横浜弁護士会新聞

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1999年7月号(1)

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横浜弁護士会 通常総会開催される
司法改革に向けての歩み本格的に
 平成一一年五月二〇日(木)午後一時から、横浜弁護士会館五階大会議室において、平成一一年度通常総会が開催された。
 冒頭、岡本秀雄会長から所信表明を兼ねた挨拶があった。

所信表明の骨子
1.司法改革問題を柱とする会務運営
 具体的には、司法改革ビジョンを実現すべく、本年七月ごろから活動開始予定の司法制度改革審議会をにらんだ対策を実行していきたい。
 そのため、当会では、常議員会において「司法制度改革審議会対策特別委員会」の設置を議決したので、特別委員会を中心として日弁連からの意見照会等に迅速に対応できるようしていきたい。
2.本年の県民集会のテーマとして、「司法改革」をとりあげたい。
3.広報活動については、当会の弁護士会新聞でも司法改革論議を展開したい。さらに、一般紙(新聞)も利用できないかを検討したい。
4.裁判官の増員問題については、自治体の決議を求めていきたい。
5.行政(神奈川県、横浜市)での法律相談については、行政との協議の結果、本年一〇月一日以降の相談から事件の受任ができることとなった。
 そこで、受任がスムーズに行くようなシステム作りに力を注ぎたい。
6.弁護士会職員について就業規則の改正を実現したい。
7.弁護士会のパソコン業務の改善をはかりたい。
8.民事介入暴力の追放運動の展開をしていきたい。
9.多重債務処理のためのクレジット・サラ金相談センターの設置実現
10.嘱託弁護士(法律扶助協会)の体制実現
11.法律扶助協会支部との調整をはかりつつ、会員増加や増え続ける会務に対応できる事務局体制の確立を目指したい。
12.市民向けの会員名簿を発行したい。

平成10年度会務報告
 次に、議長として村瀬統一会員、副議長として内田邦彦会員が選出され、具体的な議事に入った。
 まず、平成一〇年度の会務報告がなされた。
1.一般会務として大河内秀明平成一〇年度筆頭副会長から、司法改革の視点に立って、「委員会通則の制定と公益活動の義務化規定の制定」「市民窓口の設置」「海老名相談所の開設」「ホームページの開設」等の実現がなされたとの報告がされた。
2.その他、当会の委員会及び日弁連の委員会からの報告がなされた。
 特に、司法改革ビジョンの関連で、日弁連弁護士業務対策委員会から高橋理一郎会員が日弁連の動向につき報告をした。
 「広告問題」については、原則自由、例外禁止の方向性が強くでていること、禁止条項の判断基準は、合理的理由の有無で決めるとのこと。
 また、地方自治体の「外部監査人」については、全国で八名の弁護士が就任しているが、自治体の数から見て非常に少ない。「外部監査人」の職務内容は弁護士の職務に適し、制度の趣旨を適正に運用させるには弁護士しかいないという意識で、推薦を継続していただきたいとの日弁連の意向が伝えられた。その他にも法律事務所法人化問題や弁護士法第七二条問題、隣接業種との協同問題など重要な問題についても、日弁連の動向が報告された。

すべての議案を可決
 次に、第一号ないし第五号議案が提案され、いずれも可決、選任された。
1.第一号議案 平成一〇年度(一般会計・特別会計)収支決算承認の件
2.第二号議案 平成一一年度(一般会計)予算の件
3.第三号議案 平成一二年度(一般会計)四、五月分暫定予算の件
4.第四号議案 横浜弁護士会共済規則(会規第四号)一部改正の件
5.第五号議案 綱紀委員会委員(六名)選任の件
 内容について若干説明すると、
 2、3については、あさひ銀行からの借入金を一括返済するため約一九八二万円の予算措置をしたこと、事務局のコンピューターをよりよいものとするため、基幹業務システム(パソコン機器を含む)を導入するため約一九〇〇万円の予算措置をしたこと
 4については、共済規則に第二二条の二の「事件承継支援」に関する規定を新設したこと、具体的には、会員が死亡、傷病その他の理由で執務不能となったとき、当会が共済業務として、執務不能会員の受任事件を他の会員に承継させるよう適切な支援措置を講ずるとするもの。これまで、このような場合に、継続事件の処理を援助する規定が全くなかったので新設された。実際の不都合の解消のみならず、併せて弁護士及び弁護士会に対する市民の信頼維持も目的とする。なお、具体的な支援措置の手続等については、常議員会の議を経て規則で定められることになる。
 5については、以下の六名が選任された。
 池田直樹、織裳修、小島衛、笹隈みさ子、杉原光昭、久保博道の各会員。

「日独裁判官物語」遂に完成!
遂に完成! 上映会開催される
 五月二七日、横浜開港記念会館において当会の憲法記念日特別企画として「日独裁判官物語」上映会が開催された。当日は午前中風雨が強く入場者が少ないとの懸念もあったが、新聞やインターネットを利用した広報の成果か一六一名の入場者があった。
 映画は日独それぞれの裁判官の出勤風景から始まり、裁判官の市民的自由にも焦点をあて、両国の司法制度の特徴を対比する内容であり、「どちらが市民にとって良いか」という問いかけが迫ってくるようであった。
 わが国においては司法制度改革審議会が設置されて司法改革について議論しようとしているが、『司法改革』というテーマを考えるうえで諸外国の裁判制度や具体的な裁判官の生活ぶりを知ることは極めて有益であり、今回の上映会は時機にかなったものであったと思われる。参加した市民にも大変好評であった。
 なお、当会の本年度の県民集会のテーマとして司法改革問題を採りあげる予定である。市民とともに司法を考えていく姿勢を持ちたいと思う。(副会長 齋藤 芳則)

山ゆり
 「日本語練習帳」(岩波新書)がベストセラーという。著者は、あの名著「日本語の起源」の大野晋先生。問題に読者が答えると採点され、日本語の技能のレベルがわかるようになっている。中でも「二つの心得」が面白い
ここでその一つを紹介したい。先生曰く、文章末尾の「のである」「のだ」を消せ。「のである」「のだ」は、普通強い断定と思われているが、単に強い断定だけでなく相手に教える場合によく使うそうだ
そのためか、大学の先生の講義では、しきりに「ノデアリマス」を使うらしい。「君たちは知らないだろうが、こういう事実があるんだよ。」という気持ちが込められている。実際大学教授の本、議論文に多いという
ここで小生の手がとまる。まてよ、俺は準備書面でいつも使っているぞ。記録をひもとけば、あることあること、「である」「のである」のオンパレードだ。なぜか。裁判官に教えてあげる(いやいやそんなだいそれた)。結局、勝ちたい気持ちから少しでも主張に力を授けたいと思うからだろう(中身で勝負しろという事務所の天の声がきこえるが)
先生が消せとおっしゃる理由は、力んでいる、押しつけていると感じられるから。平たく言えば、高姿勢で脂ぎっていて、ビュウティフルでないということか。大切なところでこそ、「のである」、「のだ」を活用すれば、文章がスッキリし、主張が生きるとおっしゃる「のである」
一理あり。が、しかし、汗をふきふき、やっぱり脂っこい方が性にあっているか。ビュウティフルな準備書面は、理想としてとっておこう。(國村 武司)
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