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会長声明・決議・意見書(2026年度)

殺傷・破壊能力を有する武器を含めて武器輸出を原則解禁した防衛装備移転三原則及び運用指針の改定に反対し、憲法の平和主義及び立憲主義の理念を遵守するよう求める会長声明

2026年05月29日更新

政府は、本年4月21日、防衛装備移転三原則及びその運用指針について、閣議決定及び国家安全保障会議決定により、殺傷・破壊能力を有する武器をも含めて、武器輸出を原則として可能とする改定を行いました。

これは、日本が生産した武器で国際紛争を助長せず、他国の人々を殺傷しないという、憲法の平和主義の理念に基づいた武器輸出禁止原則を完全に放棄し、日本の平和国家としての在り方を大きく変えてしまうものにほかなりません。

この改定の要点は、次のとおりです。

① 武器の完成品の輸出は、これまで、基本的に、殺傷・破壊を目的としない救難、輸送、警戒、監視及び掃海の「5類型」に限定されていたところ、その限定を撤廃し、殺傷・破壊能力のある武器を含む完成品の輸出を原則として可能とする。

② 殺傷・破壊能力を有する武器の完成品の輸出先については、原則として、武器の使用を国連憲章の目的と原則に適合する方法で使用することを義務付ける国際約束(防衛装備移転協定)の締結国に限定するが、それ以外の制約は設けない。

③ 殺傷・破壊能力を有する武器の完成品の輸出は、原則として、「武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国」に対しては認めないが、「我が国の安全保障上の必要性を考慮して特段の事情がある場合」には可能とする。

④ 殺傷・破壊能力を有する武器の個別の輸出は、国家安全保障会議で決定し、公表した後で、国会に通知する。


目下、世界各地で戦争や軍事的紛争が多発し、多くの死傷者が発生する世界情勢において、平和が脅かされる不安が深刻化しています。日本が、殺傷・破壊能力を有する武器をも含めて武器の輸出を原則解禁するというこの度の防衛装備移転三原則及びその運用指針の改定は、それ自体が周辺諸国との間に無用の緊張を高めるだけでなく、日本が製造した武器が海外で軍事攻撃に使用されることにより、軍事的紛争を助長し、戦火を拡大し、多くの人命を奪うことにつながることを意味する一方で、必ずしも戦争の抑止につながるものではありません。

日本は、過去の悲惨な戦争への反省をふまえ、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、恒久平和主義を標榜し(憲法前文及び9条)、長年、平和国家として歩んできました。平和は、一般市民の生命、自由、基本的人権が保障され、安全に暮らすことのできる大前提であり、私たち国民の権利や自由を守るために、憲法は、権力に歯止めをかけることを根幹とする立憲主義、法の支配の考え方を採用しています。

2014年の防衛装備移転三原則は、従前の武器輸出三原則等に代わるものとして武器輸出禁止の原則を変容させ、武器輸出への途を拡大するものでしたが、その運用指針において国産武器の完成品の輸出は人の殺傷や攻撃を目的としない上記「5類型」の場合に限定され、かろうじて歯止めがかけられていました。これは、まさに、憲法前文及び9条の理念に基づく歯止めであったといえます。しかし、この度の上記運用指針の改定は、この歯止めをなくして、殺傷・破壊能力を有する武器の輸出を原則として認めたものであり、憲法前文及び9条の理念に反するものといわざるをえません。

また、国民的議論もなく、国会の議論を経ることすらもなく、政府の決定だけで、このような憲法が定める平和主義の根幹にかかわる政策の大転換を行うことは、立憲主義、法の支配及び民主主義にも違背するものであって、当会として看過することができません。

よって、当会は、本年4月21日付けの防衛装備移転三原則及びその運用指針の改定に反対するとともに、政府に対し、憲法の平和主義及び立憲主義の理念を遵守するよう求めます。

2026年5月28日

神奈川県弁護士会

会長 三浦  修

 
 
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