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会長声明・決議・意見書(2012年度)

大飯原子力発電所再稼働に反対する会長声明

2012年06月14日更新

第1 声明の趣旨

深刻な原子力発電所事故被害の再発を未然に防止するため、福島第一原子力発電所事故の原因を解明し、その事故原因を踏まえた安全基準について国民的議論を尽くし、それによる適正な審査によって確実な安全性が確保されない限り、大飯原子力発電所第3・4号機を再稼働しないよう求める。

 

第2 声明の理由

  1. 2011(平成23)年3月11日の東日本大震災に続いて発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故は、原子炉3基のメルトダウン(炉心溶融)・メルトスルー(炉心貫通)と大量の放射性物質の環境への放出という未曾有の大災害となり、現在も放射性物質は環境中に放出され続けている。事故後1年以上を経過した今日においても、約10万人の住民が仮設住宅等において過酷な避難生活を強いられている。今後、どのような健康被害が生じるかの予測もできず、多くの人々がその不安に脅えている。
    私たち横浜弁護士会は、福島第一原子力発電所事故の被害者から相談を受ける中で、地域住民の生活を根こそぎ破壊する原子力発電所事故の被害の甚大さを痛感させられている。
    福島第一原子力発電所の事故によって明らかになったのは、ひとたび原子力発電所の事故が発生すれば取り返しのつかない大惨事となり、未来へ重大な禍根を残し、日本社会は崩壊しかねないということである。
    したがって、最低限、福島第一原子力発電所の事故原因を解明し、その事故原因を踏まえた安全基準について、国民的議論を尽くし、それによる適正な審査によって確実な安全性が確保されない限り、停止中の原子力発電所の再稼働はありえない。
  2. 政府は僅か2日で作成した「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」を2012(平成24)年4月3日に発表し、6月8日には野田首相が「国民の生活を守るために大飯発電所を再起動すべきというのが私の判断だ。」と発言し、関西電力大飯原子力発電所第3、4号機の再稼働に向けて大きく舵を切っている。しかし、再稼働に向けて政府が最大の寄りどころとしている「電力不足」は、そもそも命と健康の安全に優先するものではない。しかも昨年夏の東京電力と東北電力管内では、節電努力によりピーク・平均ともに前年比20%の削減の効果を上げている。こうした節電効果と電力会社間での電力融通を加えれば、原発の再稼働に頼らずとも、この夏の電力を賄うことは不可能ではなく、安全性の確認ができないまま拙速に再稼働する根拠はない。
  3. 福島第一原子力発電所の事故原因さえ未だ明らかにされておらず、また原子力規制庁も発足していない現時点で、政府が安全を強弁することは、福島第一原子力発電所の事故の教訓を省みず、崩壊した安全神話に再び逆戻りするものであり、到底容認できるものではない。

 

以上
2012(平成24)年6月14日
横浜弁護士会会長 木村 保夫

 
 
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