横浜弁護士会新聞

2010年6月号  −2− 目次

私の独立した頃(113) 会員 木村 良二
「独立の花道を飾る無罪判決」
 いささか面映ゆいが、1983年(昭和58年)4月10日付の神奈川新聞「ひと」欄に掲載された記事の見出しである。同年3月末、横浜地裁第4刑事部6係で、業務上過失致死被告事件について無罪判決を得た。事件は、鎌倉市の下水管理設工事のための掘削工事中、岩盤が崩れ作業員が生き埋めになったというもので、責任者である親方が刑責を問われた。当該現場における岩盤崩落の予見可能性の有無が中心争点であった。
 土木工学や地質学上の根拠を求め、つてを頼りに大学の研究室や建設省(当時)など訪問、最終的には刑弁教官だった故西田公一先生(元二弁会長)の紹介で筑波にある農林省(当時)の農業土木研究所の技官に現地見分やアドバイスをしてもらい、方針を決定。鑑定を依頼したのは、同期の友人の勤務先事務所の顧問会社である掘削会社の常務(さる大学の講師も務める理学博士)であり、これで勝負が決したように思う。
 1980年(昭和55年)4月に川原井事務所に入所して最初に与えられた事件であり、丸3年、30回近い公判回数を重ねた事件である。最初の数か月は兄弁の堀江永さん(26期)と一緒に担当したが、川原井先生には、堀江さん独立後も採算度外視で好きなようにやらせてもらった。様々な分野の多くの人と出会い、貴重な体験をしたと思う。
 私は、故日下部長作先生の下で弁護修習中に川原井先生を紹介された。弁護士会旅行の水上温泉だったと思う。初対面だったが、高校の先輩だということがわかり、イソ弁にしていただくことにした。その時は、既に同期の石黒康仁さんが内定しており、同期二人採用ということだった。入所後は、スポットの事件の割当の外、顧問会社での割当も行われた。私には住宅メーカーとか不動産会社、石黒さんには損保会社、土建会社などが多かったように思う。15期のボス、26期の兄弁、32期の新人二人というのは、とてもいい組み合わせであり、人間関係も良好で、気持ちよく仕事をさせてもらった。
 川原井事務所にいた3年間で、文献調査から現地調査の方法、メモの取り方から手紙の書き方、争点把握のポイントや説得の技術、チンピラ撃退法など実に多種多様な指導をしていただいた。料亭で度々ごちそうになり、魚の食べ方や旨さを教わって、すっかり和食党になった。
 私は、最初の2年で仕事を覚え、3年目は事務所に恩返しをして独立、そんなつもりで3年目の途中で独立を宣言した。折良く佐藤嘉記さん(35期)が内定し、無事3年で独立できた。経済的な見通しなど立たないままの独立だったが、横須賀に家を建て、冒頭の判決をもらって晴れやかな出発となった。
 私の弁護士人生の骨格を作ってくれたこの3年間に心から感謝している。

修習生若手会員で大盛況 刑事弁護夜間講義
 司法修習委員会は、4月から第63期の司法修習生を主たる対象として全4回の刑事弁護夜間講義を実施している。
 新司法修習となって実務修習の期間が各2か月に短縮され、特に刑事弁護の修習の機会が減少している。それを補うため日弁連や研修所の刑事弁護教官室が教材を作成し、各単位会に配布している。しかし弁護修習中にこれ以上集合修習を増やすことも困難であることから、今回の講義は時間外の夜間講義という形で実施することとしたものである。
 内容は「被疑者弁護」(第1回)、「準抗告」(第2回)、「保釈」(第3回)、「証拠開示請求」(第4回、予定)で、公判前の弁護活動で特に重要となる点を中心に構成している。いずれも現在の修習では手薄になりがちな部分でありながら、実務に出てすぐに対応することを要求される領域である。修習を終えて間もない若手会員の研修としても有用であると考えられることから、本講義は修習61・62期の若手会員向け研修も兼ねるものとした。
 第1回は4月6日、第2回は4月28日に行われ、それぞれ50名前後の修習生と約20名の若手会員が出席し、予想以上に盛況であった。今後は、6月4日に第3回が、6月28日に第4回が予定されている。なお、刑事弁護に関する修習としては、この夜間講義のほか、選択型修習で、より発展的な内容を含む「刑事弁護」のプログラム(定員25名)が提供される予定である。
(会員 妹尾 孝之)

遺言110番 昨年を上回る89件の相談
 4月15日、毎年恒例の「遺言・相続無料法律相談」が、高齢者・障害者の権利に関する委員会により行われた。
 当日、相談用の5台の電話は、開始直後からほとんど鳴り止まず、相談担当の12名の会員は、休む間もなく次々とかかってくる相談の対応に追われていた。結局、この日1日で受けた相談件数は、合計89件に達し、昨年11月13日に実施した遺言110番の61件を大きく上回った。この場を借りて、関係された会員、事務局に御礼を申し上げたい。
 ちなみに、相談内訳は、遺言に関する相談が32件、相続に関する相談が51件であった。この法律相談会は、事前広報として、行政や相談機関等にチラシを配布したのみであったが、それでも前述の様に多数の相談が寄せられた。このことからしても、遺言相続分野についての市民からの高い関心に、今後、弁護士会がどのように答えていくのか、検討材料を与えてくれた相談会でもあった。
(会員 内嶋 順一)

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