横浜弁護士会新聞

2006年4月号  −1− 目次

平成16年度 平成17年度 会長に対し厳重注意 綱紀・懲戒制度に関する決議文を採択

2月8日午後1時よりロイヤルホールヨコハマ2階で臨時総会が開催された。いつもより広い会場が準備されていたが、それが満席になるほどの出席者数であった。

1号決議
 横浜弁護士会会則の一部改正に関するもの。
 これは、(1)任官再登録者の再登録時に、弁護士となる資格を証明する書面の提出を不要としている会則第10条7項について、不要とできない場合もありうることを想定し「要しないものとすることができる」と改めること、(2)入会申込に際して、他職経験者に入会金の免除または猶予を認めている会則第11条について、その免除等の対象者を、日本司法支援センターとの間で常時勤務をする契約をした者(以下「スタッフ弁護士」という。)の登録換え時にも拡大して適用することができるよう改めるものである。
2号決議
 横浜弁護士会館規則(会規第八号)一部改正に関するもの。
 他職経験者に対して弁護士会館維持運営資金としての負担金と会館補修資金の免除が可能としていた22条を、他職経験者及びスタッフ弁護士に対しては負担金等を免除すること、及び負担金等の免除が効力を失う場合があることを規定しようとするもの。
 提案理由は第1号議案と同趣旨である。
3号決議
 医療観察法に基づく国選付添人に関する会規制定に関するもの。
 これは、平成17年7月15日に施行された医療観察法で、一定の重大犯罪にあたる行為を行ったが不起訴・無罪あるいは執行猶予となった者(対象者)に対して、一定の要件のもとで強制入院・強制通院を命じることができることとなった。この制度は法律に基づくものであるとはいえ、対象者に対して不利益処分を課すものである。従って、対象者の付添人となる弁護士の役割は重要である。
 裁判所が付添人を選任する場合には横浜弁護士会宛に推薦依頼をする運用が既に確認されているが、付添人の推薦を適正かつ円滑に行うため、付添人推薦につき、あらかじめその手続に関する基本事項や国選付添人が遵守すべき事項を規定しておく必要がある。そこで、その付添人推薦に関する事項を会規として制定することが相当として、これに関する会規制定が提案された。
 1〜3号議案は可決された。
4号決議
 綱紀・懲戒請求手続に関する臨時総会決議の件。
 これは、当会において、綱紀懲戒手続処理が滞留した問題を受け止め、総会決議を求めたものである。
 本議題については、相当多くの質問と意見がよせられた。
 質問としては、業務量の増大に対してどのような対策をこれまでたててきたのか、また今後どのような対策をとる予定でいるのか、再発防止策として具体的にどのようなことを検討しているのか、また、そもそも責任のとり方として、総会決議という形式を是とすべきか等のものが多かった。
 また決議文をどのような表現とするかについても多数の意見が交わされ、修正動議の上、別項の決議文が採択された。
 本件が弁護士自治の根幹に関わるものであることから、多くの会員が参加し活発な議論がなされる総会となったが、まさにこのような不祥事が再発しないよう会員全員で努力したい。
 可決された総会決議は別掲のとおりである。
決 議
 このたび、横浜弁護士会(以下単に「当会」という)において、2004(平成16)年6月から2005(平成17)年8月までの間、所属弁護士に関する綱紀・懲戒請求手続が処理されず、この期間に40件近い懲戒請求事件が放置されていたことが判明した。当会は、弁護士自治の根幹に関わる綱紀・懲戒制度が機能していなかったことを厳粛に受け止め、今後このような不祥事を起こさないよう、本日、臨時総会を開催し以下のとおり決議する。
1 弁護士は、国民の基本的人権の擁護と社会正義の実現に寄与することを使命とし、自治権を享有している。それゆえに、弁護士は権力からの干渉を受けず、職務怠慢や非違行為があった場合でも、時の権力による懲戒ではなく、その所属する弁護士会における綱紀・懲戒手続によらなければ懲戒処分を受けることはない、このような弁護士自治は、国民の信頼により培われてきたものであり、この弁護士自治が充分に機能しない状況は、国民の信頼を裏切るに等しい。
 当会は、今回このような事態を招いたことを真摯に反省し、国民の皆様ならびに懲戒請求者、日本弁護士連合会など関係各位の皆様に対して、ここに会を挙げて深く謝罪する。
2 本件は、直接には担当事務職員の業務懈怠という形をとって発生したものではあるが、その業務の適正処理については、弁護士会における綱紀・懲戒請求手続の枢要性からも些かの遺漏もないよう万全の管理体制の下に監督を行うべきであるのに、当会の体制は不充分であったと言わざるをえない。
 このような結果を生ぜしめたことにつき、弁護士会業務の執行を担う会長の責任は重い。よって、不祥事が集中して発生した2004(平成16)年度、並びに2005(平成17)年度の各会長に対し、ここに厳重注意するものである。
3 我々横浜弁護士会は、弁護士自治が国民の信頼を得て初めて機能するものであり、綱紀・懲戒手続がその根幹をなすものであることを確認する。そしてここに、本件の如き事態の再発を防止し、国民の信頼に真に答えられるよう制度・運用を改善して、これを誠実に実行することを誓約する。以上決議する。

山ゆり
 所属事務所では弁護士全員が煙草を吸う。事務員さん達がいる部屋と各弁護士のいる部屋は別々なので、間接喫煙についてもあまり神経質にならずに済む。ありがたい環境の下、私はほとんどいつもくわえ煙草で仕事をしている
 振り返れば20年近くの喫煙歴になる。煙草のパッケージに記されるようになった警告文を読むと、さすがに心が動かないでもないが、何かを真面目に考えようとする時には煙草が欠かせず、かといって不真面目に仕事をする訳にもいかず、結局止められそうにない。酒はこの世からなくなっても構わないが、煙草はないとどうしても困る
 しかし、世間の傾向は喫煙者に極めて厳しい。喫煙可の場所は狭くなっていくばかりである。屋外でも、駅でも、タクシーの中でも吸えず、やっと裁判所にたどり着き、オアシスを求める砂漠の旅人の様な気分で喫煙場所に向かったら閉鎖されていたという悲しい経験もした
 百害あって一利なしという人もいる。しかし、喫煙者当人にとっては確実に一利はあるのである。無意味に見える他人の一利にも理解を示すのが人権感覚というものではないか
 などと偉そうに書くと世間様の反感を買いそうなので、御願いするしかない。誰に御願いしているのかもはっきりしないが、御願いする。もう少し場所を下さい。マナーは守りますので。
(長澤 洋征)

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