横浜弁護士会新聞

2011年5月号  −2− 目次

日弁連副会長退任挨拶 激動かつ多事多端な1年間を振り返って
会員 高橋 理一郎
 3月11日東日本を襲った未曾有の大地震そして大津波による爪痕は深く、その惨状には胸がつぶれる思いでした。被災者及び関係者の方々には心から御見舞いを申し上げます。この原稿を書いている今も余震が続き、関係者の決死の覚悟での活動にもかかわらず、未だ福島原発への不安は解消されていません。
 こうした混乱の中で、日弁連では、いち早く「災害対策本部」を立ち上げ、被災地住民に対する支援活動を開始しました。また、私が担当する日弁連中小企業法律支援センターでも、全国の弁護士会の協力を得て、この災害によって広範かつ多大な経済的影響の出ることが予測される小規模・零細企業に対する支援活動に取組むための緊急態勢を整えるとともに、関係機関等に対し、救済のための特別措置の要請等を行いました。
 このように無事とはいかない中で、やっと私もその任務を終えることができました。この1年間本当に有難うございました。会員の先生方には、どんなに励まされたかわかりません。そのご支援に対し、心から御礼申し上げます。
 思えば、この1年間は、日弁連会長選挙の再投票という異例の事態からはじまり、修習生の給費制維持活動、そして法曹人口政策会議での中間答申の取りまとめ、法曹養成の在り方に対する取組など、これまでとは異なった司法改革への問い直し作業が足早に行われました。
 また、当会会員に対する痛ましい事件を含む相次いでの業務妨害事件、そして前代未聞の検察官の不祥事、さらには、自然災害(宮崎県での口蹄疫や噴火そして東日本大震災)など、まさに激動と波乱の一年であったといってよいのではないかと思っています。
 日弁連で担当した会務については、いずれもこれまで委員長等を経験してきたこともあって、のびのびとそして楽しく仕事をさせて頂きました。もっとも限られた期間での活動ですので、当然やり残したことが沢山ありますが、今はやるだけのことはやったという満ち足りた気持ちでいます。
 また、副会長の誰もが熱心に会務に取組み、単位会の会長を兼務している副会長以外は、いずれも常駐態勢で朝早くから夜遅くまで仕事をしていました。その姿には敬服し、かつ相互に信頼を深め、気持ちよく活動することができました。
 さらには、当会の昨年度の水地執行部には、 あらゆる課題について当会と連携のとれる環境を整えて頂いたことから、当会のとるべき行動等について責任ある発言をすることができましたし、弁政連神奈川支部の迅速かつ力強いバックアップには、何度も助けられました。
 最後に、東京では眼前に東京タワーの全貌を眺めながら生活していました。裾広がりの曲線美が、ライトアップで夜空に映し出される姿は、なんともいえませんし、曜日・季節によって変わる色調にはいつも魅せられ、そして疲れを忘れさせてもらいました。しかし、このタワーの灯を見ることができなくなってしまいました。そして、東京を去ることになったのがなんとも心残りです。
 あの明るい輝きが戻り、そして震災の復興が1日も早く成ることを願い、そのための役割を少しでも果たせたらと思っています。

常議員会 正・副議長就任挨拶
心を一つにできる会議を
議長 仁平 信哉
 本年度常議員会議長に選任されました。修習期は38期です。
 本年度はこれまでの年度と大きく異なったことがあります。それは、3月11日、東日本を広汎に襲った大震災です。
 大きな津波に逃げることすらできず、飲み込まれていく瞬間。跡に残る一面の瓦礫。おびただしい数の遺体。
 現地で必要とする水や毛布も届けることもできず、弁護士として直接支援することのできないもどかしさ。今年度の弁護士会の始まりは、このようなものでした。
 当会の会員数は1200名を超え、多くの地域に法律事務所が開設されていますが、市民のためになる法曹を目指して行われてきた司法改革も、未だ市民の中に弁護士会の主張を十分に理解して頂けるまでには整っていません。
 当会では、被災地から神奈川県内へ避難されている方々を対象に、若手弁護士を中心とした訪問相談を行っていると聞いています。今こそ心を一つにして、弁護士としてできることを地道に実行していくしかありません。
 常議員会は、当会会員の常置の会議体であり、総会を除けば唯一弁護士会の意思を形成できる場です。ベテランも若手も問わず、この常議員会で出席された会員の意思を通して、心を一つにできる会議にしていきたいと思います。

大変な時期こそやりがいもある
副議長 小倉 孝之
 42期です。私は横浜で実務修習をし、平成2年4月、東京弁護士会に初年度登録し、平成4年4月に当会へ登録変更しました。当会の常議員は、登録変更した数年後に1回目を経験し、今回は2回目です。
 3月11日、1000年に一度とも言われる大震災と未曾有の原発事故が発生しました。原発事故の収拾についてはまだ確かな見通しすらもたたない状況です。今後、当会でもこの前代未聞の大震災の関連での様々な問題が発生してくることが予想されます。このような状況のもと、ただでさえ、司法改革によって、ここ数年間で当会の会員も大幅に増え、処理しなければならない様々な問題が山積していると聞いています。
 私は、弁護士会との関係では、特定の委員会での活動はそれなりにやってきた自負はありますが、理事者経験もなく、当会の運営についてはこれまで関心が高い方ではありませんでした。そんな私が、この度、縁あって常議員会の副議長に就任することとなりましたが、正直なところ、このような大変な時期に副議長という職責をきちんと果たせるのか不安がなくはありません。
 しかし、気持ちを切り替えて、このような大変な時期だからこそ、やりがいもあると自らを鼓舞し、最後までまじめに務めていきたいと思っております。至らない点が多々あろうかと思いますが、1年間よろしくお願い申し上げます。

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