横浜弁護士会新聞

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2005年10月号(3)

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懲戒請求事件の遅延のお詫び
会長 庄司 道弘
 平成17年8月3日、横浜弁護士会会内において、懲戒請求があった事案の調査手続に長期・大量の遅延があることが判明いたしました。その後の調査により、平成16年6月8日以降平成17年7月20日受付までの間の懲戒請求事案37件の内、36件のほとんどが担当職員の下で停滞したまま綱紀委員会における実質的調査が行われていない状態となっており、その他にも綱紀委員会において議決がなされたものの、その後の処理がなされないままに放置されていたものが、平成16年1月28日議決から平成17年3月25日までの間に39件に達していることが判明いたしました。
 これらの処理については、すでに綱紀委員会において緊急処理体制を組んで早急に調査を進めることが確認されています。
 このような事態を招いた要因については現在究明中ですが、受付から懲戒処分までの事務手続を1人の職員に任せていたこと、理事者や委員会における管理体制が不充分であったこと、弁護士会の活動が増大しているにもかかわらず予算上の理由から職員の増員が見送られ職員の事務量の増大があること、職員の事務量にも偏りがあること、個々の委員会の直接指示の影響による管理し得ない事務量の発生も無視し得ないこと等、検討すべき課題は多くあります。
 今回の遅延により、懲戒請求者及び関係者には多大のご迷惑をおかけしたことについて、理事者一同その責任を痛感するとともに、記者会見を開き市民に対し謝罪の意を表したところです。
 弁護士自治にとって最も重要な懲戒制度を揺るがせないために、今後は、担当職員を複数とし、事件管理及びチェック体制を確立し、2度と同様の事態を招かないようする所存でおります。

私の独立した頃(103) 須須木 永一会員の巻
 「私は自分自身の力で法律事務所を創設したわけではなく、岳父(須須木平次弁護士)の経営していた事務所を昭和33年に承継したにすぎない…」。
 これは私の父杉原尚五弁護士が書いた「私の独立した頃」の書き出しです。その杉原尚五法律事務所に、昭和50年4月、何の疑問も抱かず弁護士登録と同時に入所、独立とはおよそ縁のない環境のもと、私の弁護士生活は始まりました。しかし人生とは実にうまくできたもので、今改めて思い起こしてみますと、それなりに独立を感じた時がありました。
 まず最初の独立、それは結婚です。登録当時独身だった私の仕事は朝食と同時に始まります。仕事一筋の杉原は、朝食をともにしている私に必ず仕事の話をしてくるのです。更に事務所の行き帰りの車の中はもちろん、だめ押しは夕食の時間、要するに朝食から夕食が終わるまでが私の勤務時間でした。しかし、登録4年目、結婚により朝食と夕食の時間が仕事から解放されました。これが私の独立第1歩と言えるでしょう。
 2度目の独立、それは昭和59年、弟杉原光昭が事務所に来てくれたときの事です。これを機に、思い切って給料を返上することにしたのです。自分独自の顧問先などからの仕事で何とかやりくりをしていく楽しみ(?)、これぞまさしく独立と密かに思ったものです。
 そしてついに3度目の独立。事務所経費の負担と事務所名の変更です。私の名前が事務所の名称に加わり、事務所内独立から、共同ではありますが、対外的にも独立するに至りました。須須木の一人娘だった母と結婚した父が母方を嗣がなかったことで、須須木の名前だけを嗣いでしまった私ですが、須々木法律事務所を再興出来たことでその役割を果たせたような気がしています。
 これが多分私の独立と思いますが、この記事を読んで、亡くなった父と祖父は天国で「一人前の弁護士としての独立はまだまだだな…。」などと苦笑いしながら話し合っているかもしれませんね。

こちら記者クラブ 「『話し言葉』で思うこと」
 話し言葉は難しい。「テツドウヨウホセンシャリョウ」をめぐる道路運送車両法違反?そう聞いてどれだけの人がピーンとくるか。文字で書けば「鉄道用保線車両」。これならイメージが湧く人も多かろう。
 テレビのニュースは耳で聞いて分かるのが原則。鉄道用保線車両は、「鉄道レールの保守点検などに使われる特殊な車両」、虚偽報告は「うその申し出」と言い換える。誤解を生まずに、どこまで簡単な表現に置き換えられるか。どういう話し言葉を使えば聞いている人に分かりやすいか。
 先日、某検察庁の記者発表を取材した。書類送検された事案を不起訴としたとの内容。発表文には事案の概要があるばかりで、不起訴理由に触れていない。記者の質問は当然そこに集中するのだが、「不起訴が相当ということです」と繰り返すばかり。「司法試験と同じで、いらないこと書くとかえって減点の対象でしょう」。
 本稿は、まったくもって某検察庁への批判ではない。実際どこへ行っても記者発表は同じようなものだから。
 ただ、だからこそ問題の根は深い。句読点が一つしかない文章を、競うように早口で読み上げる刑事法廷を傍聴するたびに、「国民参加を謳った司法制度改革の要請はここにあるのか」と思う。分かりやすく説明することに、どれだけ努力してきたか。
 法律学をかじった私としては、少数民意の反映こそ司法の本質と思うのだが…。
  テレビ東京報道局記者 新見多一

常議員会レポート第6回(平成17年9月8日)
〈緊急案件〉
 理事者から、懲戒請求事件につき、綱紀委員会の担当職員の下で事務作業の停滞があり、現在までの調査の結果、平成16年6月受理分から平成17年7月受理分まで36件につき実質的に調査されていなかったこと、その他、綱紀委員会の議決後の会決定通知が請求者に未通知となっている事案が多数あること等が判明したとの報告があり、これに関し早期にマスコミ発表することの可否につき、提案があった。これに対し、本件事件の内容、原因、対策等につき、質疑応答がなされ、マスコミ発表については、事案としての重要性から、また隠蔽等の誤解を避けるためにも早期の発表が必要であるとの観点から、満場一致で承認した。発表内容については、理事者の原案を基に、橋本吉行前副会長、理事者、正・副議長が更に検討して確定することが了承された。
〈議案〉
入会申込者入会許否の件
 修習終了直後の34名の申込者につき、修習終了を条件とし、全員の入会を承認した。その他、4名の申込者についても、全員承認した。4名は、各々、元裁判官・公証人、第二東京弁護士会からの登録換え、元検察官、元裁判官である。
 市民窓口担当者13名を新規選任し、7名を再任した。
 日弁連から最高裁判所裁判官候補者の推薦についての依頼があったが、当会は推薦しないことにした。
 日弁連から司法試験第二次試験考査委員候補者推薦の依頼があったが、当会は川島清嘉会員の再任を求めることにした。なお、担当科目は商法である。
 新司法試験考査委員を常議員会の付議事項とすることを、承認した。「横浜弁護士会弁護士の人事等に関する規則」第2条によれば、会員を所定の官公署その他の地位に推薦する場合は常議員会の議に付さなければならないが、本件は同条5号の「その他常議員会が特に指定した地位」として、承認したものである。
 日弁連から新司法試験考査委員候補者推薦の依頼があったが、当会は推薦しないことにした。
 横浜弁護士会の会計税務顧問の辞任に伴い、新たな顧問として、公認会計士・税理士吾妻賢治氏に委嘱することを承認した。
 横浜地方裁判所から、12月11日にパシフィコ横浜において開催される「裁判員制度全国フォーラムin神奈川」の後援依頼があったが、これを承認した。
 「ホームページ等による会員情報提供制度運営規則」(規則第112号)の一部改訂を承認した。改訂内容は、第3条の会員情報の任意的提供事項に、会員の「ホームページのURL」を追加することが主なものである。
10  「ホームページ等による外国特別会員情報提供制度運営規則」(規則第113号)の一部改訂を承認した。改訂内容は、第3条の会員情報の任意的提供事項に会員の「ホームページのURL」を追加することが主なものである。
11  会員から病気を理由とする会費免除申請が一件あったが、これを承認した。
12 神奈川簡易裁判所増築改装、横浜地方・家庭裁判所横須賀支部及び横須賀簡易裁判所の改装等についての要望及び質問につき、横浜地・家裁に対し執行部の原案どおりの内容で提出することを承認した。
13  金融庁に対し「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正(案)に対する意見書」を9月1日に提出したことにつき、事後承認した。
14  横浜市がNPO法人と共催する「安心住宅リフォーム相談会」(9月9、10日開催)に横浜弁護士会が協力団体としてチラシ等の広報に掲載することにつき、事後承認した。
〈報告事項〉
理事者から以下の報告があった。
 前回の常議員会において人事推薦の件につき、執行部と人事委員会との意思疎通の件が問題になったが、理事者から人事委員会に対し、今後充分な連絡と意思疎通を図る旨の表明がなされたこと。
 横浜地方裁判所委員会の委員推薦の件につき、前回の常議員会において2名のうち1名の選任については執行部に一任したが、佐藤克洋会員(30期)を推薦したこと。
 また、その他、日弁連・資格審査会委員等9件の委員会の委員各1名を推薦したこと。
 法務省に「信託法改正要綱試案」に対する当会司法制度委員会意見を提出したこと。
 8月22日付で、会員1名に対し、戒告の懲戒決定がなされたこと。

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