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子育ての理想と現実の間で |
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2025年09月12日齋藤 信子弁護士
前回「セクシュアルマイノリティの法律相談」の弁護士コラムを執筆してから、10年以上が経ちました。
執筆当時若手だった私は、社会を変えたい!という理想に燃えていました。
この10年間、セクシュアルマイノリティ分野は、改善していない現実もあり、取り組むべき点が多いといえます。一方で当事者の主張を認める複数の最高裁判決、複数の違憲判決、地方自治体のパートナーシップ制度が全国で広がる等、画期的な変化もありました。
私はというと、出産と子育てを経験し、人生は「まさか」の連続だな、と感じることが何度かありました。
子どもが連続で熱を出し、仕事の予定も詰まっていたときには、映画のワンシーンのように、助けてください!誰か助けてください!と空に向かって叫びたくなりました。
結婚生活には3つの坂がある、上り坂、下り坂、まさか、と聞いてきたことの、まさにそれでした。
若手時代に理想としていた、仕事と育児を両立させる女性弁護士像が崩れ、両立を実現させていた先輩達が、スーパーマンかオリンピック選手のような存在に思われた瞬間でした。
産後大変な時期には、子育ての社会資源をフル活用し、たくさんの方のサポートを受けながらどうにか乗り切ったのですが、あの時に「まさか」がさらに重なっていたら乗り越えられたかわかりません。
人生の中に、なにかと困難を抱えるマイノリティの要素を持つ人は、「まさか」に耐え切れなくなることがあるということを、以前よりも感じるようになりました。
出産や育児から得た気づきや出会い、経験をとおして、次の10年に力を尽くしたいと思います。
子どもの学校ではセクシュアルマイノリティに関する冊子が配布され、制服のスカートとスラックスが選べるようになるなど、子どもを取り巻く環境は徐々に変化しているのを感じています。
わが子には、困っている人がいたら、助けてあげられる強さと優しさをもった人間になってほしい。
私は産後、理想の出産育児とはかけ離れた体験をしていたにも関わらず、子どもには理想を求めてしまうことに矛盾を感じる母です。
執筆者情報
弁護士名 | 齋藤 信子 |
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事務所名 | 小山法律事務所 | |
事務所住所 | 川崎市川崎区宮前町8-11 第5平沼ビル501号 | |
Webサイト | https://koyama-law.jp/ |
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です