横浜弁護士会新聞

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1999年8月号(3)

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公的介護保険学習会
高齢者を介護サービス契約のトラブルから守るため弁護士に期待
 去る六月二日、人権委員会の「高齢者と障害者の人権と福祉を考える部会」との共催で「公的介護保険学習会」が開催された。最近のマスコミ報道などもあって会員の関心は高く、七二名の会員の参加があった。
 来年四月一日からの介護保険施行準備に当たっておられる神奈川県福祉部高齢者保健福祉課の礒崎初仁さんより、県が作成した「介護保険制度について」というパンフレット(これは、要領よくまとめられていて参考になる)に基づいて、制度の概要と問題点について丁寧で詳しい説明があった。
 介護保険の下では、要介護認定や、介護サービス契約の締結(サービス提供の仕組みは、これまでの行政処分としての「措置」から、居宅サービス事業者や施設などとの「契約」に転換される)をめぐって、苦情やトラブルが多発することが予想されるという。従って、高齢者がトラブルにまき込まれることなく、適切なサービスを安心して受けられるようにサポートしていく必要があり、このような場面で我々弁護士の役割りが期待されているようである。
 介護ビジネスは初年度で四兆八千億円産業と言われ、建築・不動産・運送など、介護とはあまり縁のない営利企業も介護ビジネスに参入しようとしている。福祉の分野に営利企業が参入してくることによって、確かに、様ざまなトラブルの発生が予想される。
 県が期待するように、介護保険の施行下においては、我々弁護士も一定の役割りを果たす必要が出てくるであろう。
法律相談センター運営委員会内 高齢者障害者部会 部会長 輿石英雄 

今年も法廷傍聴始まる
 今年も裁判傍聴運動が始まった。新聞各社が次々と記事を掲載して下さって、あっという間に三六〇名を超える市民の応募が集まった。この状況を見て開催日を急遽追加し、七月から九月にかけて合計一一日の開催となった。それでも希望に応じることのできた人数は応募者の三分の一強程度一三〇名余にとどまった。
 引率、説明を担当するのは司法改革推進委員会の若手を中心とする委員で、ひとりあたり二日程度を担当してもらっている。
 初回である六月一日には、地元神奈川テレビの取材も入り、弁護士会の職員二名も参加して一般市民とともに覚せい剤事件の公判を傍聴した。
 質疑応答の際には、最近の覚せい剤事件の傾向はどうなっているか、刑罰はどうなるのか、といった事件絡みの質問のほか、弁護士は被告人に不利な事実を知ったときにどういう行動をとるべきなのか、といった質問も出た。
 それに絡んで、最近続発する弁護士の不祥事事件に話題が及び、これだけ次々に不祥事が発生するのはどういうことなのか、という厳しい質問も登場し、弁護士を見る市民の目が次第に厳しくなってきていることを実感させられた。
 弁護士は直接市民と接する職業である。市民は「依頼者」「相談者」として弁護士の前に現れる。特定の利害を離れ、市民と率直な意見交換をする機会を持つことの重要さを、あらためて感じさせられた一日だった。
(司法改革推進センター 副委員長 藤村耕造) 

シリーズ司法改革その2
市民も司法の中で一定の役割を果たせるのではないか
「裁判ウォッチング市民の会かながわ」稲村厚事務局長に聞く
「裁判ウォッチング市民の会かながわ」とはどのような団体ですか
 一九九四年四月に発足し、現在会員は一四〇名あまりです。私は司法書士ですが、会の現在の中心メンバーは主婦や定年退職者です。裁判傍聴会や、裁判官の採点、裁判所への要望の提出などをしてきました。退任された裁判官をお招きして講演をしていただいたことも何回かあります。今年四月の総会では、仙台地裁の寺西裁判官に分限裁判の経過などをお話しいただきました。
司法改革については、どのような点に御関心がありますか
 私たちの会の活動から申し上げたいことは、一つは、市民の司法への参加、つまり陪審・参審のことと、もう一つは裁判所・裁判官の改革ということです。
 裁判傍聴を繰り返すうちに、市民も司法の中で一定の役割を果たせるのではないか、と思えるようになってきました。当面、司法委員や調停委員をもっと開かれた形で募集するべきではないかと思います。模擬陪審をしたり、学校の授業で裁判のことを取り上げたりすることで司法はもっと身近なものになりますし、そうならなくてはいけないと思います。模擬陪審には弁護士の協力が不可欠ですから、是非ともお力を貸していただけるようお願いします。
裁判所・裁判官については、どういう点で改革が必要でしょうか
 なにより、裁判官が「縁遠い人」になっていることが問題です。裁判傍聴のときに、あとで裁判官から直接説明していただけたらと思います。また、それ位してもよいと考えている裁判官もいるようですが、実現できていません。法曹一元はぜひ必要だと思いますが、ただ弁護士の中から選べばよいということではなく、国民の側からのチェックができる仕組みが必要ではないでしょうか。もちろん、政治的圧力がかかるようでは問題ですから、やり方には工夫が必要でしょうね。
長年にわたって活動する中で、裁判所側に変化はありましたか
 はじめは私たちの会をうさん臭そうに見ていたようですが、裁判所もずいぶん姿勢が変わってきました。これまでは要望してもまったく応答がなかったのですが、今年は、1.翌週の開廷表を公表してほしい、2.裁判官及び職員との懇談会を実現して、というふたつの要望のうち、1.については正式に約束してくれました。  ラウンドテーブル法廷は裁判が身近に感じられるとして会員の中でも好評ですし、入廷時にあいさつをする裁判官も増えてきたように思います。
司法制度改革審議会については
 短期間でいろいろな論点について検討されるようですが、陪審・参審や法曹一元などの問題について具体的な形として残るような議論がされるよう期待し、注目していきたいと思います。また、私たちの役割は、市民の声を直接届けることだと思いますので、多くの声を集めて審議会に伝えていきたいと考えています。

職員給与に能力給-働きがいのある弁護士会-
副議長  箕山 洋二 
 第4回常議員会は出席者二二名を得て開催された。
第1号乃至第3号議案 
  当会・日弁連・その他委員会の委員の選任及び推薦の人事案件であった。尚、日弁連人事及び法務省法制審議会・同審議会幹事(商法部会)は他会との調整の上、理事者一任となった。
第4号議案人事委員会規則一部改定の件
  委員会の審議範囲を広げたもので、承認可決された。
第5号議案 入会申込者の入会許否の件
  二名の申込者のうち、一名については入会が不適当であって日弁連に進達しない(いわゆる、登録拒否に該当)のが相当である旨の小委員会の意見書が提出され、審議の結果、資格審査委員会において審査することとなった。もう一名については小委員会で継続審査中との報告がなされた。
第6号議案 職員夏季賞与支給の件
  理事者提案が承認可決された。
第7号議案 事務職員採用の件
  二名の職員採用が承認された。
第8号乃至13号議案 職員就業規則・職員給与規程・職員退職手当規程・職員祝金見舞金等支給規程・職員育児休業介護休業等に関する規則、パートタイマー就業規則、についての改廃及び一部改正の件
  平成九年に総務委員会に設置された小委員会で検討を開始し、平成一〇年度からは総務委員会の正式な部会で検討され、平成一〇年度の理事と職員の間で熱心に長期間検討されていた懸案事項について、ようやく成案となって提出されたものである。本議案は、職員給与に能力給を採用する等給与体系の抜本的見直しを図り、働きがいのある弁護士会とするための方法として検討してきた成果の一つである。しかし紙面の都合上、詳細はこの秋発行予定の会則集に登載予定であるので、それをご覧頂きたい。
第14号議案 法律相談センター特別会計平成一一年度予算承認の件
  理事者提案通り承認可決された。
  なお、会の会計を公益法人会計に変更した際、特別会計を会予算として総会で承認するように変更した経過から、来年度からは常議員会承認事項ではなく、総会承認事項として扱われることになる。
第15号議案 情報公開条例モデル案の件
  情報問題対策委員会作成のモデル案について、報告事項として報告された。
第16号議案 新ガイドラインに関する日弁連臨時総会議案の件
  臨時総会について、理事者決議で良いのではないかとの動きがあることについて会長から報告され、その是非について常議員の意見を聴取した。
第17号議案 少年法改正に関する会長声明の件
   文案訂正を条件に、承認可決された。
第18号議案 通信傍受法案に関する会長声明の件
   国会情勢の説明の後、承認可決された。
   なお、報告事項として、パソコンシステムの契約状況、及び綱紀委員会より懲戒相当とされ、懲戒委員会に送付された事案二件が報告された。

常議員からズバリひとこと
 常議員は今回で二回目である。前回は弁護士登録後間もない時期であったこともあり、常議員会の役割も解らず、殆ど記憶はない。今年は、弁護士登録して一四年目、いつの間にか中堅と言われる代になって、常議員会の顔ぶれも見慣れた顔になるとともに、その重要性も若干解ったような気がする。しかしながら、どうも何処までが常議員会で決めるべき事項なのかが未だに解らない。現在、県や市区で行われる法律相談の事件を、担当弁護士が受任できる方向で協議が進められている。私としては、とても重要な事項に思われるが、これは常議員会や総会での決定事項ではないという。どうも釈然としないのは私だけだろうか。
(三七期 飯田 直久) 
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