横浜弁護士会新聞

2007年2月号  −2− 目次

法テラスのための事務量増大 事務局パンク寸前
事務局運営室室長 鈴木 義仁
 昨年10月に法テラスがスタートとした。法律扶助、国選などの業務がなくなって弁護士会の仕事量は「減った」などと思っていたら大間違い。弁護士会史上空前の残業時間数を記録している。
法テラス移籍による職員数の減少
 正職員7名が退職して法テラスへ就職することとなり、3人の正職員を採用した。それ以前に退職した正職員2名については正職員未補充のままだったので、正職員は9名減の3名増、差し引き6名減という結果になり、派遣職員数は10名となった。
法テラス発足による事務量の増大
 すべての課で事務量が増大しているが、著しく増大したのは刑事関係と法律相談関係である。当番のみならず、国選関係も従来の事務に加えて支部で行っていた事務も行うようになり、新たに被疑者国選に伴う事務、私選弁護前置主義に伴う事務及び法テラスとの連絡という事務が加わり、法テラス発足により事務作業量が飛躍的に増大した。その上に刑事関係では法テラスとの関係で事務職員の事務負担能力を超える指示が出されるなどしたため、恒常的な時間外勤務に休日出勤(年末年始も)が加わっている。
 法律相談件数及び受任件数の増加に伴う事務処理及び会計処理に加えて、法テラス発足により、法テラスと契約をしない弁護士もいるため、日程割り振り作業が一段と複雑化し、また法テラスとの連絡業務という余計な負担が増えた。そのため、以前は他課よりも比較的に残業時間が少なかった1階法律相談課も残業時間が急増している。
 確かに、民事法律扶助だけをとれば、法テラス発足によりその事務がなくなったが、予想に反して、法テラスと関わりのある部署は、法テラス発足のために事務量が増大してしまっている。
事務局の実状にご理解を
 業務課や総務会計課も、事務作業量は増えるばかりである。法テラス発足によって、民事法律扶助の部分の業務はなくなったものの、刑事関係を中心に業務量はかえって増大し、現状の職員数で業務を遂行するのは限界に達している。そこで、業務量の削減とともに、正職員の採用により、現状の危機的状況を少しでも改善したいと考えている。会員の諸先生方にも事務局の実情を是非ともご理解いただきたい。

高齢者・障害者の権利侵害ゼロを目指して 3月2日横浜で集会開催
 3月2日(金)午後0時30分から5時まで、関内ホールで「第5回高齢者・障害者の権利擁護の集い」を行う予定である。この集いは、日弁連高齢者・障害者の権利に関する委員会が中心となって、毎年行っている。今年は当会において「地域で安心して暮らすためのヒント〜権利侵害ゼロを目指して〜」というテーマで開催することになった。
 高齢者や障害者は、その判断能力や身体機能の低下等から、リフォーム詐欺をはじめとする消費者被害を被ったり、施設関係者や介護に疲れてしまった家族等による身体的精神的な虐待の被害にさらされることも少なくない。
 今回の集いでは、高齢者や障害者に対する権利侵害の実態を明らかにするとともに、具体的な権利擁護のための法制度(成年後見制度、消費者契約法、社会福祉法、高齢者虐待防止法等)や神奈川県内の取り組み実践例を紹介し、私たち法律家は何ができるのか、そして何をすべきなのかについて、シンポジウム形式で考える。
 今回の集いは、高齢者や障害者の権利擁護に向けた活動の大きな一歩にしたいと思っている。多数の会員の皆さんのご参加をお待ちしている。
(権利擁護のつどい実行委員会委員 千木良 正)

ゲートキーパー問題 日米連規定案への賛成意見を可決
会員 佐藤 正和
 常議員会の議案のなかには、日弁連からの各種意見照会に対してどのような回答をすべきか、というものがある。日弁連は、ときに酷な要求をする。弁護士が一定の取引について依頼者の身元確認及び記録の保存をしなければならず、また、マネーロンダリングに関与してはならないという日弁連規程案についての意見照会は、昨年12月2日付。しかし、回答期限は、「(日弁連)会内手続の関係上」同月20日。当会の会内手続の都合は聞いてもらえないらしい。この間に、たまたま常議員会が開催されたことはラッキーであった。もっとも、招集通知には間に合わず、当日上程の緊急議案となった。重要議案ゆえに、じっくり審議すべきで、緊急議案として扱うべきではないとの意見も出る。
 ところで、この規程案は、マネー・ロンダリング防止等を目的とした犯罪収益流通防止法案に反対するにあたり、同法不要論を裏付けるためのものである。同法案の具体的内容は、(1)依頼者の本人確認(2)取引記録の保存(3)「疑わしい取引」の届出の各義務を弁護士にも課し、届出先を日弁連とするというものである。そして、日弁連に、国家公安委員会へ通知させるそうな。いわゆるゲートキーパー制度が、直接警察に密告する制度から少し形を変えただけ。同法案に反対すべきは当然であるが、それだけでなく、弁護士はマネー・ロンダリング防止策を採っているとアピールする必要があるということだ。
 警察庁は、法案の本年通常国会上程を目指している。悠長なことは言ってられない。議論を尽くした末、法案に反対するために、日弁連規程案への賛成意見を可決することとなった。ただし、単に賛意を示すだけでなく、その理由を付して当会の考え方を明示すべきとの注文が出された。
 12月常議員会は、他にも重要議案が目白押しで、議論も、終了後の忘年会も、大いに盛り上がった。

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