横浜弁護士会新聞

2011年5月号  −1− 目次 

小島周一新会長に聞く 自分の仕事を照れずに語り合える会作りを!
〜会長ご就任おめでとうございます。現在の心境をお聞かせください。
 大学までサッカーをしていましたが、それに例えるとウォーミングアップをする間もなく、いきなり試合が始まってしまったという感じです。
〜今年度の執行部はどのようなことに取り組もうとお考えですか。
 第一は、大震災の問題です。県内にも被災者の方が避難して来ています。被災者支援の体制も含め、弁護士会としてきちんと立ち向かっていくことをまず意識しなければならないと思っています。
 先送りするわけにはいけない問題として、会館のリニューアルの問題もあります。今年度中に基本的な方向性は決めなければと考えています。会員が急増し、それに伴い弁護士会の業務も職員数も増えています。しかし、スペースは一杯です。事務所も裁判所周辺だけでなく、各地域に密着した形の事務所が増えています。そういった会員にも使いやすい機能をどう盛り込んでいくかということも含めて、会の機能をきちんと果たせるよう取り組んでいくつもりです。
 給費制維持や法曹養成、司法試験の在りようについては、神奈川だけの問題ではないので日弁連と連携しながらやっていかなければいけないし、やっていくべきことです。給費制は、法律家の育成は、単に法曹の世界だけの話ではなく、法律家は世の中に本当に必要だ、それを国として育てていくんだというコンセンサスをどれだけ得られるかにかかっています。そういった意味でも震災の問題を含め法律家に何ができるのか、ということを改めて考えていくことが必要です。
〜例年より副会長が決まるまでに時間がかかりましたし、就任直前に震災も起きました。準備や引き継ぎは大変だったのではないですか。
 副会長の立候補の問題は、副会長がどれだけ大変かということが、生々しい実感として語られ過ぎている面もあります。そういった大変なことをある意味ボランティア精神で背負ってくれる人に、会としてどうバックアップするかを考えるべきです。
 昔のように同期の中で、弁護士会で誰が何をしているか見えたときは、彼も頑張っているから自分もやるしかないという暗黙の雰囲気を分かち合えていました。今は、あいつも頑張っているから自分もという繋がりの中で考えるのでなく、個人の決断の問題になってしまっています。そうなると決断には勇気がいります。立候補の手順も含めて、今までどおりのやり方が本当に機能しているのか考えるべき時期に来ていると思います。
〜将来の弁護士・弁護士会像についてお聞かせください。
 弁護士、弁護士会に対するイメージは人それぞれだと思いますが、僕自身としては、やっぱり人の役に立ちたいということがまずベースにあって、法律家という道を志したのだと思うし、そうあって欲しいです。
 社会の中で様々なトラブルが起きてしまう、それをなんとか解決したいと相談にみえられる方がいます。その人が陥った紛争を解決したい、その人がよかったと思うような解決になんとか導きたい、という思いでやることの積み重ねが、弁護士への信頼を高めるのだと思います。判例的に厳しいとか、訴額の大小というのはトラブルに陥った人には関係ありません。一緒に考えて解決しようという姿勢を相談にみえた方が感じ取れば、最初に来た時よりも明るい顔で帰っていただけます。そういうことを皆がイメージして活動していけば、本当に大事な仕事なんだと思っていただけるようになるのではないでしょうか。
 会については、自分の仕事のことを生き生きとお互いが照れずに語り合える、そういう会であって欲しいです。人の役に立ちたいという想いはそれぞれ持っていると思いますが、それをどういう風に行動として、仕事の中で表して行くのか、それが表しやすい環境をどうやって弁護士会という組織で提供できるのかを考えていきたいです。
〜最後に会員に対して一言お願いします。
 それぞれのポジションで、それぞれが何かもう一歩やろうという想いを皆さんが持ってくれると、それが全体として凄く大きなエネルギーを生むと思います。自分に何ができるのかということを皆が考えられる、そんな会になれたら素晴らしいなと思います。
 是非ご協力をお願いしたいと思います。
(インタビュー 会員 池本 康次)

平成23年度新理事者就任激励会― オール神奈川の弁護士会活動を心がけて
 4月1日、ホテルニューグランド3階ペリー来航の間において、平成23年度当会新理事者就任激励会が開催された。今年度は、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれによる東日本大震災に鑑み、来賓をお招きしての就任披露懇親会ではなく、当会会員のみで新理事者を激励し旧理事者を慰労する内輪の懇親会としての就任激励会開催となった。
 開会に先立ち、東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするため1分間の黙祷が行われた。
 開会後、昨年度の理事者が紹介され、登壇した旧理事者を代表して水地啓子前会長から退任の挨拶がなされた。水地前会長は、1年間の活動を振り返った後、年度末の東日本大震災に対する初期対応についての報告をした。最後に、各前副会長からの退任の挨拶に代わって水地前会長から各前副会長のそれぞれの活動の様子が紹介された。
 引き続き今年度の理事者が紹介されて登壇し、就任の挨拶がなされた。小島周一新会長は、1214名の会員を擁する全国6番目の大規模単位会にふさわしい体制、活動の在り方を念頭におきつつ、オール神奈川の弁護士会活動を心がけるとの基本姿勢を表明した。
 続いて、小島新会長は、3月24日に小島新会長を座長として発足した東日本大震災に対する災害対策チームのこれまでの活動を報告し、また今後の活動方針を示した後、これらの活動が、当会事務局の献身的な働きに支えられていることに触れ、その労をねぎらった。
 次に、小島新会長は、当会の取り組むべき課題を列挙し、広範、多岐にわたる課題に取り組むための支持、協力を呼びかけた。新会長に続いて、各新副会長が、それぞれ現在の心境、副会長就任にあたっての抱負等を述べた。
 その後、高橋理一郎前日本弁護士連合会副会長の音頭で乾杯し、懇親に移った。歓談中、水地前会長及び小島新会長に縁のある井上嘉久会員、岡田尚会員、須須木永一会員から慰労、激励の言葉が述べられ、仁平信哉会員が中締めの挨拶をして懇親会はお開きとなった。
 最後は新理事者全員が出席者を見送り、例年にも増して盛況のうちに新理事者就任激励会は幕を閉じた。

山ゆり
 その日は午後3時に事務所の新しいホームページ用の写真撮影が予定されていたから珍しく弁護士が全員そろっていた。僕は仕事のメールをチェックしていた。このときの送信履歴をみると14時46分に発信となっている
そのとき地震が来た。最初はいつものヤツかなと思ったが、やけに長く、しかもだんだん強くなる。これはただ事ではないと思うと同時に机の下に飛び込む。ものすごい揺れにテレビで見たニュージーランドの建物倒壊がよみがえり、心臓がばくばくする。大きな余震もすぐに来た。ブラインドの隙間から見える横浜公園には続々と人が集まっている。事務所は写真撮影どころではなくなり、本棚も倒れ会議室のテーブルも壊れてしまった
もちろん僕らの被害などその後東北や茨城を襲った悲劇には比ぶべくもない。彼らは津波(天災)に愛する家族や家を根こそぎ奪われ、今も原発事故(人災)の脅威にさらされ続けているのだ柏餅
しかし、本当の悲劇はこれからかもしれない。福島の被災者が病院の治療さえ拒絶される差別を受けているときく。情けない。また過剰な自粛は多くの中小企業を倒産の危機にさらしている。法律家の出番だが人の心の問題でもある。僕らの心の中には善も悪もある。最後には善が勝つと信じたい。
(岩田 武司)

前のページへ 次のページへ

<<横浜弁護士会新聞メニューへ