横浜弁護士会新聞

2007年2月号  −1− 目次

女性会員の出産支援へ 具体策を議論−会員集会開かれる−
議 題
1 会員の産休・育休に関する会則改正
 (1)女性会員の出産月前後4か月間の当会会費免除
 (2)乳幼児を養育する会員の公益活動及び委員会活動免除
 (3)介護等、その他の理由に基づく公益活動及び委員会活動免除
2 「会員サポート窓口」の設置
3 ADR法の認証取得に向けた紛争解決センター会規の改正
 昨年12月8日、当会会館で会員集会が開かれた。
 産休等に伴う会費・会務免除
   議論は会費免除に関する事項に集中   
 まず、提案理由として、弁護士会が男女共同参画社会基本法10条に基づく具体的措置を怠ってはならないこと、出産に伴い事件数を調整する必要から収入が大幅に減少すること、会費免除という形で会員を精神的に楽にさせる効果があること等が挙げられた。他会でも出産に伴う会費免除を規定している単位会が20近くに及び、今後も同様の動きが加速するという見通しも報告された。
 公益活動及び委員会活動免除については反対意見はみられず、議論は女性会員の出産月前後4か月間の会費免除に絞られた。
   出産経験者は精神的負担を強調   
 実際に弁護士登録後に出産した女性会員からは「出産で仕事を減らす際に事務所に迷惑をかけるという後ろめたさを軽減するためには会費免除という形で会が出産を応援する姿勢を示すのがよい」等の意見が出され、男性会員からも「出産で実際に働けない期間があるのだから会費免除してもよい」、「今後パート弁護士など働き方が多様化することが予想され会費も多様化が求められる」等の賛成意見が多くみられた。
   出産支援と会費免除の直結に疑問の声も   
 これに対し、「会に所属しサービスや情報を受ける以上は会費を免除するべきでない」、「出産に伴う家計の問題は家庭内で解決すべき」、「所得の多寡と会費は別問題」等の反対意見も出された。
   出産支援の動きは前進へ   
 いずれの立場の会員も、女性会員の出産を会が何らかの形で支援すべきという方向には理解を示しており、今後、具体化に向けた議論が進みそうである。
 「会員サポート窓口」は業務を縮小したい会員や若手会員を支援
   相談員と引受希望者名簿で対応   
 会員サポート窓口は、執務不能となった場合の共済規則に基づく事件承継支援規則とは別に、執務不能ではないが年齢や病気等の理由で業務を縮小したい場合の事件・顧問先・事務所の承継、事件の共同受任についての相談や、今後激増が予想される若い会員の相談を受け付ける窓口として提案された。
 具体的には、相談員に弁護士経験10年以上の会員を5名程度置き、事件の承継等が必要な場合には予め作成された引受希望者名簿から引受者を選ぶ、という案である。
   詰めの議論は残す 
 ただ細部については「相談員の守秘義務の範囲を検討する必要がある」、「懲戒相当事案の場合に相談に応じないのでは懲戒相当行為を事前に防止できない」、「事件等を引き受けた会員に納付金を求める必要はない」等の意見が出された。
 紛争解決センターはADR法の認証取得に前向き
 紛争解決センターは、他の機関より質の高いADR(裁判外紛争解決手続)を目指し、本年4月1日の裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律(ADR法)の施行に向けた認証取得作業を進めている。
 認証を受けると、時効中断効(法25条)、訴訟手続きの中止(法26条)、離婚事件や地代家賃増減請求事件等の調停前置の特則(法27条)などの法的効果が付与され、ADRの信頼性も向上すると考えられるため、司法書士会、東京税理士会等でも認証取得の動きが本格化していることが報告され、他士業への業務対策の側面からも認証取得の必要性が強調された。
 一部の業務については法務大臣への報告が必要であるが、法的効果付与のメリットが大きいことに加え、他士業の進出への危機感は大きく、今回の集会で反対意見はなかった。
 今後、当会としての認証申請を行うべく、今年度中の会規・会則の改正へ向けて作業が進められる見通しである。

法科大学院生と交流
 昨年12月25日、当会会館で「神奈川県内四法科大学院生との交流会」が開催された。これは、県内にある4法科大学院の学生と教員、法曹3者が意見、体験等を述べあい、交流を深める会である。平成17年3月に当会が呼びかけ開催したところ非常に好評であったことから同年12月にも開催され、今回が3回目である。
 木村会長の開会の挨拶に引き続き、裁判官および検察官が志望動機や仕事の内容等について、学生が自校についてスピーチし、あわせて教員の紹介が行われた。
 その後は歓談に充てられた。会場の至る所で小さなグループができ、参加者が相互に質問し、経験や意見等を述べる光景が見られた。学生は、他校の学生や教員、実務家と直に接して生の声を聞くことにより、法律、法曹への理解、認識を深めて勉学のモチベーションを高めることができたと思う。
 123名が参加した交流会は、当会法科大学院支援委員会須々木委員長の閉会の辞をもって成功裏に幕を閉じた。
 なお、交流会の後は当会会館近くの会場で恒例となった学生主催の懇親会が開かれた。今回は関東学院大学の学生が幹事を務めたが、107名が参加し、お酒を飲みながら語り合い、より一層交流を深めることができた。
 最後に、交流会を盛大に開催することができたのはひとえに関係各位のご協力の賜物である。ここに厚く御礼申し上げる次第である。
(法科大学院支援委員会 委員 松田 道佐)

山ゆり
 文章を書くことが仕事のかなりの部分を占める職業に就いているのに、満足な文章が書けない。美しい日本語を読めば少しはマシになるかと、幸田露伴などを買い込んだ。しかし、ナントカ論は途中で嫌になった。『五重塔』はおもしろくて気っ風のいい言葉は頭に入ったが準備書面には使えそうにない
 文章力は向上しないまま、今度は、人間の心理を理解すべく、シェイクスピアを買い込んだ(もちろん、翻訳)。イギリス人が何かと引用したがるのも無理がない。いろんな場面に使えそうな、ぴったりの表現がある
 「空気のように軽いものでも、嫉妬に燃える者には聖書の証ほどの重い証拠となる」。『オセロー』のイアーゴの科白は、配偶者の不貞行為を邪推して不和になってしまった離婚訴訟の準備書面に使えそう
 などということを大先輩にもらしたところ、「準備書面はいかに証拠に基づき、しっかりした論理構成で書くかが大事。シェイクスピアの引用なんぞは無駄」と至極もっともなお叱りを受け、断念した
 しかし、実は、今でもときたま、ぴったりな表現を思いつくと準備書面に使いたい誘惑に駆られてしまう。1度くらいは許してもらえないだろうか。
(小沢 弘子)

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