横浜弁護士会新聞

2010年1月号  −2− 目次

そこにある危機 あなたならどうする!? −弁護士業務妨害対策シンポジウム−
 昨年11月12日、霞が関の弁護士会館2階クレオにおいて日弁連、東京三会、横浜弁護士会共催の弁護士業務妨害対策シンポジウム『そこにある危機 あなたならどうする!?』が開催された。クレオ会場での出席会員は約100名であったが、討論の状況は全国の弁護士会へTV中継された。
 第1部
 事例報告・パネルディスカッション「坂本事件その他妨害事件の報告と妨害事案の現状の把握」では、コーディネーターからの質問に答える形で、4人のパネリストから坂本事件を含む13の事例が紹介された。
 事例の多くは過去新聞等で報道されたものであったが、妨害者の属性、妨害の態様、被害内容についての具体的報告には改めて恐怖感すら覚えた。なかでも妨害者に巧妙に取り込まれ、10年以上にわたって数億円を喝取された挙句、依頼者からの預り金を横領せざるを得なくなって自らも服役することになった大阪の事例は衝撃的であった。
 これらの事例を参考に、パネリストから妨害行為に対しては直ちに業妨委員会、警察に相談する、DV事件は複数弁護士で審級ごとに受任する、夜間一対一で面談しない、事務所のセキュリティ対策を講じておくなどの提言がなされた。
 第2部
 「警察との連携のありかた」では、第一東京弁護士会弁護士業務妨害対策委員会が年1回行っている警視庁組織犯罪対策課との意見交換会や、第二東京弁護士会弁護士業務妨害対策委員会が妨害事件に対処する際実際に行った警察との連携についての報告があった。
 また、パネリストとして参加した警察庁の係官2名から、妨害者についての情報提供や身辺警護に関する警察の対応等について説明がなされたほか、弁護士会と各地の警察(本部)との日頃の連携、協力の重要性を強調する発言があった。
 第3部
 「業務妨害対策に向けての提言」では、日弁連業務妨害対策委員会委員長から今回のシンポジウムの総括があり、最後に弁護士の急激な増加に伴う妨害事件の拡大が予想される情勢の下、まだ業務妨害対策の委員会が設置されていない単位会では早急に設置するよう、また既に設置している単位会にあってはより効果的な支援体制を整えるよう提言がなされた。
(会員 小嶋 干城)

具体的・実践的指導で大いに収穫 法廷技術ワークショップ
 昨年11月28日、29日、当会会館において、日弁連主催の「法廷技術ワークショップ」が開催された。週末にもかかわらず、当会の他、関弁連管内から多数の弁護士が参加した。
 具体的な事件を題材に、実践的な講義、受講生の実演、講評が行われた。撮影された実演の模様を自ら個別に確認する機会もあり、直すべき癖を自覚できたのは収穫であった。
 初日は、ブレインストーミング(有利、不利な点を思いつくまま挙げる)、主尋問、反対尋問、2日目は、冒頭陳述、弁論とまさにフルコースである。昼食も弁当が用意された(この意味をご理解いただきたい)。
 ブレインストーミングでは事件を多角的に検討するのに不可欠であることを再確認できた。
 主尋問では、証人が主役、(規則上許される場合でも)誘導しない、メモを見ない、一問一事実を聞くといった具体的方法論を学んだ。いかに自分が主尋問において誘導尋問をしているかがよく分かる。
 反対尋問では、尋問者が主役、誘導を用いる、答えの予測できない質問をしない、結論を出さないなどの指導を受けた。これまで有利な供述を引き出そうと、様々な聞き方をしてきたが、まったく逆効果であることを痛感した。
 冒頭陳述は、もっとも重要な局面であること、事実を物語風に分かり易く語る必要があること等の指導を受けた。実演においては、裁判員に対する話し方について、アイコンタクトを中心に微に入り細に入り指導された。
 最終弁論は、最初に作るべきものであること、裁判員に対して、こちら側の論理に立つことが「正しい」のだと勇気づけることが重要であるとの指導を受けた。
 ここで学んだことは刑事のみならず、民事でも十分役に立つものであり、週末をつぶしたことによって生じた家族に対する副作用を考慮しても、非常に有意義なものであった。
(会員 伊藤 諭)

常議員会のいま 常議員一年生の雑感
会員 徳久 京子(51期)
 常議員会に出席して何よりも驚いたのは、弁護士会の業務が何と多様か、ということである。一週間前に議題と参考資料が送られてくるが、定時総会の議案、会長声明、日弁連等への意見書、規則の改正、外部団体との共同イベント、人事推薦など定期的に発生する議題だけでも相当数ある。加えて、各委員会から提案される議題も多種多様であるから事前資料+当日資料は必然的に分厚く重くなる。ペーパーレス化を願いたくなるほどである。
 また、担当委員会が趣旨説明のために出席することも多く、常議員会の議題が、各会員の労力の結晶であることを実感させられる。
 本当は、これらの事前資料を読んで出席せねばならないが、当日の趣旨説明を聞きながら資料を読み、議題を理解しようとしている私は反省しきりである。
 ところで、経験者からは常議員会はしばしば長時間に及ぶと聞いていたが、今期これまで開催された9回の常議員会のうち子どもの学童の延長依頼をしたのは1度だけである。19時に学童に着くには18時15分には弁護士会を出なければならないので、今期の常議員会の大半はそれまでに終了していたということになる。
 これは、議論が盛り上がってくると、絶妙なタイミングで意見や問題点をとりまとめて理事者に「いかがですか」と問いかける議長と、これを受けて「ではこうします」と引き受ける理事者の阿吽の呼吸による議事進行のおかげかと思う。
 今期の常議員には、私と同じように、子どもの迎えのためデッドラインのある方がいるが、このようなスムースな進行のおかげで、安心して出席できることは大変ありがたい。
 最終回までに一度くらいは意見を言えるようになりたいと思う。

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