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入会地は荒廃する |
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2026年01月23日久保田 晃弁護士
昨年からクマ出没の報道が続いています。このような報道に接し、頭に浮かんだ言葉が「入会地は荒廃する」というものです。
入会地とは、一定の地域の住民(村落の住民)が、下草、薪炭用の雑木、茸や山菜などを採取するなどの共同収益をなす対象地、即ち入会権の対象地のことです。入会地は里山を対象とすることが多く、里山には椚(クヌギ)や楢(ナラ)などの落葉広葉樹が植えられ、これらの樹木、夏は葉を茂らせて日陰をつくり、冬は葉を落として暖かな日差しを樹木の根元にまでとどけ、その根元には下草が繁茂していました。村落の住民は、枯れ木や枝を薪、そして、炭の原木として集め、時期に応じて茸や山菜を採取し、下草は農作業用の馬や牛の飼料、落ち葉も含めて田畑の肥料として利用していました。このように村落住民によって管理されていた里山は、熊、鹿、猪などにとっても住みよい環境となっていました。
しかし、時は移り、薪や炭を使う人がいなくなり、農作業用の馬や牛は利用されなくなりました。肥料は化学肥料などがつかわれるようになりました。その結果、里山には人の手が入らなくなり、荒れるに任せるようになりました。里山の一部は、ゴルフ場やスキー場に変遷していきました。そして、荒れた里山には、建築資材、紙の原材料として利用するため杉が植えられました。
杉が植林された里山を遠くから見ると、緑一面で一見きれいに見えます。しかし、杉が一直線に植えられた里山に来ると、そこは薄暗く、下草もありません。
川釣りに行き、そんな杉林を通ると、「ここには、熊、鹿、猪などは住めないな」とふと思いました。

日が射し込む広葉樹林
執筆者情報
| 弁護士名 | 久保田 晃 |
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こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です
