横浜弁護士会新聞

2007年5月号  −3− 目次

弁護士過疎・偏在の解消のために 会として何をすべきか
 3月20日、当会会館にて、第22回司法シンポジウム(6月22日にJALリゾートシーホークホテル福岡にて開催)のプレシンポジウム「弁護士過疎・偏在の解消に向けて─横浜弁護士会が果たすべき役割とは─>」が開催された。
 当会からひまわり基金公設事務所に赴任中の石川裕一弁護士(安芸)、徳田暁弁護士(米沢)、中山雅博弁護士(むつ)がパネリストとして駆けつけ、スライドを交えて事務所の様子や周辺地域の紹介がされた後、パネルディスカッションが行われた。
 パネリストからは、地方には弁護士を必要としている人が相談を受けきれないほどおり(徳田弁護士は、1年半でなんと684件の相談を受け、330件を受任している)、予約しても相談を受けられるのは3週間や1か月後となるなどの状況が報告された。半面、満了時に必ずしも後任が確保されていないことから任期満了時に戻れるか定かでないことや、出身弁護士会へ戻ろうにも受け入れ体制がないという点を挙げ、そのために躊躇している人が多いのではないかといった問題点も語られた。
 あわせて当会のように会員数も多く、新人弁護士からの人気も高い会が積極的に支援することで、公設事務所に行こうとする人の不安を解消して欲しいとの要望がなされた。
 パネルディスカッション後に行われたQ&Aでは、公設事務所へ赴任予定の会員から具体的に当会がどのような支援を受けられたかという鋭い質問がなされ、パネリストも思わず、回答に困る場面もあった。個人的な繋がりでの支援はあるものの会として支援体制は充分とはいえない現状が浮き彫りとなり、この問題にどう取り組むかが今後の課題とされた。
 プレシンポは、81名が参加し、時間が足りないほどの盛況だったため、プレシンポ終了後、ロイヤルパークヨコハマにて行われた激励会でも、引き続きプレシンポでは語り切れなかった話で大いに盛り上がった。

理事者室だより1
副会長 竹森 裕子
どうぞ、ティータイムを
 このコラムは、1年間5人の副会長が理事者室の日々をお伝えします。桜満開の4月2日、初出勤し、事務局の皆さんと朝礼後、地方裁判所・家庭裁判所・検察庁・神奈川新聞社・横浜商工会議所へ就任挨拶をしました。
 初日に喫驚したのは、決裁書類の多さです。日直の副会長が処理しますが、慣れないせいもあり、事務局に尋ねないとわからないことばかりです。じっくり全部を読んでいられないので、めり張りをつけて判断する必要があるようです。
 私の担当業務は、(1)綱紀(2)懲戒(3)紛議調停(4)市民窓口(5)業務妨害対策(6)公害環境問題(7)研修の各委員会等です。(1)〜(4)は、会員の皆さんとお会いしないことが望ましい委員会ばかりですので、この仕事で忙しくないことを切に希望しています。
 今年の大きな課題として、2007年新規登録弁護士増大問題と2009年裁判員裁判問題があります。当会でも100名を超す就職希望者が予想され、全員の希望を満たすことができるのか、研修制度をどうすべきか、又、2年後に始まる裁判員裁判の準備、被疑者国選等の対策が必要とされています。
 ところで、私はコーヒーよりも紅茶党なので、理事者室に私が用意致しております。紅茶のお好きな方もティータイム(勿論コーヒーも)に、是非理事室にお立ち寄り下さい。お待ちしています。

エピソード満載の歓迎会 山﨑家裁所長着任
 3月6日、華正楼新館において山﨑恒横浜家庭裁判所長の歓迎会が開催された。
 山﨑所長は、家庭裁判所調査官研修所教官、東京地方裁判所部総括判事、家庭裁判所調査官研修所長、最高裁判所家庭局長、前橋地方裁判所長等を歴任され、今回、稲田龍樹前所長の後任として着任された。山﨑所長は千葉のご出身であり、学生時代はワンダーフォーゲル部に所属し、前橋地方裁判所長時代にも季節に一度は尾瀬に足を運ばれていたとのことである。
 木村良二当会会長の挨拶、武井共夫常議員会議長の発声による乾杯に続き、山﨑所長に縁のある当会会員から様々なエピソードが紹介された。
 山﨑所長と26期京都修習で共に学んだという間柄である永井嵓朗会員からは、山﨑所長の修習生時代の人柄が偲ばれる話が紹介された。
 また、山﨑所長が富山地方裁判所長岡支部に在籍していた当時の同僚であり、官舎も同じだったという武内大佳会員からは、共に机を並べた3年間の間、テニス・卓球・スキー・マージャン・百人一首等様々な遊びを共にしたエピソードが紹介された。
 修習生時代、裁判官時代を共にした仲間からの紹介があったことで、山﨑所長のあたたかい人柄がうかがわれる歓迎会となった。
(会員 山田 一誠)

こちら記者クラブ 心に響く弁論を
 「戻りません」と男が言った。
 男は暴力団から足を洗おうと、逮捕覚悟で無銭飲食をした。「社会復帰したら組に戻るのではないか」との裁判官の問いに、男は正面を見据え、きっぱり答えた。「見つかったら殴られたり蹴られたり、かなり痛い目に遭うでしょう。でも、もう戻りたくない。日雇いでも何でも仕事をして、まじめに生きていきたい」
 男の言葉には力があり、本気で言っているな、と思った。沈思した裁判官は「よしっ」と言って一瞬ほほ笑み、男に、傍聴席に知った顔がいないか聞いた。振り返った男と目が合う。裁判官とも目が合った、……気がした。
 「組抜けのため無銭飲食」という見出しが頭に浮かんでいた。この場合、記事中で被告を匿名にする理由はない。しかし記事を出せば、男の居場所が組に抜ける恐れがある。記事化を見合わせた。
 ひとつ残念だったのは、男に有利な供述を弁護士ではなく、裁判官が引き出した点だ。しかも、それを受けてなお、弁論は味気なかった。
 最近の刑事法廷では、金太郎あめのような意見、弁論が多い気がする。会社法、民事訴訟も大切だ。本気で争う時、情状を訴える時、刑事弁護の大変さは分からないではない。しかし、これら諸事情を考慮しても、人を守ることが少しおろそかになってはいないか。傍聴席は法曹界の仕事ぶりを注視している。捜査当局の意表を突き、心に響く弁論を聞きたい。
(共同通信社 池上 秀紀)

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