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会長声明・決議・意見書(2016年度)

死刑執行に抗議する会長声明

2016年04月13日更新

本年3月25日,大阪拘置所及び福岡拘置所において死刑確定者各1名に対する死刑が執行された。

政府は,世論調査で国民の約8割が死刑制度を支持していることなどを理由に,死刑執行を続けている。

しかし,死刑制度の実態については国民にほとんど情報が与えられていない上,死刑に関する政府の世論調査に対しては,選択肢の設定が適切でなく,調査結果の評価も恣意的で粗雑であるとの指摘もなされている。より詳細な調査・分析では,死刑廃止について国民の合意が得られる可能性も示唆されており,死刑執行を停止して,国家が人の生命を奪うことについて,思考停止に陥ることなく,まず全社会的な議論を始めることが何より重要であるといわなければならない。

日本弁護士連合会は,昨年12月9日,岩城光英法務大臣に対し,「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し,死刑の執行を停止するとともに,死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して,死刑制度とその運用に関する情報を公開し,死刑制度に関する世界の情勢について調査の上,調査結果と国民的議論に基づき,今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと,そのような議論が尽くされるまでの間,全ての死刑の執行を停止することなどを求めていた。にもかかわらず,漫然と死刑執行が繰り返される現状は,極めて遺憾であるというほかない。

国連総会は,2014年12月18日,全ての死刑存置国に対し,「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議を過去最多の117か国の賛成で採択している。また,我が国に対しては,国連拷問禁止委員会や国連人権理事会,国際人権(自由権)規約委員会から,死刑廃止に向けた様々な勧告がなされており,2014年7月23日にも,国際人権(自由権)規約委員会が,日本政府に対し,死刑廃止を十分に考慮することなどを勧告している。

当会は,改めて,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑の執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開した上で,死刑制度の廃止についての全社会的議論を開始するよう重ねて強く求めるものである。

2016年(平成28年)4月12日
神奈川県弁護士会
会長 三浦 修

 
 
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