横浜弁護士会新聞

2010年1月号  −1− 目次

新年のご挨拶
横浜弁護士会 会長 岡部 光平
 新年あけましておめでとうございます。
 新しい年を迎えて、昨年頂きました皆様方の温かいご厚情に感謝いたしますと共に、相変わらずの厳しい経済環境に鑑みて、私たち弁護士業務も心新たに厳しい舵取りを求められる一年であるとの認識をいたしております。
 昨年は、裁判員裁判及び被疑者国選の拡大に向けた対策に翻弄されましたが、いずれの制度も会員皆様のご協力により無難な船出ができました。今年は、それらの各制度の定着に向けた活動と検証が主な業務となりますので、その充実に向けたたゆまぬ努力をしていきたいと考えております。
 また、当会は、昨年末で会員数1120名を超える大きな単位会となりました。当会は、大単位会としての責務として昨年開設しました都市型公設事務所「弁護士法人かながわパブリック法律事務所」と一体となり、神奈川県内の弁護士過疎といわれる自治体への法的サービスの充実、そして司法過疎の解消に向けた活動を展開していきたいと考えております。
 さらに、本年の四月からは、県内の中小企業の事業支援を法的サービス面でより充実させるために「中小企業法律支援コールセンター」の開設が予定されています。そこでは、相談窓口の設置、商工会議所などの業界団体との連携などが予定されており、益々会員の皆様のご協力を仰ぐ必要があります。
 以上のように当会が直面する課題は様々ですが、県民の皆様及び会員の皆様からの忌憚のないご意見を頂き、よりよき法的サービスの充実に向けた弁護士業務の運営を図りたいと考えております。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

ご来迎
『ご来迎』
 「忙しい」とは「心を亡くす」と書くが、随分と「心を亡くす」生活をしてきた。これではいけないと仕事を離れて後立山連峰を登る機会を得た。鹿島槍ヶ岳途中、冷池山荘から見たご来迎からは、活力を貰える気がする。
会員 海野 宏行

山ゆり
 正月の寄席で、亡き古今亭志ん朝の落語を聞いたことがある。昭和後期を代表する名人だ。噺ももちろんすばらしいものだったが、もう一つ、心に残ったことがあった
正月二日のことで、酒の入った客もいる。酔客が何か口論を始めたのだ。志ん朝は、一瞬困った表情を見せた後、やんわりと微笑んで、言った。「おや、大丈夫ですか。喧嘩はやめましょうよ。怒っちゃいけません。ねえ、所詮この世はしゃれなんですから」
緊張していた客席の雰囲気が、一瞬にして和んでいくのが分かった。その場にいる客みなが、たった一言で、肩の力が抜けてしまったような、妙な安堵感が漂っていたのを、二〇年近く経った今でもよく覚えている
生きていれば不愉快なことも多いが、そういうことを、一歩引いたところから、「所詮しゃれだよ」と笑ってみせる。粋というほかない。自分に対する厳しさでは有名で、芸を極めることに生涯を捧げた人だからこそ辿り着いた境地だろう 寅
凡人にはなかなかまねのできない生き方ではあろうが、むやみに腹を立てないことを、私も当面の目標としたい。いつか人生を振り返って、割と上手いしゃれだった、といえるように。
(工藤 昇)

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