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会長声明・決議・意見書(2022年度)

神奈川県内の全市町村に犯罪被害者等支援に特化した条例の制定を求める会長声明

2022年05月20日更新

  1.  犯罪被害に遭った人やその家族(以下「犯罪被害者等」と言います。)は、ある日突然、それまで営んでいた日常生活を一変させられます。
     2004年に制定された犯罪被害者等基本法においては、犯罪被害者等が個人の尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することや(3条1項)、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるような施策が講ぜられること(3条3項)等の基本理念が定められました。
     そして、地方公共団体には、国との役割分担を踏まえて、地域の状況に応じた施策を策定・実施する責務があると定められています(5条)。
  2.  神奈川県は、2009年に犯罪被害者等支援条例を制定し、総合的支援体制の整備等の具体的施策を行ってきています。
     現在、神奈川県内の33市町村のうち、犯罪被害者支援に特化した条例(以下「特化条例」と言います。)を制定しているのは、横浜市、川崎市、横須賀市、茅ケ崎市、寒川町、秦野市の6市町だけです。
     市町村は、住民にとって最も身近な地方公共団体であり、保険医療や福祉制度の実施主体でもあることから、犯罪被害者の一時的な相談窓口として重要な役割を果たすとともに、事案に応じて犯罪被害者等の日常生活に密着したきめ細やかな支援を行うことが求められています。
     そして、市町村がこのような役割を果たすためには特化条例の制定が必要です。すわなち、特化条例が制定されることによって、地方公共団体の責務や支援内容、犯罪被害者等の権利が明確化され、計画的継続的な支援活動が可能となり、また、支援にあたる行政職員や地域住民の意識向上にも繋がるのです。
  3.  近年、神奈川県内において犯罪被害者等が多数に上る事件が複数発生していますが、県内の全ての市町村に特化条例が制定されていないと、居住地によって受けられる支援内容に差が出る事態が生じてしまいます。
     市町村の特化条例では、見舞金の支給や、家事・介護・保育等の日常生活支援等、県条例にはない支援内容が独自に規定されることも多いところ、特化条例のある市町村の住民であれば、犯罪被害に遭ったときにこれらの支援を受けることができますが、特化条例のない市町村の住民は支援を受けることができないのです。
     犯罪被害者等が住んでいる地域によって、支援を受けられたり、受けられなかったりすることは不合理です。
  4.   当会は、犯罪被害者等が一層充実した支援を受けられるよう、関係機関と連携しながら特化条例制定に向けた活動に積極的に取り組む決意を表明するとともに、神奈川県内の全市町村に特化条例が制定されることを求めます。

 

2022年5月19日

神奈川県弁護士会

会長 髙岡 俊之

 

 
 
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