2026年05月01日更新
本日、私たちは、日本国憲法施行から79回目の憲法記念日を迎えました。
私たちの憲法は、近代立憲主義の考え方を基礎としています。立憲主義とは、私たち国民の権利・自由を守ることを目的とし、権力に対して歯止めをかけることを根幹とする考え方です。長い歴史の中で人類の叡智を積み重ねて築き上げられたもので、近代国家における人類普遍の基本的な理念となっています。
日本国憲法の三大原則である国民主権、基本的人権の保障、恒久平和主義に加え、個人の尊重と幸福追求権(13条)、法の支配、権力分立、憲法の最高法規性(98条)、違憲立法審査権(81条)、国務大臣・国会議員等公務員の憲法尊重擁護義務(99条)等の定めは、立憲主義の重要な根幹をなすものです。
この憲法が定める立憲主義の理念のもと、弁護士は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士の使命(弁護士法1条)を実現すべく、裁判を通じた個別の権利救済はもちろんのこと、法律制度の改善、弁護士会としての意見発信、シンポジウム等のイベント開催、関係各所との意見交換や要請活動等を通じて、日々、様々な社会課題に取り組んでいます。
たとえば、再審法(誤った判決により有罪の確定判決を受けた冤罪被害者を救済する法制度)を適切な内容に改正するための活動や、選択的夫婦別姓制度(婚姻をする際、改姓するかどうかを当事者が自ら決定することができる選択の自由を認める制度)の導入を求める活動については、皆様もニュース等で目にしたことがあると思います。神奈川県弁護士会は、苦しんでいる人々の思いに寄り添い、誰もが尊厳を持って生きられる社会の実現を目指し、今後もより一層精力的に取り組んでまいります。
また、国外に目を向けると、今の世界情勢は、私たちの憲法の基本理念、とりわけ、「恒久平和主義」の理念に反する状況があふれています。現在もなお、世界各地で戦争や武力衝突は絶えず、死傷者は増え続け、今なお平和に向けた終局的解決への道筋は見えてきません。
軍事攻撃の応酬が続く混沌とした世界情勢のなかで、「恒久平和主義」と「立憲主義」を掲げる日本の存在は重要です。戦争が終結しただけでは平和は訪れません。その地に立憲主義に基づく法の支配と個人の尊重が確立されて初めて平和は訪れます。今こそ、私たちは、この基本理念に立ち返らなければなりません。
神奈川県弁護士会は、この「恒久平和主義」、「立憲主義」の理念のもと、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する」(憲法前文)ことのできる国際社会の実現のために、日本が外交努力を通じて責任ある役割を果たすよう強く期待するとともに、私たちも、基本的人権が守られる平和な社会を築くため、全力で取り組む決意です。
79回目の憲法記念日を迎えるにあたり、多くの皆様が、日本国憲法の基本理念である「恒久平和主義」、「立憲主義」について、あらためて考える機会としていただければと思います。
2026年5月3日
神奈川県弁護士会
会長 三浦 修
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