2016年05月02日更新
今日は69回目の憲法記念日です。今年の参議院選挙から18歳以上の若い人たちにも新たに選挙権が認められます。憲法記念日にあたり、とりわけ初めて選挙にのぞむ若い人たちとともに、憲法とは何かということ、そして、今日の憲法をめぐる状況について考えてみたいと思います。
憲法は私たちの人権を守るためのきまりです。私たちは、誰もが、生まれながらに侵すことのできない権利を持っています。それを保障するために私たちは憲法を定め、国家の権力を制限することにしました。この考え方を立憲主義といいます。この考えに基づき、憲法99条は、内閣総理大臣や国会議員や公務員などに憲法尊重擁護義務を定めています。 憲法には、表現の自由、信教の自由、居住・移転の自由、生存権、教育を受ける権利、労働者の権利などさまざまな人権が保障されています。国家は、これらの権利を侵害してはいけません、と定めているのが憲法なのです。 憲法は、戦争の放棄も定めています。戦力は保持しないこと、戦争する国に認められるさまざまな権利(交戦権)を認めないこと、も定められています。憲法前文では、平和的生存権も保障されています。 国民主権も憲法の基本原理のひとつです。私たちが主権者であり、国のあり方や国の大事なことを決める権利を持っているのは私たち自身であるという意味です。 これらの基本的人権の尊重、恒久平和主義、国民主権が、日本国憲法の3つの基本原理です。 憲法は、国家権力から私たちの権利を守る大切な砦であり拠り所です。憲法がなければ、国家権力は好き勝手に振る舞って、私たちの人権や平和はたちまち危ういものになってしまいます。
ところで、いま、日本国憲法はかつてない危機的な状況にあります。 昨年9月19日に集団的自衛権の行使等を容認するいわゆる安全保障関連法が成立しましたが、集団的自衛権の行使を容認することは、憲法9条に違反します。そして、憲法に違反する法律を制定することは、立憲主義にも違反します。神奈川県弁護士会は、このことに強い危機感をおぼえ、これまでに何度も抗議し、反対してきましたが、安全保障関連法は、今年3月29日に施行され、今日に至っています。 神奈川県弁護士会は、憲法記念日を迎えるにあたって、あらためて、違憲の立法に強く抗議するとともに、法律家として、このような状況を決して許さず、今後も、違憲の法律の廃止および立憲主義の回復に向けて、最大限の努力をしていきたいと思います。
2016(平成28)年5月3日
神奈川県弁護士会
会長 三浦 修
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