横浜弁護士会新聞

2008年12月号  −1− 目次

利用しやすい法律相談センターを目指して! 法律相談センターの現状と今後の対策
法律相談センター 運営委員会委員長 三浦 修
法律相談件数の現状
 法律相談件数が減少している。平成16年度から18年度までは増加が認められるが、19年度になって大きく減少した。横浜駅東口の相談を除き、その他はほとんど減少しており、特にクレサラ相談件数の落ち込みは著しい。20年度も減少傾向は続くと思われる。
 
件数減少の要因
 減少要因としては、競合する法律相談媒体の増加・提供サービス内容の問題・アクセス上の問題・広報不足が考えられる。
 競合する法律相談媒体として(1)法テラス(2)司法書士その他の士業(3)インターネット相談等がある。(1)は、平成18年10月の業務開始以来、全国組織として圧倒的な広報力を背景に相談業務を展開してきている。(2)は、特に司法書士を中心に法律相談業務とくにクレサラ相談業務を積極的に展開している。(3)に至っては、弁護士と面談して相談する必要性を低減せしめている。いずれも弁護士会の相談件数減少の大きな要因と考えられる。
 提供サービス内容の問題として(1)専門相談の需要に応えられていないこと(2)料金設定につき割高感があること等がある。
 アクセス上の問題として、相談申込みは電話予約だけで、受付時間帯も、日中に働いている市民の要望に応えにくい時間設定になっていたことがある。
 
法律相談件数の推移
年度 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年
相談件数 16102 18212 17199 18973 19710 17941
(内クレサラ相談) 3255 4222 4014 5415 6675 6042
受任件数 3964 4478 3415 4006 4725 4533
(内クレサラ受任件数) 1551 2007 1745 2145 2875 3009
 
今年度に行った対策
 法テラスとの連携を強化し、法テラスの資力基準を充たさないことが相談予約の段階で判明した場合は、弁護士会の民事当番弁護士制度や無料のクレサラ相談に回付し、相談や審査段階で判明した場合には、相談担当弁護士による私選受任を前提として法律相談センター扱い事件とする仕組みを構築した。
 また来年度より、相談料金を45分7500円(消費税別)から30分5000円(消費税を含む)に改正することとした。
 さらに予約の受付時間を午前9時30分から午後5時までとし、昼の12時から1時の間も受け付けることとした。
 
今後の対策
(1)法テラスの資力基準を満たさない市民の相談をもれなくカバーするために、法テラスが法律相談センターの予約まで取り次ぐシステムを構築する。
(2)医療・交通事故等市民からの要望の多い専門分野につき、当該案件を比較的多く取り扱っている弁護士をアンケートで募集し、相談枠を別途設置することで従来よりも専門性に配慮した相談を行う。
(3)弁護士会のホームページを使った広報・相談予約・インターネット相談につき、IT委員会・業務改革委員会と連携して協議を開始し、一部について改訂を行った。
(4)弁護士会の法律相談を利用する端緒として、「自治体からの紹介」が多いことから、自治体をパンフレットの重点配布先とするとともに、積極的に訪問して法律相談センターへの相談事業を説明し、さらなる協力を要請する。
 
 当委員会としては、これらの各対策の実現を通じて、今後とも法律相談件数の減少問題に対応していきたい。

司法アクセスへの要望相次ぐ 市町村議会議員との懇談会
懇談会の目的
 当会は、平成13年7月に神奈川司法計画を作成し、14年1月に「神奈川の司法10の提案」として目標を設定し、その結びで「地方から始める司法改革運動こそ国を動かす力になると思います。私達は神奈川県全域に責任を持つ弁護士会として『10の提案』を県内各地で普及するとともにその実現を目指す運動を県内全域で展開していきたいと思います。」と述べた。当会はその決意を具体化してきた。
 14年夏に県下1000名の市町村議会議員に詳細なアンケートを実施し、200名を超える議員から回答が寄せられた。市民に身近で利用しやすい司法を築くための共通の目標作りを目指して、市民の代表である市町村議会議員との意見交換会を始めた。
 
今日まで12市町の議員と意見交換
 17年9月の相模原を皮切りに、川崎、横浜、横須賀、小田原と本庁・支部のある市の市会議員との意見交換を行ない、19年8月からは、藤沢、厚木、鎌倉、平塚と簡裁の所在する市の議員との意見交換を行ない、20年9月の山北町から裁判所のない市町村の議員との意見交換に入り、10月7日の三浦市、10月8日の松田町まで12の市町で行なってきた。
 横浜市を除いて、どの議会でも正副議長とすべての会派の議員の出席があり、松田町では14名全員の出席があり、関心の高さが示された。
 
費用への不安など様々な意見
 独立簡裁の所在する市では、自己破産、家事関係の申立書すら置いていない簡裁の使い勝手の悪さに批判が集中した。どこでも家事事件の増加が顕著で家裁の出張所設置には賛同の声が強く出された。
 最近では、裁判員制度の詳細についての質問や裁判員制度に明確に反対の意見を表明する議員が目立ってきた。また、どこでも、弁護士に頼むとどれぐらいお金がかかるのか分からなくて不安がある、問題に的確に対応できる弁護士との接点が持てるのかなどの意見が出され、弁護士へのアクセスに、依然として高い障害があることが明らかになった。
(地域司法計画委員会副委員長 畑谷 嘉宏)

山ゆり
 裁判所が裁判員制度に向けてテレビCMを放送した。制作費等はなんと4億3000万円。国家プロジェクトの推進力は、かくも凄まじいものかと驚かされる
NHKでも裁判官を主人公にしたドラマを放映中で、必ず裁判員制度の話がでてくる場面が用意されている。新聞紙上でも裁判員制度に関する記事を多く目にする
そのような効果もあって、私も周囲の人から裁判員制度についての質問を受けることが多くなった。マスメディアの市民に対する影響力というのは絶大である
先日、ゴルフ中継を見ていたら、債務整理を専門とする東京の大手事務所のテレビCMが流れて驚いた。平成12年に法律事務所の宣伝広告が解禁されたが、弁護士人口の大増員を受け、経営戦略としてテレビCMが当たり前という時代が到来するのだろうか
弁護士職務基本規程には「弁護士は品位を損なう広告又は宣伝をしてはならない」とある。あまりに過剰な宣伝効果を狙った内容の宣伝広告は許されないということだろう
将来、法律事務所の宣伝広告競争が激化したとして、どのような内容のCMは「品位を損なう」とされるのか、その線引きはなかなかの難問である。
(常磐 重雄)

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