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忘れないで、夢を。 |
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2025年10月03日黒江 卓郎弁護士
どこも同じようなものかもしれないが、私の中学校の卒業文集は、卒業生だけでなく、先生方も1ページ寄稿するのが慣わしとなっていた。毎年書かなければいけない分、生徒よりも大変だっただろうが、担当教科にちなんだ名言などで生徒たちの門出を祝うエッセイは、どれも読み応え十分だった。
そんな中、異彩を放っていたのが、生徒たちから恐れられていた強面の体育の先生の原稿であった。
顔だけでなく、実際非常に厳しく怖い先生で、私も何度も怒鳴られたことがある。そんな先生が卒業生たちに贈ったのは、なぜか「ウルトラマンダイナ」の素晴らしさについて熱く語るエッセイ。先生は、息子さんと一緒に視聴するうちにハマったようだ。学校で見る普段の様子とのギャップに衝撃を受けた一方、特撮ヒーローものは流石に卒業していた15歳の身では、「ふーん、そんなものかなあ」くらいの受け止め方しかできなかったことを覚えている。
それから幾星霜を経て、今では自分が子育て世代。
土日の朝がヒーロー番組のゴールデンタイムだということは、子どもができてから初めて知った。平日は一緒に過ごせる時間も少ないからこの時間は父親にとってもゴールデンタイムであること、そして、子どもの話に合わせられるようにと一生懸命に勉強して何なら子どもよりも夢中になりがちなことも。
子ども向け番組の主人公は、いつも前向きだ。困難に直面しても、新しい必殺技を身につけたりして、乗り越えていく。そして必ず正義は勝つ。仕事柄、それぞれの立場からの「正義」の狭間で摩耗している身にとって、この純粋さが眩しく感じられる。
番組の主題歌やエンディング曲なども、子どもにとっても覚えやすい・歌いやすいように作られていて耳に残るから、毎週視聴しているとふと口ずさむくらいには覚えてしまう。歌詞はポジティブで、疲れた大人の心には思いのほか響いたりもする。
先生も、きっとウルトラマンの主人公の真っ直ぐな心意気に感じる部分があったのだろう。「生意気盛りの中学生の世話に忙殺される日々」がその反対側にあったのだとすれば、何とも申し訳ない限りであるが。

最近、「アンパンマンのマーチ」の歌詞が大人に刺さると話題になっているらしい…というネットニュースを目にした。たしかに、30数年前には気づかなかったが、生命に対する慈しみが感じられて、実に味わい深い歌だと思う。
「何のために生まれて、何をして生きるのか」、いつか自信をもって答えられるように、熱い心を燃やして今を生きていこうと思いを新たにした。
執筆者情報
弁護士名 | 黒江 卓郎 |
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事務所名 | 木村・黒江法律事務所 |
事務所住所 | 神奈川県横浜市中区尾上町1-4-1関内STビル6階 |
TEL | 045-681-9424 |
FAX | 045-681-9448 |
Webサイト | https://yokohama-kimuralaw.jp/ |
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です