横浜弁護士会新聞

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2004年4月号(3)

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理事者室だより
副会長  影山 秀人
 本年3月をもって、弁護士会の報酬規程は廃止されます。平成15年度最後の理事者室だよりは、確認の意味も込めて、今一番会員に関心のある報酬問題を取り上げます。
 さて、会の報酬規程が廃止されること、今後弁護士が報酬の標準を示すことはできなくなること、そしてどうしてそうなったのかということは、当会の1月30日の臨時総会で当会の会則一部改正をした際に御説明しましたし、全会員に出席を義務付けた2月25日及び3月2日の報酬研修に大多数の会員は出席していただきましたので、概ね御理解いただけていると思います。
 そして、日弁連は2月26日の臨時総会で、「弁護士の報酬に関する規程」を制定しました。これによると、弁護士は各自、自分の報酬基準を作成し、それを事務所に備え置かなければならなくなりました。そして、この報酬基準には、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期などを明示しなければならず、その報酬は、経済的利益・事案の難易・時間及び労力等に照らして適正かつ妥当なものでなければならないとされています。また、依頼者から申し出があれば報酬見積書の作成交付に努め、受任に際しては報酬・費用の説明をして原則として報酬事項を含む委任契約書を作成しなければなりません。この委任契約書には、受任する法律事務の表示及び範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期・中途終了時の精算方法を記載します。
 これらの報酬見積書や委任契約書のサンプルは日弁連や当会にあります。また、当面は従来の報酬規程を踏襲したり、若干修正して自分の報酬基準にしようという方は日弁連のホームページから報酬規程をダウンロードして加工することもできます。
 なお、当会の法律相談センター経由の事件受任については、従来もたとえばノレサラ事件などで、会の報酬規程とセンターの承認のための審査基準のダブルスタンダードがありましたが、4月以降は各自の報酬基準と承認審査基準が併存することになりますので、よろしくお願い致します。

いよいよ始まった法科大学院その2 合格者は多士済済 ビジネスマンや医者も
 横浜国大の法科大学院構想は法学部を持たない大学に法科大学院を作るという意欲的な試みである。認可を得られたのはこれが評価されたものと思う。
 当会から横浜国大には専任・みなし専任教員が4名、非常勤講師が6名参加する。専任教員らの4名には中堅・若手会員によるバックアップチームがつき、教材作成などに協力する。司法研修所における合議の長所を取り入れた方法である。
 私が担当する科目のうち、商法演習と民事法総合演習IIでは、研究者教員と二人で授業を計画し二人で教壇に立ち共同授業を実施する。研究者と実務家という二つの視点から一つの授業を行うことで実務家を目指す学生に高い教育的効果を与えることを目指している。
 その他に法曹倫理、法律相談、民事模擬裁判などの授業も担当する。
 横浜国大の法科大学院は、平成16年度の入試において定員50名に対し970名の出願があった。適性試験、書類選考による第一次選抜で約半数に絞られ、第二次の論文試験と面接を経て最終合格者は68名となった。
 面接試験を担当した教授によると、受験生から、プロスポーツの代理人を手がけたい、労災事故で亡くなった友人のために中小企業の労働条件の改善につながる仕事がしたい、エンジニアの経験を生かして特許にかかわる仕事をしたい、病める現代人のために心理的のみならず法律相談を含めた総合カウンセリングをしたいなどの抱負が聞かれたという。
 合格者の約半数は法学部以外の出身者であり、コンサルティングやソフトウェアなどビジネスの第一線で活躍している人も少なくなく、医師も含まれていた。これら合格者は多様なバックグランドを持った法律家の養成という法科大学院の目的に適い今後横浜国大に大きな活力を与えると思われる。
 学生は職業をなげうって3年間学ぶ。それに応える教官の責任は重い。単に実務を教えるだけでなく、授業の中で弁護士の苦悩や喜びを学生に伝え、そのうえ楽しくやりたいと思います。
(会員 川島 清嘉)

常議員会レポート 第13回(平成16年3月4日)・第14回(平成16年3月25日)
 第13回(平成16年3月4日)
〈第1〜3号議案〉
 人事案件。
〈第4号議案〉
 入会申込者1名は入会が許可され、もう1名は常議員会内で小委員会を設置し検討することになった。
〈第5号議案〉
 法科大学院教員に対する支給等に関する暫定措置会規に基づき、調査員の委嘱と調査費の支出が承認された。
〈第6号議案〉
 公的付添人制度への対応態勢の検討に関する日弁連照会につき当会の回答が承認された。
〈第7号議案〉
 委員会通則の運用基準に関する常議員会決議が承認された。同一委員会委員への再任は、連続して三期までを標準とする規定を弾力的に解釈し運用上の不都合をなくすように配慮すべきとの決議。
〈第8〜18号議案〉
 日弁連会規改正、当会会費制度の改正および報酬規程の廃止等に伴い、関連する規則が改正された。
〈第19〜21号議案〉
 勤労者退職金共済機構との中小企業退職金共済契約の締結のため職員退職金規則、支部職員規則が一部改正された。
〈第22号議案〉
 横浜市との法律相談委託契約締結が承認された。
〈第23号議案〉
 会費免除会員につき、会館補修資金の支払い免除が承認された。
〈第24号議案〉
 正職員の退職に伴い、人材派遣会社との派遣契約締結が承認された。
〈第25号議案〉
 人権侵害防止啓発ポスターの配布につき承認された。
〈報告事項〉
(1) 消費者保護基本法改正に関する会長談話の報告。
(2) 会費免除会員の報告。
(3) 正職員表彰の賞給につき、正副会長会で基準を決めたことの報告。
 第14回(平成16年3月25日)
〈第1、2号議案〉
 人事案件。
〈第3号議案〉
 入会申込者1名は資格審査会回付の議決がされ、もう1名は常議員会内で小委員会を設置して検討することとし、次期常議員会の継続案件とされた。
〈第4号議案〉
 神奈川県土地家屋調査士会との「境界問題相談センターかながわ」の運営に関する協定書締結が承認された。
〈第5号議案〉
 日弁連照会「弁護士職務基本規程」についての当会の回答が承認された。
〈第6号議案〉
 「定期借家制度の見直し」に対する意見書が承認された。賃借人の保護を後退させる内容の改正には反対するというもの。
〈第7号議案〉
 当会PCシステムに関するネットワーク保守契約締結について承認された。
〈第8号議案〉
 記録等管理保存規則一部改正が承認された。
〈緊急議案〉
1、特許等の訴訟に関する専属管轄についての会長声明が承認された。
〈報告事項〉
(1) 県西支部事務所・小田原法律相談センター開所披露パーティーの報告。
(2) 名古屋弁護士会・福岡県弁護士会との三会交流会が行われたことの報告。
(3) 資格審査会の報告。
(4) 日弁連照会「動産・債権譲渡に係る公示制度の整備に関する要綱中間試案」に対する回答の報告。
(5) 会員の公益活動・委員会活動免除の報告。
(副議長 岡部 光平)
常議員からズバリひとこと
 常議員会は,会の1週前ころに送付される議案資料を読むだけで弁護士会及び弁護士を取り巻く情勢が分かる大変勉強になる場であった。多くの議案が審議されたが,質問意見がなされることなく承認されたものも多かった。議案資料や提案説明が充実しているから質問意見が出ないのか。別の理由か。弁護士職務基本規程についての意見照会に関する議案も質問意見はなく,穏やかに本年度の常議員会は終了した。
(50期 豊島 健司)

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