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会長声明・決議・意見書(2006年度)

教育基本法「改正」法案の廃案を求める会長談話

2006年11月22日更新

去る11月16日、教育基本法「改正」法案が、野党4党欠席のまま、与党の単独採決により可決され、翌17日から参議院での審議が開始された。

当会は、本年5月12日の会長声明により、教育基本法の「改正」は憲法の理念や基本原理にも影響を与える重要な問題であることから、国民的議論がなされないまま、政府が法案を提出した姿勢を批判するとともに、内容的にも、教育に対する「不当な支配」を禁止して教育の自主性を保障した現行法の教育理念そのものを大きく転換し、あるいは、思想・良心の自由といった憲法上・条約上の人権にも関わる重大な問題点をはらんでいることを指摘して、法案に強く反対した。

与党は、衆議院特別委員会において十分な審議が尽くされたとして単独採決に踏み切ったが、その審議の内容を見ると、当会が指摘した問題点は何ら解消されていない。そのうえ、この間、いじめを苦にした自殺の問題、必修科目の未履修問題など、政府・与党が率先して事態を把握し議論を深めるべき問題が明らかになっており、法案が、果たして、これらの問題を解決してゆく上で意味のあるものなのか、逆に、子どもたちを、今よりももっと酷い状況に追いつめてしまうのではないか、などといった検証も一切行われていない。加えて、政府主催の「教育改革タウンミーティング」では、政府が、参加者に対し法案に賛成の立場で質問するよう依頼していたなどという事実が発覚しているが、このような民主主義の根幹に関わる重要な問題について、詳細な事実関係やそれに対する責任の解明も不十分なままである。

当会は、百年の計といわれる教育の根幹に関わる法律を、指摘された問題点を解消しないまま、これほどまでに拙速かつ強引に「改正」しようとする与党のやり方に対し抗議するとともに、法案を廃案とするよう強く求めるものである。


2006(平成18)年11月20日
横浜弁護士会
会長  木村 良二

 
 
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