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会長声明・決議・意見書(2023年度)

改めて今般の出入国管理法等一部改正案に反対する会長談話

2023年05月16日更新

改めて今般の出入国管理法等一部改正案に反対する会長談話

 

2023年4月28日、政府提出の出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(以下「本法案」という)が衆議院法務委員会で賛成多数で可決承認され、同年5月9日に衆議院本会議で可決承認されたことから審議の舞台は参議院に移された。

 本法案は、2021年に大きな批判を受けて採決に至らなかった法案とほぼ同じ内容であり、司法的な審査もないまま無期限の収容を可能とする現行の入管法制度の基本的枠組みを維持し、難民認定申請により送還停止の対象となるのは原則2回までとして3回目以降の申請者は送還可能とするなどの中身となっている。中でも、送還停止の制限は、庇護を求める人を迫害の危険の及ぶ地域へ送還してはならないという国際ルール(ノン・ルフールマン原則)に違反するものであり、これまでさまざまな人権侵害が指摘されてきた入管行政をさらに後退させるものであって、到底看過できないものである。

本年4月21日には、国連人権理事会の移民の人権に関する特別報告者や恣意的拘禁作業部会副議長らが共同書簡を公表し、本法案について、「我々が同様の指摘をした2021年の法案と根本的に変わっておらず、国際人権基準を満たさない」と指摘し、強い憂慮の念を示している。

 政府は本法案提出の理由として、難民認定申請の濫用・誤用への対応を挙げるが、本法案の審議の中で特定の難民審査参与員が2年間で2000件ものケースを審査していたことが明らかになった。この処理件数からは、各申請者の個別具体的な事情を真摯に検討しているとは到底考えられない。このような事実からすれば、まずは、難民審査の充実を図るための具体的方策を構築すべきである。

当会はこれまでも、入管法改正をめぐり、2020年10月22日付の会長声明並びに2021年5月13日付及び2023年2月2日付の会長談話として3度にわたってその内容に反対する意見を表明しているが、改めて本法案に反対し、その廃案を求めるものである。

2023年5月16日

神奈川県弁護士会 

 会長 島崎友樹

 

 
 
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