横浜弁護士会新聞

2006年8月号  −3− 目次

常議員会のいま 「国選弁護人に対する支給額からの当会の負担金問題」
 會田 恒司会員
 常議員会では毎回白熱した議論が行われているが、7月13日の常議員会では当日及び次回の討議事項として提出された司法支援センター開設後の刑事弁護の運営に関して活発な議論が開始された。特に、議論の中心は国選弁護人に対する支給額から当会の負担金会費を継続すべきか否かについてであった。
 昨年までの負担金額は、国選及び私選紹介を合わせると約4000万円となり、当会の財源の一部をなしてきた。しかし、司法支援センター開設後は、当会の推薦人名簿から同センターが各弁護人を指名したうえ各弁護人に対し直接支給額が支払われるため再検討されることになったものである。
 この問題を考えるについては、(1)現在でも支部では負担金の徴収が行われていない点 (2)国選と私選紹介の場合を区別すべきか、などを考慮に入れる必要がある。
 廃止意見は、国選受任者は受任自体負担であるのに更に財政上の協力までさせられるのは公平ではないことを主たる理由とする。
 担当した弁護士の自己申告により負担金制度の維持は可能であるが、現在総合改革委員会で検討されている「公益活動を行わない会員に対する負担金徴収制度」の実現可能性を見極めたうえで慎重に結論を出すべきである。

こちら記者クラブ テレビニュースの舞台裏
 耳目を集めた事件の初公判や判決で「裁判所前から中継です」というニュースをご覧になったことはあるでしょう。その舞台裏を少しご紹介したいと思います。
 生中継を構えている時、最も気になるのは「予定通りに開廷したか」です。万が一、開廷が遅れると、予定した時間までに原稿が入るのか?ヒヤヒヤしながら、時にはニュースを変更させるといった判断をその場で下さなくてはなりません。
 開廷すると、アナウンサーがスタジオで読む「本記原稿」に内容を次々に書き込んでいきます。同時並行で、被告人や傍聴席での様子など自分が法廷で見てきたこと、記者が取材で感じたこと、そして裁判の意味付けなどを記者自身の「立ちリポ」のための原稿に盛り込んでいきます。裁判の中で何が一番重要なのか、意味はどこにあるのかなどをその場で判断し、最も適切だと思われる言葉を選びます。もちろん原稿を一からその場で作るのは不可能なので、あらかじめいくつかのパターンを考えて作っておきます。大きな事件や複雑な判決だとこうした「予定稿」が20種類くらいにもなることもあります。勝訴、敗訴だけでなく、言い渡しが主文までしか入らなかった場合、すべて終わっている場合など、放送されるニュースの時間に合わせて用意するからです。
 裁判のニュースは午前中の言い渡しならお昼のニュースに、午後1時ごろの言い渡しなら3時のニュースに入れるというのが普通ですが、重要裁判ならなおさら少なくとも直近のニュースには入れなくてはなりません。そのためには事前にどこまで取材できているかが勝負で、時には1か月以上準備に費やすこともあります。
 私たち記者にとって裁判取材は瞬発力と地道にコツコツ準備する力が養われるとともに力量を試されるという点で、厳しい現場だと思っています。
(NHK横浜放送局 若槻 真知記者)

理事者室だより4
「忙しいですか?」
副会長 弓場 正善
 理事者になってから,「忙しいですか」「自分の仕事はできますか」とよく聞かれますので,どのような一週間を送っているかについて書くことにします。
 まず月曜日は午後から理事者会です。議題は山のようにあります。今は慣れましたが最初は驚きました。1時半から始めますが終わるのは6時位になります。
 私の場合,水曜日が日直でこれも午後1時半から6時位までです。日直は弁護士会へ送られてくる文書の配点,決裁をしつつ,来会者に面談します。
 火,木,金の午後は担当している委員会に出ます。担当している委員会は10位あります。ただ,これに,単発の様々な行事や会合が加わるので,実際には委員会に出席できないこともしばしばです。夜はこれまた様々な懇親会に参加します。懇親会は週に2〜3回はあります。
 自分の仕事をいつするかといえば,会務はほとんどが午後からですので,午前中にします。裁判期日などは基本的に午前中に入れます。午後は仕事の連絡を携帯の留守電に受けておいて,会務の合間に電話をかけます。私の場合はこれで何とか仕事を回しています。
 数年前に,事務局運営室,財務室,調査室,市民窓口の制度ができたので,その分の理事者の仕事は減っているはずなのですが,司法制度改革の影響でしょうか,やるべき事が多く余裕がない状態です。特に今年は10月開業の日本司法支援センターへの対応が最大の課題であり,これに追われる毎日です。

コーヒーブレイク(2)設立!!トイガン文化を守る会
 当会は「趣味の達人」がそろっている。
 うちのボスは虚無僧の尺八の名人だし、ある若手女性会員は映画『スゥイング・ガール』なみのビッグバンドの結成をもくろんでいる。裁判所近くの画廊で個展をひらいている会員も多い。
 もともと無趣味な私の趣味は「トイガン」である。モデルガンやエアソフトガンといったおもちゃの鉄砲のことだ。モデルガンは火薬をつかって発火させるが、弾はでない。エアソフトガンは低圧ガスや電動バッテリーの力でBB弾というプラスチック製の弾丸を飛ばす(近年は環境保護のため二酸化炭素と水に分解する生分解バイオBB弾が主流になりつつある)。
 で、私のコレクションはモデルガンでなく、エアソフトガンの方だ。これで敵味方にわかれて戦争ごっこをするのである。
 このエアソフトガン、最近はどうも評判がよくない。違法な改造エアガンの発砲事件がつづいたせいだ。実際は、市販されている大部分のエアソフトガンは違法改造に対する歯止めがかかっており、極悪改造できるのはほんの一部の製品にすぎない。とはいえ、おもちゃとして売られている製品に極悪改造をほどこし、空気銃なみの威力をもたせてしまうのだから、とんでもない話である。殺傷能力のある「違法エアガン」や「改造パーツ」が堂々とネットで売られ、だれでも手に入れることができる。これはもう日本型「銃」社会の誕生である。
 今春、警察庁の主導で銃刀法が改正され、ハイパワーのエアガンは準空気銃として所持が禁止になった。違反すれば1年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となる。改正銃刀法は8月下旬から施行だ。昭和40年代のモデルガン規制を上まわる、エアガンに対する全面規制の開始である。こういった規制がおこなわれると普通は関係業界から悲鳴や抗議がおきる。が、今回に関しては業界あげて歓迎ムードである。一般ユーザーも「規制やむなし」の声が多い。いままでウヤムヤだった合法と違法の境界がはっきりして、エアソフトガンが「おもちゃの世界」に戻ってきたのであるから、私も大賛成である。事実、改正銃刀法の施行をまえにして、通販やネットからは極悪エアガンや改造パーツがきれいさっぱり消えてしまった。
 もともと鉄砲の形をした玩具が平和な社会と共存するには、それを趣味とする愛好者の一人ひとりが法律とルールとマナーを守らなければならない。今度のエアガン騒動をきっかけに、私は、直木賞作家の逢坂剛先生や映画監督、漫画家、イラストレイター、ライターの人たちに呼びかけて「トイガン文化を守る会」を設立した。いまやトイガンは年間200万丁が流通し、おもちゃ文化の確立したカテゴリーとして社会に根づいている。このユニークなおもちゃ文化が消えることなく次世代にひきつがれるように、広く安全性の遵守と環境保護を呼びかけていこうと思っている。自分の趣味が「公益活動」につながったのだからやりがいがある。いや、「公益活動」とはおこがましい。これはやっぱり「趣味活動」だ。
「トイガン文化を守る会」公式サイト http://home.b04.itscom.net/toygun
(関 博行会員)

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