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会長声明・決議・意見書(2025年度)

憲法記念日を迎えての会長談話

2025年05月02日更新

本日は、日本国憲法が施行されてから78回目の憲法記念日になります。日本の最高法規である日本国憲法について、改めて思いを巡らせる日としましょう。

日本国憲法は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を3原則としています。そして、憲法13条前段が「すべて国民は、個人として尊重される」と定めているように、個人の尊厳が出発点であり、国民主権も平和主義も、個人の尊厳、すなわち基本的人権の尊重を核として、有機的・一体的に結び付いていると言えましょう。
 続いて憲法13条後段は、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を謳います。更に憲法14条は、すべての国民が法の下に平等であることを宣言しています。すなわち、日本国憲法が、個人の尊厳を軸として、人格的生存に不可欠な権利と平等を保障していることが分かります。

 このような憲法の精神を貫くためには、前提として、社会における多様性の尊重が必要です。一人一人の人間は、多様な背景や特性、考え方を持っています。それぞれの多様性を尊重し合う寛容さがないと、個人の尊厳を守っていくことはできません。

 世界に目を向けると、ウクライナやパレスチナのガザ地区は、戦争によりいまだ悲惨な状況下にあり、戦争がいかに基本的人権を蹂躙するかをまざまざと示しています。
 日本国憲法は、第二次世界大戦への深い反省の下に恒久平和主義を謳い、9条に戦争放棄や戦力不保持を定めました。世界中が武力による混乱や不安に陥っている今こそ、私たちは、憲法9条の理念に立ち返り、武力によらない国際協調の道を探るべきではないでしょうか。

 弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としております(弁護士法1条)。そのため、個別案件における活動だけでなく、当会の委員会活動を通じた研究や提言、行政や各種団体との連携など、多様な形で社会に関わり、個人の尊厳を守るための努力をしております。

 そして、弁護士会は、弁護士の力を結集して社会に伝えるためのいわば装置です。神奈川県弁護士会は、引き続き、様々な活動を通じて社会における多様性を応援し、憲法の精神が社会の隅々にまで行き渡るよう、力を尽くしてまいりたいと考えています。

 

2025年5月3日

神奈川県弁護士会 

会長 畑中 隆爾

 

 
 
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