横浜弁護士会新聞

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2002年4月号(2)

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さまざまな企画・イベントも
 開港記念会館講堂では、午後一時三〇分から映画「日独裁判官物語」が上映された。日本とドイツの裁判官のあり方を比較し、日本の司法の問題点を鋭く指摘した話題作である。
 開港記念会館では、午後一時三〇分から午後三時まで、三つのシンポジウムが開催された。
 一つは、消費者問題対策委員会が開催した「消費生活センターの現状を中心にADR(裁判外紛争解決機関)について考える」である。
 埼玉弁護士会から池本誠司弁護士が招かれ、消費生活センターの現状について説明が行われた。
 消費生活センターはこれまで消費者と業者の紛争について、相談員があっせんをすることで数々の事案解決を行いADRとしての重大な役割を担ってきた。しかし、神奈川県において、その消費生活センターの縮小・統廃合の動きがあるという問題点を取り上げ、消費生活センターの充実・拡充を訴える内容となった。
 シンポジウムのもう一つは、刑事弁護センター運営委員会が開催した「悪人といわれる人をなぜ弁護するのか」である。
 パネリストとして、一人は現にオウム事件の弁護人を担当する渡辺脩弁護士を招き、もう一人は、弁護士のあり方について疑問を持つ一般市民の方を招き、徹底的に討論をしてもらうという興味深い内容であった。
 あと一つのシンポジウムは、公害・環境問題委員会が開催した「丹沢のクマとシカ−果たして生き残れるか」である。
 人には自然に接する権利があり、動物や植物の権利を守ることが、人の権利を守ることにつながるのではないか。そんな原点から、自然保護の法体系はどうあるべきかを考えていくという内容だった。
 講師に、野生動物保護管理事務所代表の羽澄俊裕氏を招き、動物や植物の権利について考えさせられる講演が行われた。
 その他に、開港記念会館では、BC級戦犯横浜裁判調査研究特別委員会、子供の権利委員会、横浜弁護士会本部、あっせん仲裁センター委員会、横浜弁護士会四支部による資料の展示や、美術同好会の美術展覧会、将棋同好会主催の飯塚祐紀プロ棋士による多面指し指導対局が催された。
 横浜弁護士会館では、大規模無料法律相談が行われた。一五五名もの相談者が訪れ、弁護士会館一階は相談者でいっぱいになるという大盛況ぶりだった。
 また、弁護士会館五階の大会議室では、午後一時から、司法改革推進委員会主催のミニシンポ「司法教育の公開模擬授業」が行われた。
 佐藤裕会員及び高島誠会員が、交通事故を素材として、刑事・民事手続、弁護士の仕事等について、高校生を念頭においた模擬授業をした。
 弁護士会館五階では、写真クラブによる写真展も開かれた。
 今回の弁護士フェスタの様子は、当日NHKのニュースで放映され、翌日の毎日新聞、神奈川新聞でも報道された。

平成13年度理事者退任挨拶
ご支援ご協力に感謝
会長 須須木永一
 今、理事者会の議事録を改めて読み返しています。熱のこもった議論を重ねた理事者会、副会長の真剣な顔が(あだ名とともに)一人一人手に取るように浮かんできます。時には午後一〇時頃まで会議が続くこともありました。誰がいつ名付けたのでしょうか、「スーパー副会長」達の、何故かお菓子を食べながらの議論は圧巻でした。最初は正反対の意見もいつしか論点が整理され、一つの結論が見事に導き出される、おそらく理想的な会議ではなかったでしょうか。私はただただ目を見張り感心するばかりでした。
 さて前置きはこの程度にして、平成一三年度の副会長をその主だった活動とともにご紹介させていただきます。
 まず仁平信哉副会長です。会の財政、相談センター、研修関係等を担当、新たに設置された財務室の一員としても会財政の健全化に努力、そのまま財務室員として数年間その地位に留まることになったのは、会財政にとってそれ自体大きな財産であるといえましょう。
 つぎに小野毅副会長。司法改革の申し子ともいえるその活躍ぶりは、私が紹介するまでもないでしょう。臨時総会での二つの決議や意見書の起案は理路整然とし、特に司法改革に関する日弁連への辛口の意見はその執行部をも動かすほどのものでした。
 さて木村保夫副会長といえばすぐに思い浮かぶのが刑事弁護の関係です。とてつもない改革をあっさりと提案し、やってのけました。皆様ご存じの「国選当番制」です。この四月からのスタートですが、国選弁護をより多くの会員の皆様に受任していただくことに貢献すると確信しています。
 支部の星といえば高柳馨副会長。総会・常議員会・総合改革委員会等を担当しましたが、忘れてはならないのが「弁護士フェスタ」でしょう。これにかける彼の情熱は多くの会員を動かし、大成功に導きました。弁護士・弁護士会と市民との関わり方に新たなページを開いたといえましょう。
 さてドン尻に控えしは泣く子も黙る小島周一筆頭副会長です。具体的な担当はもちろんありましたが、会務すべてを担当しそれをなんなくこなしてしまったというのが私の評価です。特に理事者会での采配ぶりは見事で、いかなる意見が出ようとも全てをまとめ上げてしまう、これが会務全てを担当したと評価する所以です。
 勝手なことを書きましたが、本当に素晴らしい副会長達であったことは、私よりむしろ皆様方の方がよくおわかりのことと思います。
 話は変わりますが、この一年間の流れについて若干述べさせていただきます。平成一三年六月司法制度改革審議会の最終意見書が提出され、司法改革はいよいよ具体化の時代に入りました。我々執行部としてはそのことを意識しつつ、司法改革を担うことのできる弁護士会へ向けての足固めを心がけたと思います。その具体化が先ほど述べさせていただいた財務室、それと事務局運営室の設置です。司法改革は法曹人口の増加を前提としています。弁護士会の事務量は当然増加し、経費やその他の支出の増加も予測されます。この事態に対応するためには、会が組織として強化されていなければなりません。従来のように任期単年度の副会長一人に会の財政、事務局を担当させておいては到底対応できないとの観点から設置させていただいた次第です。
 つぎに法科大学院についてです。法曹を育てる担い手は弁護士・弁護士会であるとの観点から、特に横浜国立大学との協議を重ね、試験的に授業を持つなど積極的に活動し、いよいよ具体的な教官選任作業に入りました。また、神奈川大学との協議も開始し、法科大学院設置に向けての当会の取り組みは現時点における司法改革具体化の第一番手といえるでしょう。会員の皆様の法科大学院に対するさらなるご理解とご協力をお願いする次第です。
 弁護士任官につきましては、ようやく任官者一名を輩出いたしましたが、法曹一元への突破口となると同時に、判事補他職経験制度導入の際の、裁判官補充の給源ともなるべき重要課題でもあります。つぎの執行部に引継ぐとともに、一人でも多くの弁護士任官者が当会から出られることを期待しております。
 司法教育・法教育は高等学校において当会会員が司法・法律に関する授業を行い、司法に対する理解を深めてもらうことで、司法と市民の距離を近づけるとともに、司法参加にふさわしい市民を育てるという目的に根ざすものです。今年度関弁連定期大会のテーマが「法教育」であることからも、より多くの学校において司法教育・法教育が実施されることが望まれると思います。
 その他司法改革に関連して、地域司法計画実現に向けての市民との協力体制の確立、公設事務所の開設、裁判員制度劇の実施など課題が山積されています。これらにつきましても次期執行部に引継ぎすることとなりましたので、よろしくお願いいたします。
 私ども執行部はこの一年間多くの会員の皆様のご協力のもと、以上述べさせていただいた以外にも市民窓口制度の改善、弁護士情報の公開、数多くの会則会規の制定・改正などを実施させていただきましたこと心より感謝申し上げます。その中でも特にお世話になりましたのが常議員会・議長、副議長と調査室の方々でございます。もしご協力がなければ、執行部はその業務の半分もなし得なかったことでしょう。この場をお借りして改めて厚くお礼申し上げます。
 ところで「会長はいったい何をしたの?」こんな質問が聞こえたような気がします。あえて答えさせていただくのならば、「優秀なスーパー副会長達にその能力を十二分に発揮してもらうため、邪魔にならないよう最大の努力を致しました…。」ということになりそうです。
 会員の皆様、本当にこの一年間ありがとうございました。

常議員会議長 副議長の退任挨拶
常議員会議長 池田 忠正
 平成一三年度の常議員会議長の任務を無事終えることができ安堵しております。大過なく務めることができましたのは、偏えに、常議員の皆様と湯沢副議長のご協力のお蔭です。
 今年度は、昨年六月の司法制度改革審の最終意見書などをめぐる司法改革関連問題の日弁連への意見回答や、当会の財政問題と事務局問題を中長期的視野で検討することを重点とした財務室や事務局運営室の設置などの議題を筆頭に、重要な問題提起が山積し、常議員会では、白熱した議論が展開されました。
 議論の展開にあたって、長老中堅の常議員の方々が呼び水となってご意見の口火を切っていただいたり、若手議員が指名に臆せず堂々と論陣を張ったりと、重要問題では、そこそこ広汎に議論が行なわれたことは議長にとって幸せでした。
 今年度は、新しい試みとして、湯沢副議長をわずらわせ、「常議員会速報」を常議員会後一〇日以内に会員全員にFAXで発行いたしました。司法改革の流れが極めて早く、また、会の組織の重要な改革など一刻も早く会員全員に情報を伝達する必要があると考えたからです。また、会内外の人事について横弁新聞に掲載するスペースがなく、ここ数年、どなたがどの委員に就任したかなど互いに知らなかったことが情報公開時代にあって必ずしも健全であるといえないと考えたからでありますが、成果の程は、皆様のご判断にお任せいたします。
 それにしても、執行部のご苦労は毎年のことながら並大抵ではなく、日頃のご努力に心から敬意を表します。皆様からいただいたこの一年の貴重な経験を今後の会運営に少しでも生かすことができたらと念願しております。
常議員会副議長 湯沢 誠
 一年間常議員会レポートをご愛読いただき有難うございました。筆力不足で会議の内容を興味深く伝えられなかったのが残念です。もっと大胆に書いた方が面白かったのかなと反省しています。
 『新聞』の記事なのだからできるだけ速報性を持たせようということで、その月の常議員会の内容を翌月の弁護士会新聞に掲載することにしました。このため、常議員会が月の後半に開催されるときなどは、開催される前に広報委員から「まだ原稿が出ていないのですが」と原稿の督促を受けたこともしばしばでした。
 また議長の発案で、常議員会速報を発行しました。このため、忙しい一年ではありましたが、緊張感に満ち、また飲みに行く機会も増えて、充実した一年を過ごさせて頂きました。

速報
吉川晋平会員、日南公設事務所弁護士に!
 選定委員会は三月九日、当会の吉川会員を日南公設事務所弁護士に選任した。任期は二〜三年で、八月一日から業務開始予定とのこと。なお、吉川会員へのインタビュー記事を七月号に掲載する予定。

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