横浜弁護士会新聞

2008年8月号  −4− 目次

セルベッサ最高! キャンバスアバウトスペイン旅行記
 6月9日から9日間、美術同好会キャンバスアバウトは大川隆司会員を団長として総勢11名で2年振りの海外スケッチ旅行に出た。
 今回は、榎本勝則会員、増本敏子会員、竹森裕子会員と山本一行会員の友人が特別参加となった。場所はスペイン。この国は、日本では見たことのない深く青い空を持つ。空気の澱みがない。前回行ったフランスが単色の古い石の町だとすれば、黄色、赤、緑、白と原色が違和感なく調和した抜けるような石の町である。黒髪と黒い瞳とを持ち、ボリュームと情熱とを感じる薄着のラテン美女が闊歩している。オラ(こんにちは)と声を掛けると気さくにオラと返してくれる。絵心が誘われる。
 3日間は、マドリッドで王宮などを訪れ、イラスムの民謡を思わせるフラメンコショーの迫力に酔いしれ、スペインを代表するゴヤ、ピカソ、ダリなどの絵を堪能した。
 日没が遅いスペインはレストランも午後8時をすぎないと開かない。その代わり、バルという立ち飲み屋が朝から開いており、食事もほとんどバルで事足りる。昼あるいは夕方、バルで飲むセルベッサ(ビール)は最高である。乾いた空気のせいか、飲むはしから体を抜けてゆく。幾ら呑んでも酔わない。洒落た空気をただよわせ夕方バルに向かう中村裕一会員や竹森会員、セルベッサが入って昼間から少しご機嫌の井上文男会員、乙女チックにバルの様子を語る増本会員、変わったバルを探して梯子をする中村俊規会員など、銘々バルを堪能していたようである。
 旅の中盤は、本格的スケッチのため、マドリッドからそれほど遠くない古都トレドを散策し、その後200キロ離れた人口5万に満たないクエンカの田舎町に移動した。クエンカの町は岩山の上に築かれた城砦都市で、教会を中心に中世の町並みがそのまま残り、旧市街の道は迷路である。各自、好きな場所を探しては、筆を走らせた。
 クエンカ1日目の夜は、修道院だったパラドール(宿)の食堂で同好会員となっている千葉県弁護士会の小川芙美子女史の誕生日を全員で祝った。女史の話とケーキのローソクの向こうにマグダラのマリアのごとき優しさをみた。
 2日目の夜は、東洋のラーメンが西洋の端のスペインでどう変化したか、大川団長が数名を引き連れ地元の中華料理店へ検証に。結果は、伝言ゲームよろしく、和風だしの中華スープに細うどんが浸かっているものに進化していたとのことである。翌日は、大川団長が地元のスーパーで仕入れた11ユーロ(175円)の白ワインを皆で飲みながら、ドンキホーテで有名になった風車をスケッチしてマドリッドに戻った。
 今回は、堪能な英語、スペイン語及び日本語のちゃんぽん3か国語で難なくコミュニケーションをとる大川団長の威力のおかげで、一同安心して旅行をすることができた。また、異国であろうとも物怖じや下手な遠慮もなく齢80を超えて堂々と振舞う榎本会員に日本男児の真骨頂を見た。
 多少の現地トラブルはあったものの、それぞれ、思い出深い楽しいスケッチ旅行となった。
(会員 栗田 誠之)

国境の島を旅する 公害・環境問題委員会対馬調査旅行
 九州北部に浮かぶ対馬。福岡から138km、韓国釜山にはわずか50kmという国境の島である。複雑に入り組んだリアス式海岸に囲まれ、全島の9割を急峻な山々が占める。古くから大陸との中継地となった独特の歴史文化を持ち、ツシマヤマネコをはじめとする固有の生物相が見られる。
 島探訪を会是とする当会公害・環境問題委員会のメンバー12名(宮澤・岩橋・小倉・佐藤正・東・安富・吉澤・櫛笥・白澤・大島正・三枝・畑中)は、7月4〜7日、対馬を訪れた。閉ざされた空間である離島は、独自の生態系を有するとともに、開発振興とのせめぎあいに常に直面しており、環境問題を勉強するには格好のフィールドなのである。
 まずは下島の県地方局や市役所を訪問し、対馬での諸問題と対策についてヒアリングを行う。ヤマネコの保護等の問題のほかにも、大陸からの漂着ゴミの処理が島を悩ませていることを知った。
 上島北部の野生生物保護センターでは、若く熱意あふれるレンジャーと大いに語り合った。また、ヤマネコのカリスマである「ツシマヤマネコを守る会」の山村会長には、酒を酌み交わしつつ様々な話を聞かせてもらうとともに、森のフィールドを縦横に案内してもらった。そして予想していなかったのだが、野生のヤマネコが来るという場所にも連れて行ってもらい、見事2匹のヤマネコに遭遇するという僥倖を得て、一同大興奮となった。
 対馬は南北80km以上あり地形も複雑なので、移動も結構大変だが、再び下島に戻り、後半は対馬を知り尽くす旅に突入。専門ガイドの案内で、天智天皇が築き防人が護った金田城の石垣が残る山を歩き、見事なまでの海・島・岸の造形美を遥かに見渡し、夜は郷土料理や島酒を楽しんだ(有志によるはしご酒隊も結成)。そしてクライマックスは、エコツアーでのシーカヤック。美しい浅茅湾の中をすべるように漕ぎ渡り、無人島に上陸。何ものにも邪魔されずに自然との一体感を楽しむ究極の癒しであった。
 充実したフルメニューをこなし、大成功のうちに今回の調査を終え、自分のどこかが確実に豊かになった。失われつつある大切なものに気づき、それをいつくしむ心を、語り継いでいければと思う。
(公害・環境問題委員会副委員長 畑中 隆爾)

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編集後記
 イリオモテヤマネコとツシマヤマネコ。それぞれの島にのみ生息し、ともに絶滅の危機に瀕する。私たちの世代で失いゆくものって、どれくらいあるのだろう。
 7年前に西表島でヤマネコを目撃し、そして今回対馬でも会えた。地元でも見たことがある人は少ないのだから、野生で両方とも見たのは、世界でも私くらいかも。語り継いでいきます。
デスク 畑中 隆爾  1面担当 喜多 英博  2面担当
三浦 靖彦
     3面担当 田丸 明子  4面担当
三谷  淳

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