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会長声明・決議・意見書(2025年度)

佐賀県警察科学捜査研究所技術職員によるDNA型鑑定における不正行為を強く非難するとともに、全国の科学捜査研究所を対象に第三者機関による調査及び検証を早急に実施することを求める会長声明

2025年11月28日更新

 本年9月8日、佐賀県警察科学捜査研究所の技術職員が担当していたDNA型鑑定について、当該職員が2017年頃から約7年余にわたり、鑑定を実施したように装う報告や書類の日付改ざん等の不正行為を繰り返していたことが明らかになった。不正行為は計130件に上り、このうち悪質性の高い13件については、虚偽有印公文書作成、同行使、証拠隠滅等の疑いで当該職員が書類送検された。

 DNA型鑑定は、個人の異同を識別する科学的捜査手法であり、現代の刑事手続において不可欠な方法として確立している。そして、DNA型鑑定が適正に実施されることは、真犯人の特定と無辜の不処罰を実現するための前提条件である。

 それにもかかわらず、今回、DNA型鑑定において多数の不正行為が行われていた事実が発覚したのであり、このような不正行為は、佐賀県警察におけるDNA型鑑定の信用性を損なっただけにとどまらず、刑事手続全般に対する社会的信頼をも揺るがせたものとして、当会は、これを強く非難する。捜査機関は、本件不正行為が極めて重大な問題であることを改めて認識すべきである。

 この点につき、警察庁は、本年10月8日、佐賀県警察に対する特別監察の実施と、他都道府県警察科学捜査研究所への順次監察を行う方針を示した。

 しかしながら、本件不正行為が長期間かつ多数回にわたったということは、捜査機関の組織としての自浄作用が機能していなかったことを示すのであり、組織内部に構造的な問題がある以上、警察庁による内部調査には自ずと限界があると言わざるを得ない。

 したがって、捜査機関内で行われるDNA型鑑定に対する国民の信頼を回復するためには、鑑定が適正な手続・手法に基づいて実施されているかどうかを、中立かつ客観的な立場から検証することが不可欠である。

 以上を踏まえ、当会は、法務省、最高検察庁、国家公安委員会及び警察庁に対し、早急に中立的な第三者機関を設置し、全国の科学捜査研究所におけるDNA型鑑定が適正な手続・手法に基づいて行われているか否かを調査し、その調査結果を公表するとともに、不適正な手続・手法が発見された場合は、その原因について検証することを強く求める。

2025年11月27日

神奈川県弁護士会

会長 畑中 隆爾

 

 
 
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