横浜弁護士会新聞

2006年8月号  −1− 目次

 
「法テラス」はどうなる?
 副会長 大谷 豊 
 10月2日から、日本司法支援センター(法テラス)が事業を開始する。法テラスと刑事国選との関係等については以前から議論され、その準備もかなり進んでいるので、今回は、法テラスの業務開始に伴って民事扶助等がどうなるか紹介する。
民事扶助関係について
1 制度の概要
 法律扶助協会が行っている事業のうち、本来事業((1)代理援助(2)書類作成援助(3)法律相談援助)はそのまま法テラスが行うことになる(総合法律支援法30条1項2号)。そこで、これらの担当を希望する弁護士は、法テラスと契約を締結することになる。
2 契約の締結
(1) 契約の種類は、(1)法律相談用のセンター相談登録契約(業務方法書19条1項)、事務所相談登録契約(同20条1項)、(2)代理援助用の受任予定者契約(同38条)、(3)書類作成用の受託予定者契約(同39条)である。
(2) 契約締結の方法については、業務方法書には、国選弁護の場合と異なり、契約の申し込みを弁護士会が取り纏める等の規程はない。しかし、民事扶助においても国選と同じ方式が望ましいと思われる。当会では、センター相談登録弁護士、事務所相談弁護士、受任予定者、受託予定者の募集及び名簿の取り纏めを検討している。
3 扶助相談の対応
(1) 扶助相談の実施場所は、地方事務所、指定相談場所、登録弁護士の事務所、場合によっては被援助者の居所等になる(同18条)。
(2) 指定相談場所の指定基準は、(1)当該地域に地方事務所がないこと、(2)相当程度の相談需要が見込まれること、(3)関係団体等の協力により、無償または極めて低廉な費用で法律相談施設が確保され、かつ受付事務などへの協力が確保されることとされている(同5条)。当該地域に地方事務所がある場合であっても弁護士会が運営する法律相談センターについては、来訪者が受付等の段階で扶助相談適格者と判明した場合において、地方事務所における相談が迅速にできない場合、または来訪者の年齢や健康状態等の事情を勘案して、地方事務所に行って相談を受けさせることが不適当な状況にあるときなどに、当該来訪者に対する法律相談を法テラスの指定相談場所における相談として位置づけて実施することも検討されている。
(3) 当会が運営する相談センターを指定相談場所とすることは、扶助相談と銘打って相談が行えるというメリットがある。他方、相談担当者の費用、法律相談のシステムの見直し等の問題もあるが、当会としては、当会の運営している相談センター全部を指定相談場所として指定するよう要請すべく準備している。
法律相談体制の充実
1 地方事務所及びコールセンター(コールセンターの試行の結果、年間でコールセンターに来る相談件数を120万件と推計している)等から誘導される民事扶助対象外の市民の法律相談ニーズに応えるには、今の法律相談態勢では対応することが困難であることが予想される。
2 当会では、法律相談場所の増設、相談実施枠の増加、相談担当者の増員などに限らず、民事当番弁護士制度(担当弁護士が当番日に各自の事務所において待機して法律相談を受ける制度)、弁護士紹介制度(弁護士会・相談センターが弁護士を紹介し、相談者は紹介された弁護士と連絡を取り、適宜の日時場所で法律相談を受ける制度)、電話ガイド(市民からの電話による問い合わせに対して、5〜10分程度で弁護士が簡単な指導・助言を行うとともに、問題解決のための適切な相談機関等を紹介する制度)を新設するなど民事法律相談の抜本的な改革に取り組むべく検討している。
コールセンターについて
1 法テラスはコールセンターを東京に設置し、オペレーターによる全国の利用者に対する電話による情報提供を行うことになっている。コールセンターは全国民をサービスの対象とすることから負担等も全国均一とする必要があるとして、地域を問わず、3分間10円程度の負担で問い合わせをすることのできる0570を使うナビダイヤル電話を導入する予定である。電話番号については、一般相談用と犯罪被害者専用相談用にそれぞれなじみやすい番号が検討されている。
 コールセンターで、扶助要件外の相談者を各地弁護士会の法律相談センターへ誘導する場合、転送(弁護士会の業務時間内で回線が繋がる場合直接弁護士会に連絡する方法)と取り次ぎ(業務時間内でも回線が繋がらない場合と業務時間外の場合にファックス等で弁護士会に連絡する方法)の方法がある。
 関弁連内では、転送や取り次ぎを希望しない会もあるが、当会では、転送と取り次ぎの両方を行うことを検討している。
2 日弁連ではコールセンターオペレーターアドバイザー制度を設け、オペレーターがFAQ(よくある質問と答え)の選択を誤らないようにアドバイスするなどコールセンターにおける情報提供業務が適切に行われるようにオペレーターを指導する役割を果たす弁護士を派遣することにしている。
 当会では、既に日弁連からコールセンターオペレーターアドバイザーとしての弁護士派遣を要請されているので、そのための準備を進めている。

毎日執務することが大事
 6月5日に、パンパシフィックホテルで「茂日弁連副会長激励会」が開催された。
 68名の当会会員が出席し盛大な会となった。会の冒頭で当会木村会長から「会員は、よく大役を引き受けてくれた。会のために尽力してくれていることを大変感謝している。」との挨拶があった。
 続いて、茂会員から「突然、清水規廣元日弁連副会長などから日弁連副会長就任依頼があり、『絶対にできるからやって下さい』と言われ、清水会員らが嘘をつくことはないだろうと信じて就任することを引き受けた。
 しかし、就任前から大量の資料を読みこなし、一応の現在の日弁連の活動を理解するまでが大変だった。最初は横文字の意味を理解することなどに苦労したが、現在は何とか職務をこなせていると思う。清水会員らの言葉に嘘はなかったということを実感している。
 今は、週日は毎日日弁連に行って執務している。先輩達が築いたこの横浜の伝統を守るつもりでいる。
 ただ、これからは、横浜も日弁連副会長に就任する予定の候補者を早めに決めて、実際の執務開始時には十分な準備が出来ているようにしておくことが望ましい。」という挨拶があった。
 その後、会員が当会副会長時代の会長だった佐久間哲雄会員らから激励の挨拶があり、盛会のうちに散会となった。
 日弁連副会長という職がいかに激務であるかを感じるとともに、1年おきに当会から選出される役職だけに、日弁連副会長候補者は早めに決定しておかないと候補者となる会員には酷だと感じた会合であった。
(田中 隆三会員)

山ゆり
 区民の平均年齢は36歳。私の住む横浜市都筑区は、横浜市で最も平均年齢が若い区だという。赤ちゃん用品店や、子供と一緒に入れる飲食店が多く、週末は家族連れで街全体が混雑している
 一方で、我が国では、少子高齢化対策が叫ばれて久しい。2005年の日本の出生率は1・25だそうだ。このままでは、2100年には、日本の人口は半減するという試算もあるという。老人介護、医療費、年金制度など、少子高齢化に伴う問題は枚挙に暇がない
 妻の実家がある群馬県のとある町では、病院がお年寄りの憩いの場になっているようだ。某総合病院では、職員と患者との間でこんな会話が交わされているという「おばあちゃん、今日はどうされました?」「何ともないけど、この病院で、まだ整形外科だけは来たことがなかったんで、来てみたよ」「おじいちゃん、もう来ちゃったの?予約は午後1時だよ」「いいよ。みんなとしゃべって待っているのが楽しいんだから」
 果たして、我々弁護士業界にも同様の問題があるのか。今年は、法科大学院の卒業生のため、新司法試験も実施された。今後、大量に、若い弁護士が増えていくのであれば、年金制度もしばらく安泰か。日本弁護士国民年金基金加入者の一人としてふと、そんなことを考えた。
(三谷 淳)

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