず、当会東日本大震災対策チーム事務局長である小賀坂徹会員より、被災者ホットダイヤルの現状と相談内容の概要、避難所相談での相談内容の概要などの説明がなされた。
 続いて、神奈川県内の避難者への支援として、県内避難所で活動していた会員より、その活動経緯及び現状について報告がなされたほか、神奈川県の担当者より「見守り隊」の取組みを中心に、支援内容の概要について報告があった。
 また、当会からは、福島県いわき市、相馬市を中心に、被災地に会員を派遣しているが、派遣された会員からも、避難所相談での苦労や工夫について報告がされたほか、今後の被災地支援への協力が呼びかけられた。
 そのほか、宮城県石巻市、亘理町等でのボランティア活動の参加経験についても報告がなされた。
 報告会で目立ったのは、若手会員の活躍である。報告を担当したのは、60期代の若手会員が中心であり、今回の大震災について、若手会員が積極的に活動している現状が改めて浮き彫りとなった。
 震災の発生から数か月が経過した現在においても、未だ福島原発事故は終息の目途がつかず、復興の見通しすら立っていない。今後も息の長い被災者支援が必要になると思われる。
 会員におかれては、ぜひともボランティア弁護士に登録して頂くなど、今後とも被災者支援に一層のご協力をお願いする次第である。
(会員 平岡 路子)

法教育に触れてみませんか 関弁連シンポジウム 9月30日開催
 9月30日に新宿の京王プラザホテルで関東弁護士会連合会のシンポジウムと定期大会が開催されます。
 今年のシンポジウムのテーマは「これからの法教育―教育現場、研究者と法律実務家との連携―」です。
 関弁連では、平成14年の同シンポジウムで当時日本ではまだあまり知られていなかった「法教育」を取り上げ、広く日本に紹介したという経緯があります。
 今回再び法教育をテーマとし、平成14年以降の法教育を巡る状況を調査検討し、今後の法教育のさらなる普及に向けて弁護士が何をしていくべきかについて提言すること等を目的としたものです。
 当日のシンポジウムでは、事前に都内の中学校で行われた「公平」をテーマとした法教育の授業実践の様子を放映するとともに、担当した教員と弁護士が実際に授業の準備をどのように連携しておこなったかを紹介します。
 また、関弁連としての法教育普及に向けた戦略や法教育の指導の目的、伝えたい内容、さらには法教育の本質的な要素を明確にしたもの等の意欲的な提案をし、それらの内容についてパネルディスカッションで検討される予定となっています。
 法教育についてより深く知りたいという人はもちろん、「法教育って何?」という初心者の方でも授業実践を見て楽しむことができるようになっています。
 当会の法教育委員会は積極的に活動しており、他会からも注目される存在となっています。この機会に今回の関弁連シンポジウムに参加して今話題の法教育に触れてみませんか。
(法教育委員会 副委員長 佐藤 裕)

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