横浜弁護士会新聞

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2005年9月号(3)

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理事者からの「かけ橋」
「弁護士にきこう!」
副会長 齋藤 尚之
 今年の夏も暑いが、クールビズのおかげで理事者室ではネクタイをはずしている。
 理事者になって、いろいろな方にお会いするが、専門は何ですかとよくきかれる。そのときは、田舎でやっているもので何でもやらなければならないため特に専門はありませんと答えている。
 依頼者は、医師に対する専門分野と同じ感覚で、弁護士にも専門性を求めるようになってきている。しかし、東京のような大都会を除けば、専門分野を掲げても事務所を維持できるだけの顧客が来るとは思えない。また、弁護士には国選弁護・多重債務処理のように、専門とは別にやらなければならない事項が多いので、医師のような純粋な専門性をとるのは困難である(被疑者国選が開始されれば原則義務化しなければ制度が成り立たないのは明白である)。
 だからといって、顧客の要望にできるだけ応えたいところである。その意味で昨年の執行部が立ち上げた専門実務研究会の役割はとても大きい。改正される法律や新しく立ち上げられる制度を研究することによって、各弁護士がすべての分野を取り扱いつつ、得意分野を持つという理想が実現される日も近いと思われる。それが理事者の夢である。これが実現されれば、各弁護士の弁護士会への帰属意識は高まるし、依頼者も「困ったときはやっぱり弁護士にきこう!」(横浜弁護士会法律相談センターのパンフレットより)と考えてくださるであろう。
 今年の夏休みは取れないが、来年の夏は南の島に行けることを楽しみにこういうことを考えている。

私の独立した頃(102) 沼尾 雅徳会員の巻
独立の挨拶状には“一流の弁護士になるであろう”…と
 高松の佐長彰一先生(10期)に矢島惣平先生(10期)を御紹介戴き、そのお口添えで榎本勝則先生(11期)の二人目のイソ弁となった。昭和50年4月から同53年12月までお世話になった。榎本先生からは、事件の筋の見方、落ち着きのいい解決というのを教えて戴いた。榎本先生が井上洋之助先生と御縁があった関係で、その御子息の井上嘉久先生(24期)とお近づきになることができた。よく御馳走して戴き、また事件処理にあたっての目配りということを教えて戴いた。
 昭和54年1月に中区本町のニュー本町ビルの小さな一室を借り、事務所を開設した。先輩から、半年間全く収入がなくてもやっていけるだけの貯えができないうちは独立するな、と言われていた。今にして思えば、それだけの貯えがあったとは到底思えない。事務員を雇う経済的余裕はなく、妻に手伝ってもらった。共に事務所を創り上げるのだということで、妻は喜々として働き、今でもその頃のことをよく憶えている。時間だけはたっぷりあったので、横浜国大の非常勤講師を務めたり、税理士さんの任意団体TKCの依頼で全国を講演でまわったりした。この頃の横弁には、後輩が食べていけているか、先輩がそれとなく見守るというような処が残っていて、私も気に掛けて戴いた。井上先生と永峰重夫先生(15期)には、仕事を御紹介戴く等大変お世話になった。また、永峰先生には攻めるということも教えて戴いた。今日まで何とかやってこれたのは諸先輩のお陰と心底思っている。
 独立するときの挨拶状に、榎本先生が、私のことを一流の弁護士になるであろうと添え書きして下さり、また、これは軽々には書けないことだとおっしゃって下さったが、遂に一流にはなれなかった。榎本先生には期待に添えず、大変申し訳ないと思っている。

こちら記者クラブ Give Me a Truth!
 記者になって8年。毎年、夏休みの旅行を楽しみにしています。一週間以上のまとまった休暇が取れるのは年に1度、夏しかないからです。
 ここ数年は北海道やロス、サイパンに行きました。今年は、8月下旬〜9月初旬に南国の島・パラオを訪れる予定です。戦後60年。美しいビーチを堪能しつつ、戦跡を巡って大戦に思いをいたそうという、我ながらいいアイデアです。
 ところが最近、私のささやかなバケーションを台無しにしかねない動きがあります。そう、8月初旬に行われる郵政法案の参院採決です。我々マスコミは法案否決→衆院解散の流れに戦々恐々。解散は最短で9月11日と噂され、選挙となれば社を挙げて取材するため、司法担当といえど夏休みどころではなくなります。旅行の申し込みは7月末に済ませ、万一の際はキャンセルせざるを得ない状況です。
 「キャンセル料は会社が出してくれるんでしょーね?」。過日、語気鋭く上司に迫ったところ、返答は「キャンセル料が発生する前にキャンセルしてくれ」。解散総選挙は十分予想できるのだから、旅行の予定など入れないのが当然、というわけです。
 さて、ここで皆さんに質問です。最悪のシナリオ通り旅行をキャンセルした場合、会社にキャンセル料を払わせることができる可能性は何%でしょうか?原告の言い分は(1)法案採決を待って予約することはできなかった(飛行機が満席になる)(2)選挙後に長期休暇をくれるはずがない(3)私は疲れている−の3点です。50%以上と思われる方は御一報ください!
  神奈川新聞記者 川村 真幸

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