横浜弁護士会新聞

2009年6月号  −3− 目次

アジア、世界の平和に貢献 上海市律師協会と友好協定を調印
 当会と上海市律師協会の友好協定が4月28日に正式に調印された。当日は劉正東会長はじめ上海市律師協会の弁護士7名が当会を訪問し、岡部光平会長らが出迎えをた。一行は横浜地方裁判所、横浜地方検察庁を表敬訪問したあと、弁護士会館ではテレビ会議システムを使って支部からの歓迎の挨拶を受けた。
 その後ホテルニューグランドで谷口隆良国際交流委員会委員長の司会のもと両会長が協定書に署名して、厳粛なうちにも和やかな雰囲気の中で末永い交流を誓い合った。
 引き続き同ホテル2階のレインボーボールルームで催された記念祝賀会には横浜市、横浜商工会議所、横浜企業経営支援財団、日中発展協会、日中法律家交流協会、神奈川県、県下法科大学院などから20名の来賓を迎え、参加した約100名の会員と共に友好協定締結を祝った。祝賀会ではこの協定が情報や意見の交換、相互訪問、共同研修活動の実施を柱にしていることが紹介され、来年の上海万博には当会から上海を訪問することや今後具体的なテーマを設定したセミナーを開催することなどが会場の話題に上った。
 来賓を代表して横浜地方検察庁の井内顯策検事正の挨拶のあと武井共夫前会長の乾杯の発声で祝宴が始まり、早稲田大学ハイソサエティーオーケストラによるジャズ演奏や横浜山手中華学院OBの獅子舞などもあってお祝いムードが盛り上がった。
 祝宴後半には中田宏横浜市長も駆けつけ、今後当会会員が日中間交渉の法的アドバイザーの役割を果たすことへの熱い期待が述べられた。このような期待に応えて会員が積極的に日中法律問題に取り組むことによって、アジア、世界の平和に貢献していくことが協定締結の最終目標と言えるであろう。
国際交流委員会 副委員長(中国担当) 橋本 吉行


新こちら記者クラブ 横浜事件と妻の一言
 「なぁ、裁判員制度って何?」
 横浜事件の免訴判決が出て、しばらく経ったある日、突然妻にこう聞かれた。普段からおよそ新聞も読まず、ニュースも見ない妻だが、どこかで聞きつけてきたのだろう。これをきっかけに夫の仕事にも興味をもってもらうべく、一通り説明をしたら一応理解はしたようだった。
 「なんとなくわかった。でもどっちにしろ人が人を裁くんだから常に正しいとは限らないよねぇ」
 そう言い残して妻は家事に戻っていった。実は横浜事件のこともあって、この妻の言葉に少し考えさせられたのである。
 確かに完全無欠ということは人間である限りありえないことだ。司法においても同様で、行政であれ、立法であれまた同じである。だからこそ民主主義の仕組みの前提は、「統治権力は間違う」という認識なのだ。
 とすれば、デュー・プロセス・オブ・ローで手続きを縛るのと同時に、統治権力が誤ったときに、率直に過ちを認めることや、どのような救済措置がなされるか、という事が重要なのではないだろうか。
 横浜事件は公判で被告らの名誉回復がなされることはついになかった。法理ではそうなって仕方のないことなのかもしれない。無罪は不可能なのかもしれない。けれども当時の裁判が誤っていたことをきちんと公式に認定することは、かえって司法に対する信頼を増しただろうし、それはおそらく正義の達成にもなったのではないだろうか。
 司法も間違える時がある。司法はその時どのように対処するのかが、きっと民主主義にとって重要なのだ。横浜事件と妻の一言に、そう考えさせられた。
(日本テレビ 有田 和生)


常議員会のいま 緊張の中にも和やかな議論
42期 会員 田中 徹男
 常議員会は第1回に議長・副議長の選出をし、4月22日の第2回から実質的な会議が始まった。
 この日は、来る通常総会に提出する議案承認の件に、時間をかけていた。都市型公設事務所の開設や、共済廃止に伴う処置が昨年度の臨時総会で決まったことなどを受けて、予算決算の上でいろいろな変更があったことが、理事者から報告された。久しぶりに常議員会に参加した私は、億単位の金額をみて、なんだか溜息が出る思いであった。
 議論を聴いていて感じたのは、新理事者のここまでの準備である。膨大な会の運営事項と予算編成における慣行や事情を、就任からの短い期間で、理解するだけでなく、答弁するところまで準備するのは、さぞ大変だったことと思う。常議員の質問には、そうした理事者の苦労に対する思いやりが込められていたと感じた。
 岡部会長が第1回常議員会の冒頭に、「緊張の中にも和やかな議論を」と挨拶していたが、まさにそんな出だしの今年の常議員会であった。


理事者室だより(12) 自己暗示でストレス解消
副会長 小沢 靖志
 4月1日より、副会長に就任し、執務中であるが、多彩な会務の波に圧倒され続けている。
 多くの先輩方から「理事者はやりがいがあるがハードな仕事でもある」と聞いてきた。そこで、ストレスに弱い私が就任にあたって心がけたことは、今までストレスと思っていたことをストレスと感じない心構え作りである。
 総会や常議員会では、長時間の議論の中で考えたこともないような素晴らしい意見を聞けて幸せだ、毎日3本の列車を乗り継ぎ弁護士会に通い、車内で好きな小説を読めて幸せだ、旅行でもないのに観光都市横浜を毎日散策することが出来て幸せだ(横浜スタジアムもこんなに近い)、法律事務所職員は私が留守がちのため、1を聞いて10を理解するようになり、能力が向上して幸せだ等々。そう心がけて就任から約1か月間過ごしてみると、本心からそのように思い始めている自分に気づく。
 自分がこんなに自己暗示にかかりやすい人間だったとは!
 とすれば、これを応用して、難しい依頼は私に試練を与えてくれ、私を成長させてくれるきっかけだ、厳しく準備書面提出の期限を設定する裁判官は私の起案スピードを高めてくれる恩人だ、収入が少ない時期は、節約能力を高めればいいのだ等々。
 このような自己暗示を加えれば、来年の今頃、私にはストレスはなくなり、私は人格・識見ともに優れたすばらしい弁護士になっている、かもしれない…。

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