横浜弁護士会新聞

2006年4月号  −2− 目次

平成17年度 理事者退任挨拶 平成17年度会長 庄司 道弘
平成17年度会長 庄司 道弘
 思えば長い1年であった。なんと言っても大きな事件は、平成17年8月3日に発覚した綱紀懲戒事務の長期大量停滞事故であった。衷心よりおわび申し上げます。
 昨今、弁護士の自治意識希薄化現象が広がる傾向があるとする指摘があるが、弁護士自身による綱紀懲戒問題をないがしろにして、誰が人権を守り得るのであろうか。今回の問題で弁護士自治の根本的意義を各会員が改めて認識するべきことを確認したと考えている。
 さて、各綱紀委員の皆さんのお陰で停滞事件の9割は処理を完了し、本件事件を次期に引継ぐことなく完了するという、所期の目的は大方達成しつつある。外部委員を含めた各綱紀委員の皆さんには心からお礼を申上げたい。
 また、綱紀懲戒事件の掌握方法について、綱紀懲戒委員会の独立性、事件への不干渉を維持しつつも事件処理の進展の把握をビジュアル化して取組むことが要請されたが、これは実現できたと思う。
 大きな事故も小さな不注意の積重ねの結果だということであるということを肝に命じて会務や委員会活動をしていきたい。
 さて、この1年間の苦楽を共にし、膨大な会務を支えてくれた5人の副会長を感謝を込めて紹介しよう。
 小口筆頭副会長…綱紀懲戒事務停滞問題では一番大変な思いをしたが、淡々と迅速適正な処理に努めてくれた。刑事関係の委員会を担当、国選事務の司法支援センターへの移行に伴う準備、裁判員裁判制度に向けて模擬裁判の実施等大忙しの毎日であったと思う。大姉御として理事者会を取り仕切り、庄司丸の舵取り役をはたした。
 三浦副会長…余人に代えがたい人柄で事務局担当を見事にこなし、司法支援センター担当として職員移行問題ほかの準備作業に精力的に当たった。また、法律相談センター、司法修習等の重要部署も担当し、休む間があったのか心配したが、出張先の宿ではS副会長と将棋の対局で長考する時間はとれたようである。
 前田副会長…専門家に劣らぬ会計知識で財務会計を担当し、今期理事者の金庫番として厳正な予算執行を心がけてくれた。例年より早期開催となった弁護士フェスタや当会125年記念行事等も無事乗り切った。また、事務引継の重要性を当初より指摘し、我々の意識を喚起してくれた。
 橋副会長…思いやりのある性格のこの人にぴったりの人事、人権の委員会担当として、極めて煩雑な業務を事務局とうまく連携して乗り切ってくれた。この4月から始まる労働審判制度の準備・研修を担当し、また、司法教育担当として昨年5月の法教育シンポジウムを成功させ、その流れでの中で本年4月の法教育センターの開設の中心として頑張ってくれた。
 齋藤副会長…きめ細かい準備と配慮で、常議員会・総会を切り盛りしてくれた。この人のお陰で打ち寄せる荒波を乗り切れたと言ってよい。全4ヶ所の市会議員との懇談の実現に力を注ぎ、全理事者を弁護士会首都圏サミットに出席させ、理事者間でも支部問題を理解させてくれた。
 事務局職員の掌理、及びこれに関連して事務局運営をどの様に改善してゆくかは、今後十分検討する必要がある。福岡、二弁のように、弁護士事務局長制をとるもの、あるいは愛知、東弁、大阪の様に理事者の常駐制を採用するなど、日々、弁護士が事務局と苦楽を共にし、誰がどの様な仕事を抱え、その仕事ぶりはどうなのかを直接把握している現実を直視すべきであり、当会もこの点の取組を考える時期に来ていると思う。
 至らぬ点が多々ありましたが、1年間本当にありがとうございました。
 市民との「かけ橋」となるべき多くの課題が未消化になったまま次年度に引継がざるを得ません。次年度の理事者のご活躍を心からお祈りします。

常議員会 議長・副議長の退任挨拶
常議員会議長 木村 良二
 なかなか充実した1年であった。
 まず、出席率が高かったこと。平均で80%を越えていた。昨年4月から今年の2月までの12回で、正・副議長を除いて7名の皆出席者がいた。総勢35名の会議体としては驚異的な数字であろう(3月の最終回までで皆出席者は何名になっているでしょう?)。
 単に出席率の高さに止まらず、中身の議論もなかなかのものであった。特筆すべきは、継続審議にして、しかも常議員会として検討チームを設けたケースが2つあったことと、この関連で1月に臨時常議員会を開いたことである。いずれの検討チームも20日足らずの間に3、4回の会議を開いて立派な報告を出されたのであるから、副議長はじめ検討チームのメンバーには何ともご苦労様と言いたい。
 ところで、常議員会の構成について。今回は26期のO会員(ミスターダンディー)が最長老であった。若手の台頭は喜ぶべきこととしても、20期代前半までのベテラン会員の知恵はまだまだ必要と思うがどうだろう?
 また、従来から指摘されていることではあるが、前理事者6名全員が必ず常議員に就任するという慣行は改める時期に来ていると思う。確かに前理事者による新理事者のサポートやバックアップ、あるいは会務の継続性という観点からは合理性がないわけではない。しかし、そのためなら半分の3名でも十分ではないか?小姑は少な目に、幅広い会員の参加を得た方が平和で建設的な議論ができそうに思うが。
常議員会副議長 伊藤 秀一
 昨年4月、何やら青天の霹靂で副議長のお役目を仰せつかり戸惑っているうちに、既に任期が終わろうとしている。
 本来、副議長は議長を補佐する役目であるが、木村議長の的確な議事進行等を横で感心しながら眺めているだけで1年が過ぎ去った感がある。
 当初、大変なのは、新聞用の常議員会レポート及び常議員会速報の作成であるとのことだったが、確かに毎回上程される案件をまとめるのが、主な仕事になってしまった。案件が毎回多数に亘り、また字数に制限があることもあって「要件事実」的な内容になってしまい、審議の内容を十分お伝えすることができなかったように思う。しかし、役職を経験して、弁護士会の活動を俯瞰できたことは大きな収穫だった。
 弁護士会が大量の処理案件をかかえ、理事者以下、会の活動に関わる会員が、弁護士の地位向上、弁護士会の発展のためにいかに奮闘しているかを痛感した次第である。御承知のとおり、今期の大問題は、綱紀・懲戒事務の滞留問題であり、臨時総会で決議を出す事態になったが、常議員会では、事務職員の懲戒処分、横浜弁護士会としての責任の取り方等、臨時常議員会も含め6回に亘り活発な議論が繰り広げられた。また常議員を中心とした本件問題の調査委員会、総会決議案の検討チームの結成等、適切な問題処理のため精力的な活動がなされ、常議員会の弁護士会に占める重要性を改めて認識させられた。最後に、忙しい中、毎回出席され、活発な議論が繰り広げられた常議員の皆さんに敬意を表し、退任の挨拶としたい。

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