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会長声明・決議・意見書(2022年度)

憲法記念日を迎えての会長談話

2022年05月02日更新

日本国憲法が施行されてから、本日で75回目の憲法記念日を迎えました。

 

今、ウクライナでは、多くの国が非難を続ける中で、ロシア連邦による軍事侵攻が続いています。
 日本国憲法は、過去の戦争に対する深い反省のもとに、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有すること」を確認していますが、今回の軍事侵攻はウクライナの人々の平和のうちに生存する権利を侵害するものであり、私たちは深く憂慮します。
 世界は、第二次世界大戦の反省をふまえて、軍事力ではなく国家間の対話による平和の維持を目指して国際連合を作りましたが、現在のウクライナを巡る状況は、国家間の対話は容易ではなくなってきていることを示しています。それでも、力による解決は真の平和に結びつきません。私たちは、粘り強く平和的な解決がなされることを願っています。

 

翻って、国内では、昨年6月に「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(重要土地等調査規制法)が成立しました。重要土地等調査規制法は、注視区域等として指定された土地等の利用者その他の関係者に対する広範な調査を可能とするものであり、憲法が保障する個人の尊厳やプライバシーの権利(憲法13条)、思想良心の自由(憲法19条)を侵害するおそれが大きく、土地等の所有者等の財産権(憲法29条)に対する制約ともなります。
 また、土地等を機能阻害行為の用に供することが刑罰をもって禁じられていますが、機能阻害行為の内容は政府の「基本方針」により定めるとされており、法律上明確ではありません。このような規定は、市民の活動を委縮させ表現の自由(憲法21条)を侵害するおそれがあるだけでなく、国会を唯一の立法機関とする憲法41条、地方自治の本旨(憲法92条)、罪刑法定主義や適正手続の保障(憲法31条)にも反します。

 

一方的な力による押さえつけは、必ずその被害を受ける個人を生み出します。私たちは、誰ひとり取り残さず、全世界の国民が平和のうちに生存できるよう、日本国憲法を堅持して人権擁護に取り組み、国際平和に向けて対話を続けていきます。

 

2022年5月3日

神奈川県弁護士会 

会長 髙岡 俊之

 

 
 
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