横浜弁護士会新聞

2011年7月号  −1− 目次 

東日本大震災に関する諸問題への機動的取り組み
 5月25日に、当会会館5階大会議室において、平成23年度通常総会が開催された。

会長挨拶
 小島周一会長は、当会が、会員数1200名を超え、大規模化してきた状況を踏まえ、規模にふさわしい単位会としてのあり方を議論していくこと、また、東日本大震災とこれに関連して生じている諸問題に機動的に取り組むことを今期の方針として掲げた。
 次いで、今年度、当会が取り組むべき具体的な課題を挙げ、その中で、会館リニューアル問題について、本年中に基本方針を決定するための臨時総会を開催したいとの意欲を示し、また、司法修習生の給費問題やチューター制度といった法曹養成に関わる問題についても積極的に取り組む姿勢を示した。

会務報告
 3月末で日弁連副会長の任期を終えた高橋理一郎会員が報告を行った。
 高橋会員は、日弁連副会長の任期中の成果として、法曹養成問題への取り組みや、全国のゼロ・ワン地域の解消を実現できたことを挙げた。さらに、弁護士増員時代を迎え、訴訟業務等の伝統的な業務以外の新分野開拓の重要性を述べた。また、11月11日に横浜で開催される弁護士業務改革シンポジウムに触れ、横浜から新しい風を吹き込みたいとの意欲を示した。
 高橋会員の報告の後、岩田恭子前副会長から昨年度の会務報告が行われ、さらに、各支部からの活動報告、各委員会からの活動報告が続いた。

1号議案
 1号議案は平成22年度収支決算。浦田修志前副会長が議案説明を行い、法律相談センター特別会計が554万7180円の赤字となったこと等が報告された。1号議案は、弓場正善会員の監査報告を経て、全会一致で可決された。

2号議案及び3号議案
 平成23年度予算及び平成24年度4月、5月分暫定予算について、狩倉博之副会長が議案説明を行い、本年度予算が7076万8186円の赤字予算であることが報告された。
 ただし、本年度予算が大幅な赤字予算となった理由として、当会では年度途中で補正予算を編成しないことが慣例となっており、年度当初の段階では余裕を持たせた予算編成を行うことが通例となっていることから、例年赤字予算を組んでいることが説明された。
 もっとも、昨年度予算と比較しても1900万円余り赤字額が増加しているため、今期執行部としても、赤字決算となることのないよう努めていくことが表明された。2号議案及び3号議案のいずれも、全会一致で可決された。

4号議案
 人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議について審議がなされた。
 この決議は、日弁連から各単位会に向けて行われた決議要請に応えるものであり、決議の内容についても複数の会員から賛成の意見が述べられた。そして、字句修正については執行部および正副議長に一任の上、圧倒的多数で可決された。

5号議案
 5号議案として、東日本震災及びこれに伴う原子力発電所事故による被災者の救済と復旧・復興支援に関する決議について審議がなされた。
 審議にあたり、服部政克副会長から、県内の避難所での出張無料法律相談や被災者ホットダイヤルの実施等、震災問題への当会の取り組みが説明された。質疑では、決議の文言をめぐり活発な議論が交わされた。議論の末、字句修正については執行部および正副議長に一任の上、全会一致で可決された。

6号議案
 6号議案として、綱紀委員会、懲戒委員会、資格審査会の委員及び予備委員の選任について議案が審議され、圧倒的多数で可決された。

感謝状贈呈
 議案の審議が全て終了した後、前執行部及び三嶋健前川崎支部長に対して感謝状の贈呈式が行われた。まず代表して水地啓子前会長が、全会員に対し、昨年度一年間の執行部への協力に対する謝辞を述べた。そして、1人1人の活躍や個性を反映した感謝状が小島会長から手渡され、平成23年度通常総会は終了した。

山ゆり
 一昔前の話で恐縮だが、陸上選手のカール・ルイスを覚えておられるだろうか。彼は100メートル走で、80メートル付近までは3番手くらいで、残り20メートルで一気に抜き去る、というレースで有名だった。印象的だったのは、80メートル付近からの彼の笑顔である。笑顔になると人は適度にリラックスし、パフォーマンスが向上するという。コーチのアドバイスによるものだった
笑顔の効能というのは良く知られており、笑顔になる側がリラックスするだけでなく、見る側の気持ちを癒し、ストレスを軽減させるそうである
そういえば震災直後、偶然居合わせた者同士、仲間同士、家族間で交わした笑顔によって、非日常の不安な気持ちがどれ程軽減されたことか。震災ストレスが叫ばれて久しいが、あの日以来、私達がこの効能を実感する機会は増えた気がするスイカ
さて、翻って普段の私。ただでさえ非日常にある依頼者や相手方に必要以上に強面で接し、そのストレスを増大させて、かえって事件解決を難しくしていないだろうか。常に笑顔とはいかないが、当事者を過度に緊張させたり、硬化させることなく、適正・迅速な解決を図れればよいのだが。
(波田野 馨子)

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